2009年11月号(227号)  


 このところ日中は暖かいのに夜や朝方、冷え込むことが多くなりました。
 気温差が大きいと、体調を崩しがち。
 気をつけてお過ごし下さい。


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今月の話題
 ●備えは十分?
 ●【子どもの救急】もし新型インフルエンザにかかったら・・(2)
 ●子どもたちに一日も早く新型インフルエンザの予防接種を
 ●お知らせ
 ●感染症情報

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●備えは十分?

 ブタ由来新型インフルエンザが今春に北米大陸で発生してから瞬く間に世界中で流行しました。そのスピードの速さには驚かされます。冬場に流行するのが通例。日本でもすでに流行が始まり、今後、大流行になるものと思われます。

 でも日本はある意味でラッキーでした。大流行になるまで半年ほどの期間があったからです。

 南半球にあるオーストラリアでは季節が日本と逆。すでに8月前後に大流行になりました。準備期間がなく、さぞ大変だったことでしょう。でもオーストラリアでの混乱は一時期だったようです。外来の患者数も、例年の季節性インフルエンザ流行時とさほど変わりなく、入院数も同じ程度だったと言われています。

 これから大流行になる日本でも、当初の予想よりは弱毒であり、流行の規模はさほど大きくないかもしれません。もちろん油断は禁物ですが。

 しかし時間的な余裕があったはずの日本で、本当にきちんと準備ができたのかどうか、疑問です。ワクチンの生産が間に合わず、流行が終わってから接種の順番が来る・・そんな笑えない事態になるかも。

 抗インフルエンザ薬も十分に用意できているのか不安です。何よりも医療の現場に、緊急事態に対応できるだけの余裕がないことも事実です。

 現実にやってくる新型インフルエンザの大流行・・しっかりと対応し、インフルエンザに負けないようにしたいものです。


●【子どもの救急(58)】もし新型インフルエンザにかかったら・・(2)

 新型インフルエンザの大流行が目前に迫ってきました。様々な対策を通じて、流行の勢いを抑え、医療や社会の混乱をおこさないようにすることは、ある程度可能でしょう。しかし、流行そのものをなくすことはできません。

 季節性インフルエンザは、毎年国民の1〜2割がかかっています。新型インフルエンザはそれより多くの患者がでるとされています。仮に同じ程度だとしても、日本でも1〜2千万人以上が新型インフルエンザにかかることになります。かからずにすませるというのは、なかなか難しいことです。

 その意味では、新型インフルエンザにかかった時に、重症にならずにすむ方策を考える必要があります。

 まずは予防接種を受けておくこと。感染を完全に予防するだけの効果はないかもしれませんが、重症になるのを防ぐ効果は期待してよいでしょう。小児に重症者が多いということで、予防接種の優先順位が高くなっていますので、ぜひ受けておかれるようおすすめします。

 学校や園、家庭や地域などの集団内で流行があれば要注意。潜伏期約2日で、急な発熱などの症状があれば、やはりインフルエンザを疑うべきです。迅速検査が威力を発揮するのは半日〜丸1日たってからですので、発生が散発的だと診断に苦慮します。しかし、すでに大流行になっている場合には、積極的に抗ウイルス薬(タミフルなど)を使って治療を始めるべきだとされています。

 感染した子どもが、さらに家庭内で他の方に移すことも心配です。お子さんの休む部屋を別にし、出入りしたり看護する時にはマスクを着用し、手洗いをきちんと行うなど、対応を丁寧に行って下さい。(予防的にタミフルなどを使用することはすすめられていません)。

 解熱後2日以上、できれば発症から1週間程度は家庭でしっかりと休み、学校などにいくのはそのあとにして下さい。なお、家庭内でインフルエンザ患者がでても、他の方は症状がないかぎり学校や仕事などにでかけることは差し支えないとされています。

 次回は小児の重い合併症の脳症と呼吸不全についてお話しします。


●子どもたちに一日も早く新型インフルエンザの予防接種を

 新型インフルエンザ(H1N1)は人類が初めて出会ったウイルス。これまで誰一人としてかかったこともなく、十分な免疫をもってもいません。

 幸いなことに当初予想されていた強毒性ではなく、季節性インフルエンザよりやや強い程度だといわれています。しかし、重症者や死者がでているのも事実。やはりワクチン接種を受けることが大切な予防法であることには変わりありません。

 新型インフルエンザ・ワクチンは厚生労働省の作ったスケジュールに従って供給されています。10月下旬に医療従事者、11月には妊婦や基礎疾患をもった人たちへの接種が行われます。

 1歳〜小学3年生までの子どもたちに対しては12月中から始まることになっています。しかし、実際には流行が始まっているわけで、このままではやはり遅い対応だといわれても仕方ないでしょう。とくに重症化しやすい小児に対しては一日も早い接種が必要です。

 東京都では計画を前倒しして11月後半から幼児などへの接種を行うことにしました。子どもたちを新型インフルエンザから守ろうとする、行政の強い意志を感じます。他の自治体にもこの動きが拡がることを望みます。

 もちろん実際にはワクチンの生産に限りがあり、医療機関での接種体制がなかなかできない準備できないなど、対応が難しい面もあります。

 でも、やはりできる限りのことをしたい、まずは一人でも多くの子どもたちに、早く予防接種をすませてあげたい・・小児科医として、心の底からそう思っています。



●お知らせ

○受診時のお願い
 ・新型インフルエンザの流行が心配されています。移し合わないよう注意をお願いします。
 ・熱、咳、くしゃみなどのある方は必ずマスクを着用して下さい。
 ・うがい、手洗いなどをこまめにし、日ごろから予防に努めてください。

○新型インフルエンザ予防接種のうち、喘息などの基礎疾患のある方へは今月中に予定。当院通院中の方へは個々に連絡いたします。

○新型インフルエンザ予防接種のうち、1歳〜小学3年生に対しては12月16日より予定。受付開始は今月11日午後1時です。


●感染症情報

 新型インフルエンザの流行がいよいよ本格化してきました。全国的にすでに「注意報」レベルですし、都市部を中心に各地で「警報」レベルになっています。当地(上越市とその近隣)では、学級閉鎖がいくつかの小学校などででていますが、まだそれほど多くの患者発生はありません。しかしこのままですむことはないでしょう。今月ないし来月には流行が本格化するものと思って、注意をしていて下さい。

 もしインフルエンザにかかったと思ったら、早めに受診を。そして他の方に移さないよう、マスクの着用などもお願いします。

 先月は手足口病が目立ちました。夏かぜの一つで、初秋にも流行することが多いウイルス性の感染症です。通常は軽い症状で終わります。

 マイコプラズマ感染症はまだ発生が続いています。気道粘膜を荒らして咳などの呼吸器症状が強くなります。喘息発作を併発することもあります。内服の抗生剤が効きにくく、治療に苦慮しています。

 感染性胃腸炎、溶連菌感染症、水ぼうそう(水痘)、おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)などはまだ少数の発生です。いずれも寒い季節に多く発生しますので、今後注意が必要です。水ぼうそうとおたふくかぜはワクチン接種によって予防することができます。任意接種ですが、ぜひ受けておかれるようおすすめします。

 麻疹、風疹の発生は当院ではありませんでした。

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