2010年2月号(230号)  


 雪国の人もびっくりするような大雪になりました。
 2月はさらに降るかも。
 しっかり備えをして、ドンと構えていたいと思います。


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今月の話題
 ●ワクチン混乱から見えてくること
 ●【子どもの救急】胃腸炎の対処
 ●一転、ワクチンは過剰に
 ●お知らせ
 ●感染症情報

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●ワクチン混乱から見えてくること

 新型インフルエンザ予防接種はようやく落ち着きました。昨年はワクチン不足、今年に入ってからは余るほど。1か月でも早く供給されていれば、あれほどの混乱にはならなかったのに。

 どうも日本のワクチン行政はお粗末です。インフルエンザに限らず、問題が山積しています。麻疹・風疹が2回接種になったのはごく最近のこと。日本で麻疹が大流行し、世界中から非難を浴びてからようやく動きました。

 子どもたちに行っているワクチンの中で、未だに公費の対象になっていないものがあります(インフルエンザ、水ぼうそう、おたふくかぜ、ヒブなど)。日本ではまだ使えないワクチンもあります(ロタウイルス、肺炎球菌、髄膜炎菌など)。

 日本のワクチン製造技術は世界のトップレベルだそうです。でも、ワクチン行政は数十年遅れています。困ったことです。

 原因の一つに、国民のワクチンを敬遠する考えもありそうです。自然にまかせた方がいい(そのために亡くなる子どもたちがいます)、少しでも副作用がでると完全否定する(より良いワクチンを作る必要があるはずなのに)。

 新型インフルエンザ予防接種を通して、ワクチンの必要性はよく理解されたことでしょう。そして日本のワクチン行政を見直すよい機会になったとすれば、「ワクチン騒動」も悪くはなかったのかもしれません。


●【子どもの救急(61)】胃腸炎の対処

 冬場にはノロウイルスやロタウイルスなどによる感染性胃腸炎が流行するもの・・そう思っていましたが、今シーズンはとても発生数が少なくなっています。「自然の法則」にとっては例外なのかもしれません。

 もしかしたら新型インフルエンザ予防のために行っているマスク、うがい、手洗いなどの対策が効果的なのかもしれません。胃腸炎のウイルスも口から入って感染していきます。その「侵入口」をブロックしておけば、確実に発生は少なくなるでしょう。

 消毒をしていることも関係があるようなのですが、薬の効果ではないようです。アルコールはインフルエンザ・ウイルスを死滅させますが、胃腸炎のウイルスには効きません(ハイターなどの次亜塩素酸ナトリウムを使います)。むしろ濡らした雑巾で機械的に拭いたり、水で洗い流しているのが効いているのかもしれません。

 いずれにせよ、口に入るウイルス量が少なくなれば、発症をある程度抑えられるはず。インフルエンザ対策が他の感染症の予防に役立っているとすれば、過剰とも思える予防対策もあながち間違いではないということになるかもしれません。そうはいっても、胃腸炎が発生していないわけではありません。また、インフルエンザに伴う胃腸炎症状もあり、注意は必要です。

 「胃炎症状」とは、胃の粘膜が荒れることによって吐き気や嘔吐をおこします。吐くことによって楽にはなりますが、荒れている胃の粘膜がすぐに治るわけではなく、飲んだり食べたりすることによって嘔吐をくり返します。

 吐いたあとはしばらくは胃を休ませて下さい。吐き気が強い時には顔色が青白く、グッタリしています逆に顔色が良くなり、元気が出てきたら良くなってきていることでしょう。試しながら少しずつ水分、そしてお粥のような消化の良い物を与えてみて下さい。それでも吐き続けるようなら脱水が心配。早めに受診をし、必要に応じて点滴治療などを受けて下さい。

 「腸炎」の症状は下痢。やはり消化のよい物を少しずつとってみましょう。下痢だけで脱水になることはないでしょう。

 また、吐いた物や下痢便の中には大量のウイルスがいますので、それらの始末は丁寧に行って下さい。手袋をする、流水でしっかりと手を洗うなど、他への感染防止にも配慮していて下さい。
 

●一転、ワクチンは過剰に

 新型インフルエンザのワクチンが足らない!と、前回の「通信」に書きました。それから1か月・・事態はすっかり変わりました。今度はワクチンが余っています。

 県から、健康成人にも接種してかまわない、という連絡が来てこのことを知りました。それまでは優先対象者であり、さらに県がOKを出していないと接種できませんでした。加えて医療の現場にはワクチンが十分に届いておらず、本来受けることができる方でも受けられないという状態が続いていました。わずか半月前までそうでした。

 1月中旬で、新潟県内で30万人分(成人の量として)がストックされていることが分かったのだそうです。すべて国産ワクチンです。接種の対象者を限定する意味合いがなくなった、というわけです。日本中で同じことがおきています。これから海外からワクチンが輸入されてきます(契約では約1億回分!)が、希望する医療機関は皆無でしょう。いったいどうしてこんなことに??

 ワクチン製造は時間がかかります。一挙に多くを作ることができません。あらかじめ製造能力を増強しておくか、または製造開始時期を早めることが必要でした。残念ながら、そのいずれも実施されていなかった・・それが今回の「ワクチン騒動」の主な原因なのだと思います。

 そして、突き詰めるとそれは国の危機管理能力に大きな問題があったということになります。これから予防接種体制をきちんと作りあげるためにも、ぜひきちんと見直しておいてほしいものです。

 そうは言っても、日本で新型インフルエンザによる重症例や死亡例が比較的少なくすんでいるのは幸いでした。不安な中で、大きなパニックにはならず、冷静に行動された方々に感謝しなくてはいけないでしょう。

 もう一つ・・行政に振り回されながら、それでも最大限の努力をしてきた医療機関のことも、ちゃんと分かってほしいと思っています。


●お知らせ

○新型インフルエンザ予防接種は当院もワクチンに余裕がでてきました。
ご希望の方には随時接種を行っています。どうぞご連絡を。
 
○新型インフルエンザ予防接種は成人の方も国産ワクチンで行えるようになりました。
1回の注射です。ぜひ接種を受けて下さい。


●感染症情報

 昨年秋に大流行し、年末年始で下火に向かっていた新型インフルエンザ‥‥1月中旬から再び増加してきました。今のところはまだ小さな「山」ですが、寒さの厳しい2月には昨秋を上回ることも予想されます。十分に気をつけていて下さい。これまでのインフルエンザ流行は「新型」一色でしたが、今後「季節性」が加わる可能性もあります。とくにB型はもともと春先に発生しやすいので要注意です。

 その他では大きな流行をおこしている感染症はありません。とくに感染性胃腸炎の流行規模が例年の数分の一と小さくなっています。インフルエンザ予防のために手洗い、うがいなどを徹底していることが、感染性胃腸炎の予防や流行拡大阻止に役立っているのかもしれません。

 マイコプラズマ感染症の発生はまだ多めです。呼吸器の粘膜をおかし、気管支炎などをおこします。咳込みが強く、喘息発作をおこすこともあります。一度罹患しても十分な免疫ができず、くりかえしかかることもあります。

 溶連菌感染症、水ぼうそう(水痘)なども冬場に多い感染症ですが、今シーズンは少なめです。

 おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)は若干の発生。麻疹、風疹の発生は当院ではありませんでした。

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