2010年4月号(232号)  



 雪国では長くて暗い冬から脱出。やっと春らしくなってきました。

 これからいろんな花が咲き始めます。まずは桜。楽しみですね。


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今月の話題
 ●社会の基本はやっぱり人間
 ●【新しいワクチン】子宮頸がんの予防ワクチン
 ●日本脳炎予防接種について
 ●お知らせ

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●社会の基本はやっぱり人間

 社会のシステムは次第に高度になり、複雑化しています。それに伴って、もし事故がおきると、思いがけず大規模で、対応が困難になります。

 先日おきた首都圏のJR大停電・・通信用のケーブルの留め具数本が直接の原因。屋内用の留め具を屋外にも使ったために劣化が進み、切れ、ケーブルが架線に接触し、ショートしたというのです。もしマニュアル通りに屋外用の留め具(十円もしないもの)を使っていたらケーブルが垂れ下がらなかったでしょう。ケーブルを架線の上に通していなければ、停電事故にはならなかったでしょう。

 ほんの小さなミスが、複雑な連鎖の中で肥大化し、とてつもなく重大な事故になることがあります。事故を防ぐためには、そういったミスをおかさないこと。また、もしミスがあっても、それが他に悪影響を与えないようシステムを修正しておくことなどが必要でしょう。

 しかし完璧なシステムを作ることは困難。ミスは起こりうるものとして対応しておくべきでしょう。

 そしてそれに関わる人間の問題は小さくはありません。どうして、トラブルになるかもしれないときづかなかったのか、疑問です。(架線の上にこういったケーブルが横断してれば危険でしょう。それを駅職員は毎日見ているはずなのに・・)

 決められたことだけをし、与えられた仕事だけをこなしていればいいと考えているのなら、残念ながらプロとは呼べません。社会の基本はやはり人間の問題なのではないかと思います。


●【新しいワクチン】子宮頸がんの予防ワクチン

 今回も新しいワクチンのご紹介です。女性の子宮頸(けい)がんを予防するワクチンが発売されました。

 子宮頸がんは女性特有のがんとして恐れられています。20?30代で急増し、日本では年間1万5千人が発症していると報告されています。子宮頸がんは初期の段階ではほとんど自覚症状がなく、定期的な健診を受けていないとその発見が遅れてしまいがちです。自覚症状がでてからでは、すでにがんが進行している可能性があります。

 子宮頸がんの多くはヒトパピローマウイルス(HPV)による感染が原因だと分かってきました。このウイルスに感染しても、その大部分は自然に排除されますが、もし感染した状態が長く続くと、子宮頸がんを発症させることがあります。またヒトパピローマウイルスは特別な人だけが感染するのではなく、多くの女性の方が感染するありふれたウイルスです。

 このヒトパピローマウイルスに対するワクチンがすでに製造されています。「サーバリックス」です。海外の多くの国ではすでに導入されていて、12歳前後の小児からの接種が推奨されています。

 日本では10歳以上の女性が対象で、若い方が受けるととても効果が高いようです。もちろん年齢の高い方についてもぜひ受けていただきたいワクチンです。ワクチンは3回の接種を行うことで高い免疫が得られます(0か月、1か月、6か月)。

 当面は任意接種であり、費用は本人(または親御さん)の負担で行います。女性の命を守る大切なワクチンですので、法律に基づく定期接種になることが求められています。

※子宮頸がんは産婦人科の担当ですが、その予防ワクチンは10代からの接種が薦められているので、小児科でも積極的に対応することにしました。小児だけではなく、成人の方にも接種できますので、ご希望の方は医院へご連絡下さい。ワクチンの供給はスムーズで、希望者にはすぐに接種を行うことができます。

◇子宮頸がんの予防接種(サーバリックス)
【任意接種】
・10歳以上の女性
・3回の接種(1回目の接種のあと1か月後に2回目、6か月後に3回目を接種)
・筋肉内注射
【料金】1回15,000円(消費税込み)
・接種は予約制です。ご希望の方は早めに医院へご連絡下さい。
 

●日本脳炎予防接種について

 日本脳炎の予防接種について多くのお問い合わせをいただいています。ここ数年間、実質的に中断していましたが、ようやく再開されることになるからです。

 平成17年、日本脳炎ワクチン接種後に重い副作用が生じたという理由で、厚生労働省は自治体に対して「積極的には予防接種を勧めない」という指示をだしました。実はこれが混乱のもとでした。実際には定期接種という制度はそのまま残っていました。ワクチンの製造もそのまま続いていました(生産量は少なくなりましたが)。希望される方には、公費による接種を受けることができていました(今でもできます)。

 昨年6月、ようやく新しいワクチン(乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン、ジェービックV)が発売されました。より副作用が少ないワクチンなので、これで一斉に接種が再開されると思ったら、そうではありませんでした。当面は生産量が少ないため、やはり「積極的には勧めない」という指示のまま。さらに新しいワクチンは1期の接種についてのみ使うように指示もでました。

 新年度の早い時期に新しい通達が厚生労働省から出されることになっています。新しいワクチンを使って、自治体は積極的に接種をお勧めすることになります。

 ただし問題もありそうです。これまで5年間ほど「中断」したので、受けていないお子さんがとても大勢おられます。日本脳炎が発生する夏までに、その全ての子どもたちに接種をするとなると、現場は大混乱するかもしれません・・新型インフルエンザ予防接種の時のように。7歳半未満という年齢制限をどのように扱うか、2期の対象者はどうするなど、まだ決まっていません。

 当院では接種について通達がでたあと、接種の体制を検討いたします。必要であれば新型インフルエンザ予防接種と同じように、通常の診療時間以外に特別な外来を設けることも検討しています。

 なお、現在も3歳?7歳半未満の方は新しいワクチンを使って公費による接種が可能です。ご希望の方は早めに受けていただいて結構です。


●お知らせ

○わたぼうし病児保育室では年度ごとに登録をしていただいています。今年度の利用を希望される方は登録の更新をお忘れなく。

○春・・暖かくなり、花粉症の方にとっては過ごしにくい季節です。幼児の花粉症も珍しくありません。今月いっぱいはご注意を。


●感染症情報

 新型インフルエンザは先月は発生数が順調に少なくなり、下火の状態です。季節性インフルエンザの発生もなく、今シーズンのインフルエンザ流行はほぼ終息したのではないかと思われます。新型インフルエンザはその扱いはしだいに通常の季節性インフルエンザと同じになることでしょう。次のシーズンのワクチンも、季節性として扱われることが決まっています。

 感染性胃腸炎が2月から3月にかけて大きな流行になりました。その大半はノロウイルスだといわれています。例年は秋の終わりに流行するので、今シーズンは異例でした。3月の後半からは勢いがおさまってきているようです。手洗い、うがい、マスクなどはインフルエンザだけではなく、胃腸炎などほかの感染症を予防することにつながります。ふだんからの習慣づけをお願いします。

 マイコプラズマ感染症の発生はまだ多めです。気管支炎や肺炎をおこし、咳がとても強くなる感染症です。

 溶連菌感染症、水ぼうそう(水痘)、おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)などが少しずつ発生していますが、園によっては流行になっている所もあります。水ぼうそうとおたふくかぜはワクチン接種で予防できます(任意接種)。

 麻疹、風疹の発生は当院ではありませんでした。

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