2010年5月号(233号)  


 サクラの季節が終わり、本当に春らしくなってきました。
 昨年の今頃は新型インフルエンザの発生でビクビクしていましたが、今年はどうでしょうか。
 のんびり、楽しく過ごせるといいですね。

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今月の話題
 ●今、病児保育に注目が
 ●【新しいワクチン】日本脳炎を再開
 ●貧困なる予防接種政策
 ●お知らせ
 ●感染症情報

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●今、病児保育に注目が

 当院では子育て支援のために病児保育室を併設しています。2001年からでもうすぐ9年になります。当初は自治体からの支援もなく、大きな赤字を抱えながらの運営でしたが、昨年5月より、上越市の事業委託を受けています。公共性が高いと認められたわけで、とても嬉しく思っています。

 このところマスコミの取材が続きました(日本テレビ「ニュースゼロ」、NHK新潟放送局など)。病児保育に対する関心がとても高まってきたことを実感しています。

 子どもたちが病気になったときに親御さんが一緒にいてあげられれば一番いいこと。それは分かってはいるけれど、なかなかうまくできないために悩んでいる方が大勢おられることを知っています。そしてほとんどの家庭で、そのしわ寄せが母親にくることも。

 病児保育は子どもたちのためのものであって、親の就労支援のためではない、という方もいます。私はそうは思いません。安心して働けるようにサポートすることなくして、親御さんがハッピーになることも、ひいては子どもがハッピーになることもないでしょう。

 困ったときには安心して、そして気兼ねなくお子さんを預けられるところ・・わたぼうし病児保育室をそんなふうに利用して下さい。


●【新しいワクチン】日本脳炎を再開

 3歳児に対して日本脳炎予防接種を再開することになりました。平成17年に中断していますから5年ぶりになります。日本脳炎は夏に発生する病気です。予防接種は夏になる前に受けていただくと効果があります。

 当院では短期間に多くの方に接種していただけるように、5月後半から6月にかけて毎週土曜午後に、日本脳炎予防接種の専門外来を設置しました。どうぞご利用下さい。

 今後使用するワクチンは、より副作用が少ないとして昨年から発売されている新しいワクチンです(乾燥細胞培養ワクチン「ジェービックV」)。まだ生産量が少ないために、まずは3歳児を対象に接種を始め、その他の方への接種は順次拡大されていきます。(詳細はまだ決まっていません)

 ただし、今回の変更は自治体からの勧奨(ワクチン接種をお勧めすること)をするかどうかについてです。これまでも公費による接種は行えていましたし、現在も希望する方は接種を受けることができます(1期)。7歳半未満でまだ接種を受けておらず、早めに受けたいという方はお申し込みください。

 問題もあります。7歳半以上の方に対しては、今は公費での接種ができません。いずれ対応されるとは思いますが、早めに接種を受けたいという方は任意接種になります(全額自費)。

 また2期(9?12歳で1回の接種)についてもまだ決まっていません。ワクチンの安全性を見極めている段階ということで、今夏以降に方針を決めるということです。この際には、1期の3回を受けていないお子さんについては複数回の接種を行うことになる予定です。

 日本脳炎は今は日本国内ではあまり発生していませんが、東南アジアなどでは多数の発生があります。またもしかかればとても重症になります。けっして日本からなくなった病気ではありません。

 ようやく日本脳炎の予防接種体制が整いつつあることで、やっと一安心できそうです。ぜひ早めに受けていただきますようお願いします。

◇日本脳炎の予防接種
・1期 生後6か月?90か月(7歳半)未満
  初回接種の標準は3歳、1?4週の間隔で2回
  追加接種は初回完了後おおむね1年経過後1回(標準は4歳)
・2期 9?12歳以下(標準は9歳)<現在は公費では接種できません>
 

●貧困なる予防接種政策

 このところいくつかの新しいワクチンが日本にも導入されました。ご紹介していますが「ヒブワクチン」「肺炎球菌ワクチン」(いずれも子どもたちの髄膜炎を予防)、「子宮頸がん予防ワクチン」などです。これらは日本では初めて登場しますが、海外ではすでに10年以上前から使われています。

 発展途上国の話ではありません。経済的には先進国である日本でこれだけ導入が遅れるのか、不可思議です。たまたま欧米ではなく日本に生まれたために、ある種の感染症によって命を落としたり、健康を害することがおこりうる状況は、やはりおかしなこと。国によって大きな格差があります。

 それでも欧米並みにワクチンを使えるようになってはきました。思いっきりスローテンポですが、まあそれはよしとしましょう。しかし、必要としている人たちが必ずしも受けることができないという問題があります。

 いずれのワクチンもまだ任意接種です。1回に数千円?1万数千円の費用を、全額親御さんに負担してもらって接種をしています。おたふくかぜや水ぼうそうのワクチンもいまだ任意接種です。公的な制度がないからです。「貧困なる予防接種政策」といわざるをえません。

 それぞれのご家庭の経済状況によって、子どもにワクチン接種を受けさせるかどうかが決まってしまう・・そんなのはおかしくありませんか。経済的な格差が子どもたちの健康や生命にも影響を与える社会・・それはとても先進国とは呼べません。子どもたちに優しい社会ではありません。格差を助長していくことにもなるでしょう。

 民主党政権のもとで「子ども手当」が支給されることになるようです。それも必要なことですが、公的な予防接種の体制を作ることはもっと大切であり、優先されるべき課題だと思います。国にしかできないことであり、そこにきちんと税金を使うべきです。

 「現金支給」よりもまずは「現物支給」を。私はそう思います。


●お知らせ

○胃腸炎がまだ流行中。嘔吐が強いと脱水が心配。顔色が青白く、ぐったりとしている時には点滴が必要かも。早めに受診してください。

○学校で各種の健診が行われています。何かの異常があり「要再検」「要受診」などと連絡があったらそのままにせず、早めに対応を。


●感染症情報

 新型インフルエンザは4月はほとんど発生がなく、終息したものと思われます。次のシーズンは通常の季節性インフルエンザとして扱われることになるでしょう(ワクチンも1本になります)。

 感染性胃腸炎が「季節はずれ」に流行しました。。例年は秋の終わりから初冬にかけて流行するのですが、昨年は新型インフルエンザの流行があり「はじかれた」形になっていました。春になっても流行が完全には下火になっていません。引き続き注意していて下さい。

 マイコプラズマ感染症(気管支炎、肺炎)が多数発生しています。気管支粘膜を荒らすので、とても咳が強くなり、喘息発作を起こすことがあります。また初期にきちんと治療しないと数か月にわたって咳が長びくこともあります。

 同じく咳が強くなるRSウイルス感染症もときどき見かけます。幼弱な乳幼児に細気管支炎を起こし、呼吸困難に至ることもあります。また伝染力が強いので、園などで流行しがちです。
 溶連菌感染症も目立っていました。咽頭痛と発熱が特徴で、抗生剤が必要です。

 水ぼうそう(水痘)、おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)は少しずつの発生でした。いずれもワクチン接種で予防できます。任意接種ですが、まだかかっていない方はぜひ受けるようにして下さい。

 麻疹、風疹の発生は当院ではありませんでした。

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