2010年7月号(235号)  




 梅雨の蒸し暑い天候が続いています。体調を崩さぬようご注意を。
 自然災害も発生しがちです。
 大雨には十分警戒して下さい。


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今月の話題
 ●サムライ日本
 ●【色々なワクチン】がん予防ワクチン
 ●参議院選挙と「子育て支援」
 ●お知らせ
 ●感染症情報

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●サムライ日本

 サッカー・ワールドカップが盛り上がっています。予想に反して(?)日本が勝ち進みました。守備も攻撃もさえて決勝トーナメント進出。対パラグアイ戦では惜敗しましたが、世界16強入りはすごいことです。

 日本がこれほど強いとは思いませんでした。私だけではなく、日本中の人たちもそうでしょう。もしかしたら選手たちも、岡田監督自身もそうだったかもしれません。

 個人の選手としては、能力、体格、体力などでは日本人は劣ることは明らか。でも逆に、俊敏で頭脳的なプレーができるとしたら、欠点ではなく長所になる可能性があります。そして選手が一丸となり、集団として、組織としてプレーできれば、他の強豪国にはできない戦いができることになるでしょう。

 岡田監督が話した通り、サッカーがチームプレーだということを、身をもって証明してくれました。

 ともすれば劣等感をいだきがちな私たち日本人ですが、そんな日本人が世界の中で十分に通用する、むしろ注目されていることを知り、とても嬉しくなりました。
サッカーだけではなく、新しい生き方のスタイルをも作りだしていけるかもしれません。

 同じく監督が話したという言葉・・ヘボはヘボ流でやる。開き直りではありますが、けっしてあきらめず、まっすぐに前を見つめて進んでいくことの大切さも教えられました。


●【色々なワクチン】がん予防ワクチン

 がん(悪性新生物)による死亡は年々増え、今や日本人の死亡原因の第一位で3割をしめています。がんの原因はさまざま。生活習慣、喫煙などによっておきるものは、日々の生活を見直すことで予防することも可能です。しかし日常生活の全般を変えることはなかなか難しいもの。そして、努力しても確実に予防できるというわけではありません。

 ウイルスが原因になっているがんがあることも分かってきました。これらに対しては、ウイルス感染を防ぐことができれば、結果としてがんを確実に防いでくれます。ワクチン接種ががんの予防になるのです。

 その一つが成人女性におきる子宮頸がん。ヒトパピローマウイルスによる感染が主な原因です。すでにご紹介したように、このウイルスに対するワクチン(サーバリックス)を接種し、あらかじめ免疫を作っておくことで、子宮頸がんの予防になります。副作用は軽微であり、予防手段としてワクチン接種ほど確実で、有効な手段はないでしょう。

 もう一つ紹介したいのは「B型肝炎ワクチン」です。B型肝炎にかかると、通常は急性肝炎になり、数か月で治っていきますが、一部は慢性化し、いずれ肝硬変になり、最終的には肝臓がんになっていきます。

 また、乳児がかかると急性肝炎にはならないものの、そのまま体内に残り(キャリア)、長い年月で肝臓をこわし、やはりがんになることがあります。キャリアの母親から生まれた赤ちゃんが肝炎ウイルスをもらわないようにするため、ワクチンなどを生まれてすぐの赤ちゃんに接種し(母子感染の予防)、成果をあげています。

 このB型肝炎ワクチンを全ての子どもたちが受けるようになれば、もっと確実に肝臓がんを減らして行くことができます。すでに欧米ではそうなっている国が多くなっています。日本はこの点でも、大きく遅れをとっています。(現在でも希望の方には任意接種の形で接種を受けることができます)。

 ワクチンという有効な「武器」を持っていても実際に使われなければ「宝の持ち腐れ」。「絵に描いた餅」。普及を妨げているのは、やはり費用の負担でしょう。公的なお金を使って、無料で受けられるような制度が必要です。

 また日本人は「自然にまかせるほうがいい」と考えてしまいがち。しだいに変わってはきましたが、もっとワクチンを使っての病気予防、そして健康作りに関心が高まるといいなと願っています。
 

●参議院選挙と「子育て支援」

 民主党政権になって初めての国政選挙が行われています。新たに始まった「子ども手当」の是非や「子育て支援」のあり方、そして「少子化対策」なども、大きな議論になっています。

 「子ども手当」のために巨額の財政支出がなされていますが、現金支給という方法だけで子育て支援ができるはずがありません。

 例えば子どもたちに必要なワクチン接種を受けてもらうためには、予防接種の制度を作り、ワクチンを確保し、接種の費用を公費でまかなう必要があります。「現物支給」という面倒をしたくないために、お金を渡すという方法を選んだのだとしたら、行政サービスの中身は低下していくでしょう。

 子育てに必要なのはお金だけではありません。保育サービス(当院の病児保育もその中に入っています)、母子保健サービス(健診や予防接種など)、小児医療など、どれも大切な課題が後回しにされています。

 そもそも日本で少子化傾向が進んでいるのは、若い世代が雇用の問題を抱えていることにも原因があります。給料が安い、派遣や短期雇用などの非正規雇用が多いのであれば、結婚や出産をあきらめることにつながります。自分たちの将来が不安であれば、次の世代を作り、育てることにとまどいを覚えることでしょう。そんな若年者の雇用問題をどうするのか・・日本の大きな課題に手をつけず、子どもがいれば手当を出すだけというのは、安易すぎるのではないか、とも思います。

 子育て支援のあり方について、大きく注目されています。各政党が、そして私たち有権者がしっかりと議論をし、これからの日本に次の世代を託せるような明るい見通しができてくれればいいな、と思っています。皆さんの声を、ぜひ国政に届けましょう。


●お知らせ

○今月11日は参議院選挙投票日・・これからの日本をどのようにしていくか、大切な意思表示の機会です。ぜひ投票へ行きましう。

○日本脳炎は夏に発生する感染症。ぜひ真夏になる前に早めに済ませましょう。3歳?7歳半未満の子どもたちが接種の対象です。


●感染症情報

 冬場に流行することが多い感染性胃腸炎ですが、今シーズンは春に最も多く発生していました。先月(6月)は減少傾向になり、ようやく下火になったところです。

 マイコプラズマ感染症(気管支炎、肺炎)がまだ多く発生しています。気管支粘膜を荒らして、咳がとても強くなる傾向があります。くり返しかかっている子もいて、注意が必要です。

 同じように咳がとても強くなるRSウイルス感染症もときどき見かけています。以前は冬場の感染症と言われていましたが、最近は夏場でも流行するようになりました。

 夏かぜと呼ばれるウイルス感染症がしだいに多くなりました。手足口病はその一つで、今夏は全国的に大流行になるという予測です。通常は数日で自然に治りますが、時に髄膜炎などの合併症がおきます。ヘルパンギーナは熱と喉の痛みが強い夏かぜですが、数日で治っていきます。プール熱(咽頭結膜熱)は熱、咽頭痛、目やにがあり、とてもつらい感染症です。これからの季節は発生しやすいのでご注意を。

 水ぼうそう(水痘)、おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)の発生数は少なめ。ワクチン接種によって予防できます(任意接種)。溶連菌感染症は少なめですが、まだ発生しています。咽頭痛と熱が特徴で、抗生物質による治療が必要です。

 麻疹、風疹の発生は当院ではありませんでした。


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