2010年9月号(237号)  


 誰がこれほどの猛暑を予想したでしょう。
 耐えきれない暑さの毎日。
 残暑はまだしばらく続きます。
 体調に気をつけてお過ごし下さい。


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今月の話題
 ●「わたぼうし」の先に見えてきたもの
 ●【色々なワクチン】今年のインフルエンザ・ワクチン
 ●お知らせ
 ●感染症情報

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●「わたぼうし」の先に見えてきたもの


 当院では病児保育を併設し、病気のために登園・登校できないお子さんをお預かりしています。

 この「わたぼうし病児保育室」にも異変(?)がおこっています。今年度に入ってから利用者が昨年の約1.5倍に急増しているのです。月によっては倍増も。夏になってもその傾向には変わりありません。

 昨年度から市の事業を受託していることで「広報効果」があるのかもしれません。「受けた依頼は断らない」という頑固(?)な方針も利便性を増していることでしょう。

 利用は1歳が最多。育児休業があけて初めて保育園に通いだし、そして次々に感染症をもらってしまう様子がみてとれます。数か月すればしだいに落ち着いてきますが、それまでは頻繁に病児保育室を利用することになります。

 最近感じています・・大きな規模の保育園に幼弱な乳幼児が通うのは無理なのではないか、と。小さな規模の施設なら、これほど感染症をもらうことがないでしょう。

 小さな乳幼児を専門に預かり、そこで集団保育に慣らしたあとに保育園や幼稚園につないでいく。そんな「乳児園」が必要なのではないか。

 子育て支援をさらに充実させる方向をみんなで考えていきたいと思っています。

●【色々なワクチン】今年のインフルエンザ・ワクチン

 今シーズンのインフルエンザ予防接種はいくつかの点で大きく変わります。

 まずはその種類。昨年は「季節性」と「新型」の2種類がありましたが、今シーズンは1種類になりました。(季節性はもともと3価の混合ワクチンですが、Aソ連型の発生がほとんどなくなったためにはずされ、そこに昨年の「新型」が加わりました。その他はA香港型とB型です)。

 昨年は2種類のワクチンを、子どもたちに合計4回も接種しなくてはならず、その負担はさまざまな面で大きなものがありました(注射を受ける子どもたちだけではなく、親御さんの経済的・時間的な負担。医療機関にとっても、新型インフルエンザの流行期にワクチン接種を多数の方に接種するのはとても大変でした)。

 接種の回数には変更はありません(12歳以下は2回、13歳以上は1回)。

 接種の量については検討が加えられていましたが、結果としてはこれまでと同様です(日本の接種量は他の国と比べると少ないので、より効果を高めるために増量する必要があるという意見があります)

 ワクチンの供給については昨年はとても困りました。季節性ワクチンは生産量を減らしたため、医療機関によっては希望する数量を確保できなかったところもあります。

 新たに生産した「新型ワクチン」は少量ずつしか供給されず、必要な時に必要なワクチンがなく、大混乱になったことは、まだ記憶に新しいところです。さらに国が「優先順位」を決め、都道府県がワクチンの配分を決めるというルールが混乱に拍車をかけました。子どもたちに真っ先に接種をしてあげたいのにそれができず、小児科医として憤慨をしていたことも思い出します。

 今シーズンはこのようなおかしなルールは作らないことになりました。十分な数量のワクチンを、国内で早期にきちんと作る体制ができたからだそうです。「優先順位」はなく、希望される方はどなたでも接種を受けることができます。

 ワクチンは一般の医薬品として普通に流通しますので、それぞれの医療機関が必要に応じて購入することができます。

 今年のインフルエンザ予防接種は市町村の責任で行うことになりました。接種の価格は市町村で決定し、一定の助成もされることになるでしょう。(これまでは「季節性ワクチンは原則65歳以上が公費で一部をまかない、昨年の「新型ワクチン」は国が価格を決めるけれど、助成は低所得者などをのぞいて一切ありませんでした)

 子どもたちはインフルエンザにかかると脳症などの合併症をおこしたり、「新型」では重症肺炎という合併症をおこしてしまいがち。予防接種の必要性が最も高いのにもかかわらず、接種費用については全額保護者の負担・・公費による助成はゼロでした。

 今シーズンからはその一部が助成されることになり、大きな前進でしょう。いずれは麻疹などと同じように、全額公費でまかなえるようになることを期待しています。

 参考までに、上越市では12歳以下の接種のうち2回目を無料にするように検討しているそうです。子どもたちの負担をより少なくしようという意図が感じられます。

 最後に医療機関の対応です。昨年は2種類の接種をおこないましたが、今年は1種類なので接種の体制を作りやすく、子どもたちには比較的スムーズに接種を受けていただけるのではないか、と思っています。

 当院でもこれまでの「季節性ワクチン」の体制を拡充しました(土曜午後に専門外来を行いますが、「新型ワクチン」の際のノウハウを取り入れ、より強力な体制で行います)。

 ワクチンは10月上旬には医療機関に届けられるとのこと。ぜひ多くの子どもたちとご家族の方に接種を受けていただき、インフルエンザの脅威から守られるようにしていきたいと願っています。

 私たちは「喉元過ぎれば熱さを忘れる」ことが多いようです。ぜひ昨年のことを思い起こしていただき、進んで接種を受けて下さい。

●おしらせ

○インフルエンザ予防接種
・当院では10月5日(火)より実施します。
・予約受付は9月10日(金)午後1時より、専用電話へどうぞ(TEL0120-447709)
・今年は1種類。市町村が価格を決め、助成があります(詳しくは市町村から案内があります)。

○来月「上越子育てフォーラム」が開催されます。
・講師は「子育てハッピーアドバイス」シリーズ著者の明橋大二先生です。
・10月16日(土)13:30〜。リージョンプラザ上越コンサートホール、入場無料。
・詳しくは医院までお問い合わせ下さい。

●感染症情報

 この夏は猛暑とともに夏かぜも猛威でした。中でも手足口病が大きな流行になっていました。当初心配されていた髄膜炎の合併はあまりなかったようで、軽くすんでいるのは幸いです。

 ヘルパンギーナが夏の後半から増強。こちらは高熱と喉の痛みがあるので、やや重い印象がありますが、それでも多くは数日で自然に治っています。

 プール熱(咽頭結膜熱)も夏かぜの仲間ですが、喉の痛み、目やに、高熱があり、ぐったりします。これは大きな流行にはなっていません。

 おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)の発生が目立っています。今はまだ一部の保育園などで限局的な流行ですが、今後地域全体に拡大していく可能性もあります。ワクチン接種で予防が可能です(任意接種)。

 マイコプラズマ感染症(気管支炎、肺炎)は咳がとても強くなる感染症で、近年は一年中発生が続いています。また罹患しても十分な免疫ができないために、くり返しかかるお子さんもいます。とくに喘息など、呼吸器が弱いお子さんは注意が必要です。

 水ぼうそう(水痘)、 溶連菌感染症などは少なめの発生でした。

 感染性胃腸炎も少数の発生でした。秋以降はまた流行がぶり返してくることでしょう。

 今のところはインフルエンザの発生はおきていません。

 麻疹、風疹の発生も当院では確認していません。

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