2010年10月号(238号)  


 
 猛暑がさり、やっと過ごしやすくなりました。
 でも、どうも短い秋になりそうです。
 冬の厳しい季節に向かって、体力も気力も蓄えておきたいです。



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今月の話題
 ●隔離棟完成から1年、そして・・
 ●【色々なワクチン】インフルエンザ・ワクチンの変わったこと・変わらなかったこと
 ●お知らせ
 ●感染症情報

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●隔離棟完成から1年、そして・・

 冬と言えばインフルエンザ。そしてその準備には予防接種は欠かせません。秋のワクチン外来は、小児科医院の恒例行事になっています。

 当院では今月5日よりインフルエンザ予防接種を行います。ワクチンには昨年の「新型」も加わっているため、例年よりも予約数が多くなっています。土曜午後の専門外来を10週に渡って行うなど、決して楽ではありませんが、必要とされることをすることが私たちの務め。子どもたちのために頑張ります。

 1年前の10月5日は、当院にとって大きなできごとがありました。「隔離棟」の利用が始まった日です。

 世界的な大流行が危惧され、診療体制が問題になる中で、6月に決断。数か月で完成させました。隔離棟があったおかげで新型インフルエンザの診療も、また予防接種も順調に行うことができました。今では隔離棟なくして、当院の診療は成り立たないまでになっています。

 あれから1年。今シーズンはどんな流行になっていくのか。予測はつきづらいですが、その時々で臨機応変に、ときには思い切った策を考えながら、地域の子どもたちの診療にあたっていくつもりです。


●【色々なワクチン】インフルエンザ・ワクチンの変わったこと・変わらなかったこと

 今シーズンのインフルエンザ予防接種はいくつかの点でこれまでと変わっています。まずは昨年の2種類(「季節性」と「新型」)が1つにまとまったことです(「季節性」の中に入っていたAソ連型がはずされ、「新型」が加わっています)。12歳以下では1種類につき2回の接種を行いますので、昨年は合計4回も必要でした。それが今年は半分ですむことになったわけです。

 接種の料金は市町村が決めることになりました。同じ地域であれば医療機関によるばらつきはなく、同一料金です。(新潟県では県内すべてで同じ料金体系になっています)

 ワクチンの供給も順調で、10月より一斉に予防接種がスタートします。どうぞお早めに受けるようにお願いします。

 ところで変わるべくして変わらなかったこともあります。ワクチンの接種量です。実は日本で決められているワクチン量は、世界の中では少ない方だとされています。不活化ワクチンですので、量が多い方が免疫がつきやすい傾向にありますが、一方で接種部位の腫れなどの副反応は強くなることも予想されます。

 以前より接種量を変更しようという動きがあり、今シーズンは国が製薬メーカーに指示をし、準備をしていましたが、結局これまでのままになりました。

 医学的には接種量をこのようにした方が良いという結論がでているのであれば、早急に変更してほしいものです。明らかに効果が少ないのであれば、子どもたちに「効かない」ワクチン接種をすることは無駄でしょうし、虚しさを感じます。

 今回のインフルエンザ予防接種の法律の上での扱いも、実はあいまいなままになっています。高齢者のインフルエンザ予防接種は法律に基づくものなのですが、それ以外の方へは、昨年の新型インフルエンザ対策をそのまま使っていて、きちんとした法律的な裏付けがまだありません。近々国会で法律の変更が決まる予定だとされていますが、対応の遅れが国民や医療現場に迷惑をかけています。

 聞くところによると、夏の参議院議員選挙があったために厚生労働省が対応できなかったのだそうです。政治の混乱が影響しているわけで、民主党のとなえている「政治主導」というスローガンがそらぞらしく聞こえてきます。

 ところでインフルエンザの流行動向は予測がすこしずつ分かってきました。昨年は秋に大流行になった新型インフルエンザですが、今シーズンは冬に流行するといわれています。

 ここ数か月間「冬」だった南半球では、例年の季節性インフルエンザと同じ程度の流行ですんでいるそうです。その大半は「新型」でした。

 次に流行シーズンに入る北半球でも同じ動向になることでしょう。日本では1月から本格的に流行。それが2月いっぱいは続くというのが例年です。今シーズンの新型インフルエンザ流行も、同じようなパターンになりそうです。

 ただし注意をしなくてはいけないのは、以前にも12月に流行が始まった年がありました。あまりのんびりとかまえていられないでしょう。

 年によっては季節性インフルエンザの流行が、昨年の新型インフルエンザの流行規模を上回ったこともありました。季節性と同じようなはやり方だといっても、規模が小さくなるというわけではありません。

 さらに、新型インフルエンザで問題になった子どもたちの呼吸器障害の強さも心配。この悪い性質はまだ変わっていないようです。季節性インフルエンザでも問題になる子どもたちの脳症の発生も、やはり心配です。

 今シーズンのインフルエンザ流行がどのようになるかは、実際のところは終わってみなければ分かりません。ことさらに恐れる必要はありませんが、しかし侮ることなく、万全の準備と心づもりをして臨みたいと思います。



●お知らせ

○16日は「上越子育てフォーラム」。講師は「子育てハッピーアドバイス」シリーズの明橋大二先生です。上越最後の講演かも・・。

○日本脳炎予防接種2期(9?12歳)が新しいワクチンで再開しましたが、当面は1期3回を受けきれていない方だけが対象です。

○インフルエンザ予防接種
・今年は10月5日(火)より行います。
・ただいま予約受付中。専用電話へどうぞ(TEL0120-447709)
・今年は1種類。県内同一価格です。(子どもや高齢者には自治体からの助成があります)
・ぜひ年内には予防接種をすませて下さい。


●感染症情報

 現在は大きな感染症の流行はおきていません。夏場に目立っていた手足口病やヘルパンギーナといった夏かぜも、すっかり消えていきました。やはり秋口は、感染症がいちばん落ち着く季節のようです。

 マイコプラズマ感染症(気管支炎、肺炎)は季節を問わず流行しています。気管支粘膜が荒れて、咳がとても強くなり、長びくことの多い感染症です。この感染をきっかけに大きな喘息発作になることもあります。

 おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)の発生がやや目立っています。保育園などでの集団発生がおきています。園での発生の様子について、お聞きになっていて下さい。あらかじめワクチン接種を受けておくと予防が可能です(任意接種)。

 水ぼうそう(水痘)、 溶連菌感染症などは少なめの発生でした。感染性胃腸炎もいまのところは少数の発生です。もともと冬場に多い感染症ですので、今後増加してくることが十分考えられます。麻疹、風疹の発生も当院では確認していません。

 インフルエンザの流行を心配しています。当院では先月A型インフルエンザの患者さんを2名確認しました。いずれも小学生で、学校などでの流行も懸念されたのですが、その後の発生はなく、単発で終わったようです。今後季節が寒くなるにしたがい、いずれ流行が始まることでしょう。十分に注意していて下さい。

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