2010年11月号(239号)  

 
 10月下旬、急に寒気が日本を襲ってきました。
 長い猛暑の夏から、一挙に冬になったようです。
 今年はどんな冬になるのでしょう。
 今から心配です。
 しっかり体調を整えて、頑張りましょう。



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今月の話題
 ●自己肯定感を高める子育てを(講演会より)
 ●【予防接種の新しい動き】新たに公費負担になりそうなワクチン
 ●お知らせ
 ●感染症情報

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●自己肯定感を高める子育てを(講演会より)

 先月、当院では「子育てフォーラム」を開催しました。特別講師に「ハッピー子育てアドバイス」シリーズの著者である明橋大二先生をお迎えし、子育てについてしっかりと学ぶことができました。

 先生が強調されていたのは、子どもたちの自己肯定感の少なさです。諸外国との比較でも、日本の子どもたちが自分に自信をもてない様子が顕著にあらわれています。

 子育てを通して、「自分は存在価値がある」「必要とされる存在」「私は私でいいんだ」という、肯定的な自己評価を作っていくことが大切。それが土台になり、その上にしつけや勉強が積み上げられていく。ところが「自分なんて存在価値がない」という自己否定感が強くなると人格の形成は難しくなる。

 こういった子育て論を通して、もう一度子育てを見直し、親として、大人として心豊かになっていきましょう。そんなふうに先生は言われたように思います。

 先生は、どうしても子育ての負担が集中し、心折れることの多い母に向かって温かいメッセージを伝えています・・「子が宝なら、母もまた宝」。ぜひそこに父も加えてほしいとお願いをしましたが(笑)。

 内容はもちろんですが、何よりも明橋先生の温かい人柄がよく伝わってきた講演会でした。お忙しい中、ご講演いただきありがとうございました。


●【予防接種の新しい動き】新たに公費負担になりそうなワクチン

 このところ新聞紙上では、いくつかのワクチンが新たに公費負担になる見通しだと報じられています。これは民主党政権が補正予算に子宮頸がんなどのワクチンを無料化するために約1千億円を計上したことをさしています。対象となるのは他にヒブ(インフルエンザ菌b型)と小児用肺炎球菌のワクチンです。

 政府の案では都道府県毎に基金を作り、自治体が無料で接種をする時に、費用の半額を負担する仕組みだそうです。今年度から2年間のみ行います。

 これらはいずれも比較的新しいワクチンで、全額保護者の負担で接種が行われています(任意接種)。一部の自治体で公費負担をすでにおこなっていますが、まだ少数。そのためなかなかワクチン接種が拡がってきていません。

 国費を使っての事業ですので、今後は全国で接種が無料化される可能性がでてきました。その意味では朗報といえるでしょう。しかし自治体が実際に動くためには、半額は自前で用意しなくてはいけません。やはり全国どこでもすぐに無料化されることは難しいでしょう。

 国の対応についてはよく理解できないところがあります。これらのワクチンの必要性や有用性が明確になっているわけですから、法律に定める予防接種に位置づけ、国の制度として実施すべきです。数年先にはそのようになるのかもしれませんが、どうも自分たちの責任逃れをしているように思えます。

 さらに小児科医としてぜひ指摘しておかなければいけないことがあります。それはおたふくかぜ(流行性耳下腺炎)、水ぼうそう(水痘)のワクチンが置き去りにされているという点です。これらはもっと以前から使われ、子どもたちのために役だっているワクチンです。そんな大切なワクチンを、全額保護者の負担にしたまま、行政の責任を放置し続けていることを、どのように考えているのか、ぜひ厚生労働大臣にお聞きしたいものです。

 新しくて、マスコミ受けして、注目されているワクチンのみを今回の公費の対象にすることが、国のワクチン行政の後進性を自ら証明しているかのようにも見えます。

 さらに、現在行われているインフルエンザ予防接種の位置づけも曖昧なままです。はしか(麻疹)などでは全額公費で行われているのに、インフルエンザにそれがないのはどうしてなのか、理解できません(自治体により一部の補助がありますが、国としての制度ではありません)。

 ワクチン接種を推進することで病気の予防になります。感染症の流行も阻止されるでしょう。そのこと自体が国民にとってハッピーなことであり、国にとっても良いことですから、それだけで公費を使う意味合いはハッキリしています。

 病気が予防されれば医療費は減ります。医療保険の会計にとっても助かることですし、赤字を埋め合わせている税金の投入も少なくてすみます。「医療経済」の立場からも、予防接種は医療費を軽減する大きな手段です。

 予防接種の仕組みを大きく変えて、法定ワクチンの種類を大幅に増やし、公費や医療保険を使って無料で、安心して受けていただけるようにすることが最も大切なことです。ぜひその方向で検討し、一日も早く実現されることを願っています。今回の補正予算による事業はあくまでも一時しのぎであり、その先をしっかりとしたものにすることが、今の政府に求められています。

 なお、ヒブワクチンや小児用肺炎球菌ワクチンなどはいずれ無料化される可能性がありますが、具体的なことは分かりません。住んでいる自治体による違いもでてきそうです。

 高額なご負担があり心苦しいのですが、もし公費になるのを待っていて、その間に病気になってしまっては元も子もありません。乳児の早いころからぜひ予防をしていただきたいので、今は自費ですが、早めに受けていただくようお勧めします。


●お知らせ

○「子育てフォーラム」は地元ケーブルテレビ(JCV)が来年1月に番組として放映することが決まっています(「わいど120分」)

○インフルエンザ予防接種は現在精力的に実施中。すでに多くの予約ガ寄せられていて、接種の枠を拡大しながら対応しています。


●感染症情報

 おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)の流行がずっと続いています。保育園や幼稚園の中での集団発生がとまりません。耳下腺が腫れる感染症。熱や痛みが数日続き、1週間ほどすると耳下腺の腫脹がとれて、登園・登校できるようになります。時に髄膜炎や難聴などの合併症もおきてしまいます。ワクチン接種で予防が可能です。任意接種ですが、ぜひ受けておかれるようお勧めします。

 マイコプラズマ感染症(気管支炎、肺炎)も引き続き発生しています。咳がとても強くなり、喘息発作をおこすこともあります。

 感染性胃腸炎が少しずつ目立つようになっています。嘔吐と下痢が主な症状で、脱水にならないよう注意が必要。顔色が悪く、ぐったりとしている場合には早めに受診をして下さい。冬場に多くなりますので、注意をしていて下さい。

 水ぼうそう(水痘)、 溶連菌感染症などは今のところは少なめの発生ですが、やはりこれから多くなることでしょう。

 麻疹、風疹の発生も当院では確認していません。

 インフルエンザが発生してこないか、心配をしています。昨年は新型インフルエンザが秋に大流行しましたが、今シーズンはまだ本格的に発生はしていません。例年の季節性インフルエンザと同じように、1?2月に大きな流行が訪れると予想されています。ワクチン接種はぜひ年内にすませるようにして下さい。

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