2010年12月号(240号)  

 
  今年も残すところわずか。
 カレンダーも最後の1枚になりました。
 厳しい季節に向かっていますが、体調に気をつけてお過ごし下さい。
 そして良い年をお迎え下さい。



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今月の話題
 ●ほめれば変わる
 ●【ワクチン】おたふくも予防を
 ●【感染症】胃腸炎にご注意
 ●お知らせ
 ●感染症情報

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●ほめれば変わる

 前回、日本の子どもたちには自己肯定感がとても低いのが問題だと書きました。自分に自信がない。将来に対して明るい希望がない。

 でもそんなふうにしたのは、私たち大人たち。日ごろの子育ての中で、子どもたちを心豊かに育てることができていないことの結果です。日本の大人たちもまたそんな育てられ方をしてきました。その結果が、今の子どもたちの心の問題を作ってきました。

 子どもたちをほめて下さいとお願いしています。でも、大人自身があまりほめられることがありません。他人をほめることに慣れていませんし、自分がほめられることも、また不慣れです。

 子どもたちに変わってもらいたいと思うのであれば、まずは大人が変わらなくてはいけないでしょう。つい悪いところばかりを見つけて指摘してしまう。良いことをしても、当たり前としてそのままにする。ときには、わざと悪ぶれる。そんな自分を変えていかなくては・・と、これは私(院長)自身が反省しなくてはいけないと思っていることです。

 次の世代のために、まずは今の世代が変わっていきましょう。自分たちのためにもなるわけですから。


●【ワクチン】おたふくも予防を

 政府の補正予算成立を受けて、3つの新しい予防接種(子宮頸がん、ヒブ、小児肺炎球菌)は無料化に大きく進むことでしょう。当面は市町村の事業ですが、数年先には法定接種になる見通しです。

 しかし水ぼうそう(水痘)とおたふくかぜ(流行性耳下腺炎、ムンプス)のワクチンは忘れ去られています。諸外国では大いに推進され、無料で受けられているのに、日本では長い間任意接種です。費用は全額親御さんの負担。希望し、さらにお金の用意ができる家庭だけが受けられる状態です。

 水ぼうそうについては治療薬があり、軽くすませることができます。さほど重症になることもないので、かかってしまってからの治療でも仕方ないかな、と思っています。

 しかしおたふくかぜは治療薬がありません。かかると1週間ほど休みになります。そして合併症も少なくありません。

 中でも難聴が問題です。おたふくかぜ患者のうち数百人に一人の割合でおきるそうです。その程度も重く、高度の難聴が永久に続くとのこと。多くは片側だけですむのが幸いです(もしもう片方が何かのトラブルで聞こえなくなったら、音のない世界で生きていかなくてはいけません)。残念ながら有効な治療法はないようで、専門の耳鼻科でも手探りで治療をしているとのこと。

 実は当院受診の患者さんでも難聴になってしまったお子さんがおられ、直ちに専門病院へ診療をお願いしました。

 おたふくかぜにかからないようにするのは、ワクチン接種以外にありません。そしてワクチンはとても有効です。今のところは任意接種ですが、それは「受けなくてもよい」という意味ではありません。医学的にはとても重要であり、必要性が高いにもかかわらず、日本の行政が手抜きをしているだけのこと。そのような状態を長く続けさせてしまっている私たち小児科の責任もまた痛感しているところです。

 くり返します・・「おたふくかぜはワクチンで予防を」。まだかかっていない方は、ぜひ早めに接種をうけて下さい。


●【感染症】胃腸炎にご注意

 冬場は様々な感染症が流行します。その代表はインフルエンザをはじめとした風邪(呼吸器感染症)。そして「お腹にくる風邪」である感染性胃腸炎もまた問題になります。

 胃腸炎とは文字通り胃と腸の粘膜が傷む状態。嘔吐・吐き気、下痢が主な症状で、腹痛、熱なども伴います。脱水にも注意が必要です。

 症状は急な嘔吐で始まり、次に下痢になります。すぐに飲んだり食べさせたりするとまた吐いてしまいます。傷んだ胃の粘膜が落ち着くまで時間が必要。お腹を休ませるために昼寝をしたり、夜なら朝までぐっすり眠らせて下さい(数時間であれば脱水がひどくなることはありません)。

  吐き気が強い時には顔色が白くなります。普通の顔つきに戻ったら、少しずつ水分をあげて下さい。1回の量は少なめ(おちょこ1杯約15ml)。5分くらい吐かないようならまた少し。これで1時間にコップ1杯分の水分が摂れることになります。

 下痢だけになったら、お粥などの消化の良い物をやはり少しずつ試してみましょう。2?3日かけて普通の食事にもどすくらいのゆっくりペースで進めていきます。

 もしあまりにグッタリしていたり、少量の水分でも嘔吐が続くなどの場合は早めに病医院を受診し、点滴治療などを受けて下さい。

 吐物や下痢便の中には大量のウイルスがいます。それらの始末は確実に。マスク、手袋などをし、窓をあけ、ペーパーなどで取り除きます(ゴミ袋に密閉して可燃ゴミとして廃棄)。その後、市販の塩素系漂白剤を薄めたものを使って消毒します。

 手洗い、うがい、マスクなどは予防の基本。インフルエンザなど他の感染症対策としても重要です。



●お知らせ

○当院の「心の相談室」は担当の臨床心理士が産前産後と育児休業のため来年1月より秋頃までお休みです。よろしくお願いいたします。

○日本脳炎予防接種のうち1期(3回)を完了していない方で、3?7歳半未満、9?12歳の方には接種が勧奨されています。

○年末年始休診のおしらせ
・12月30日(木)?1月3日(月)まで年末年始の休診をいただきます。ご不便をおかけしますが、よろしくお願いいたします。
・わたぼうし病児保育室は29日よりお休みです。


●感染症情報

 感染性胃腸炎の流行が顕著になってきました。急に吐いたり下痢をしたりし、脱水が心配な感染症。今はノロウイルスが多いとされています。昨年の数倍の勢いと言われています。十分に注意をしていて下さい。

 おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)の流行がさらに拡大しています。保育園・幼稚園などでの集団感染から、地域全体に拡がっているよう。過去数年間は流行がなく、免疫を持っていない子どもたちが多いので、今後も流行が続くことでしょう。ワクチン接種で予防できます。

 溶連菌感染症も多くなりました。咽頭炎を起こし、とても喉が痛くなります。抗生剤を10日ほど使用する必要があります。

 マイコプラズマ感染症(気管支炎、肺炎)も引き続き発生しています。咳がとても強くなり、喘息発作をおこすこともあります。

 水ぼうそう(水痘)も少しずつ見かけています。

 麻疹、風疹の発生は当院では確認していません。

 インフルエンザの流行はまだおきていません。昨年の秋には「新型」が大流行していたのとは様変わり。今シーズンは1?2月に「新型」と「季節性」(とくにA香港型)が同時に流行するのではないかと言われています。年内にはワクチン接種をすませ、さらに日ごろから手洗い、うがい、咳エチケットを励行して下さい。

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