2011年3月号(243号) 

春の気配が近づいてきました。
これから年度末・・次のステップに向けて飛び立とうとしている方も多いことでしょう。
すてきな春の訪れになりそうですね。


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今月の話題
 ●世界に羽ばたく若者たち
 ●【予防接種】ワクチンで予防を・・VPDという考え
 ●【病気】花粉症の季節到来
 ●お知らせ
 ●感染症情報

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●世界に羽ばたく若者たち

ニュージーランドで大きな地震があり、日本人も多数被災しました。
多くの方は語学留学されていたようです。
看護師など、すでに仕事をしていながら、さらに世界に飛び出して行こうと考え、英語を身につけるために勉強されていた方もおられます。

世界の人々を助けようと高い志を持っている方々だけに、よけいに事故の悲惨さを感じます。
さぞ無念な思いをされていることでしょう。

私も医療に関わる者として、理想を描き、医療のあるべき姿を見つめていたことがあります。
今はいろいろなものに流されてしまい、自らを省みることもあります。
もしも今事故にあい、今の自分、そして将来の自分がなくなってしまったらと思うと、あまりにやり残したことが多い。
日々の生活や仕事に緊張感をもち、もっとしっかりとしなくては。

突然の大事故にあわれた方々のことに思いをよせながら、とりあえず今の自分が安全な状態でいることが幸せなことだと思えます。

また、地震をおこさないようにすることはできないけれど、それが大きな災害につながらないような対策もしっかりと考え続けていなくてはいけません。
あらゆるレベルでの対応が必要です。
行政レベルでも、個人のレベルでも。

何はともあれ、行方不明になっている方々の無事を心からお祈り申しあげます。


●【予防接種】ワクチンで予防を・・VPDという考え

一昨年から始まった新型インフルエンザのワクチン、新たに公費無料化になった3つのワクチン・・このところ予防接種をめぐる話題がよくでてきます。
ワクチンの種類が多くて、とくに赤ちゃんをお持ちの親御さんは予防接種を受けに行くのが大変かもしれません。

しかしいずれもワクチンを受けておけば防げる、あるいは軽くすむ感染症ばかりです。
同時接種や日程などを工夫しながら、順に全てを受けて下さるようにお願いします。

中には感染症にかかってもかまわない、その方がいいという方もおられます。
しかし感染症に罹患すると、症状が重くなることもありますし、予期せぬ合併症をおこしてしまうこともあります。
最悪の場合は命を落としたり、重い後遺症に悩む・・そんな危険性が自然罹患にはあります。

確かにワクチン自体にも副作用があります。
でもその頻度は自然罹患よりもはるかに小さく、また軽微なものがほとんどです。
もしワクチンに大きな副作用が見つかれば、より安全性の高いワクチンを作る必要があります。
しかし予防接種そのものを否定するべきではありません。

たとえ話ですが・・もし自動車に欠陥が見つかった場合、自動車をすべて否定し、自動車のない世界に戻ろうという主張をする人がいるでしょうか。
より安全になるよう改良を加えていくはずです。

VPDという考え方があります(下欄参照)。
ワクチンで予防可能な感染症は、ワクチンを受けることで防いでいこうという考えです。
しごく当たり前のように思えるのですが、残念ながらまだ日本では徹底されていません。

一人ひとりのお子さんを感染症から守るだけではありません。
その感染症の発生が少なくなり、流行しなくなれば基礎疾患などのためにワクチン接種を受けられない子どもたちを守ることができます。
子どもたちの間で感染症が流行すると高齢者もかかってしまいがち。こういった弱者の方も、間接的に守ることができます。

それにしても日本のワクチン状況は欧米から10年から20年遅れています。
ようやく今、「感染症輸出国」の汚名をはらし、「ワクチン後進国」から抜け出すための一歩を踏み出そうとしています。

まずは今受けられるワクチンをきちんと全て受けていただきたい。
子どもたちを感染症から守りたいという思いがさらに大きく成長することを願っています。

※VPD(vaccine priventable diseases):ワクチンで防げる病気。予防接種を受けておけばかからなくてすむ感染症のこと。


●【病気】花粉症の季節到来

春と言えば・・スギによる花粉症が多くの人を悩ませる季節です。
暖かな日に、遠くの山からスギ花粉が大量に飛んできます。昨年の猛暑の影響で、今春のスギ花粉飛散量は過去最大規模になるという嬉しくない予報があります。
花粉症の方はくれぐれもご用心下さい。

花粉を体につけないことが予防の基本。
花粉のターゲットになる鼻や目をおおい、衣服に付着した花粉を室内に持ち込まないように工夫してみて下さい。
外から帰ったらブラシで髪や衣服の花粉を落としましょう。
子どもたちはすぐにお風呂に入れるのもいいですね(花粉は水に弱い)。
周りの人たちも協力してあげて下さい。

予防薬も早めに始めましょう。
近年は眠気のない抗アレルギー薬が主流になりました。
点眼液、点鼻液も上手に使って下さい。
スギ花粉の飛散が終わる4月末か、ゴールデンウイークがあけるまで続ける必要があります。

花粉症にかかる年齢はしだいに低くなり、幼児でもよく見かけます。
子どもたち向けの薬も充実してきましたので、小児科などに受診してみて下さい。

それにしても花粉症は毎年のこと。
一度なってしまうと、おそらく一生花粉症と闘うことになります。
いくら良い薬があっても、その時をやり過ごすだけ。根本的な治療ではありません。

スギ花粉を少なくする(できればなくす)ことはできないものでしょうか。
あるいは全く新しい薬や治療法ができて、花粉症を治すことができれば、人類の幸福に大いに貢献することになるのですが。
そんな話はまだ夢なのでしょう。


●お知らせ
○子宮頸がんワクチンの公費無料化が始まりました(中1?高1女子)。
毎月最終土曜の午後に特設外来を設けました。ご利用下さい。


●感染症情報

インフルエンザはA型(その大部分は「新型」)が予想通りに2月上旬に大きな流行になりました。
中旬以降は次第に患者発生が少なくなっています。
しかし例年よりもそのスピードがゆっくりで、終息までまだしばらく時間がかかりそうです。
また例年は春先にB型が流行する傾向があります。
今月もまだ引き続き注意をしていて下さい。

溶連菌感染症の流行がまだ終わっていません。
強い喉の痛みと熱の出る感染症で、抗生剤による治療の必要があります。
一度かかっても十分な免疫ができないために、周囲での流行からまたかかってしまうこともあります。

感染性胃腸炎もまだ少しずつ流行しています。
春先までは流行しやすく、やはり注意が必要です。手洗い、うがいなどをこまめに行って下さい。

おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)と水ぼうそう(水痘)もまだ発生中。
いずれもワクチン接種である程度予防することができます(任意接種)。
まだかかっていない方はぜひ受けて下さい。

マイコプラズマ感染症の発生も続いています。
気管支炎や肺炎を起こし、咳がとても強くなります。

RSウイルス感染症も冬場にはよく見かけます。
乳児の細気管支炎をおこし、咳や喘鳴が強くなり、時に呼吸困難になることもあります。

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