2011年4月号(244号) 

このたびの東北関東大震災で被災された皆さま方に

心よりお見舞い申し上げます。

また一日も早い復興を祈っております。


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今月の話題

 ●新しい年度を迎えて

 ●【予防接種】ヒブ、肺炎球菌ワクチンが再開です

 ●【一言】「想定外」の原発事故

 ●お知らせ

 ●感染症情報


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●新しい年度を迎えて


春です。

新しい年度が始まり、多くの皆さんが一つ高いステージに上っていかれることでしょう。

期待と不安・・いろんな経験はすべて心の糧(かて)になるのだと思います。頑張ってください。


しかし、新しいステージがやってこない方も少なくありません。

このたびの地震や津波、そして原発事故で被災された方々です。


被災地では少しずつ復旧に向かっているとは思いますが、元のような生活に戻れるにはどれくらいかかるでしょう。

放射線から避難された方々が自分の家に戻れる日は、いったいいつになるのでしょう。

先の見えない状態に置かれている様子を思うと、胸が痛みます。


「頑張れ!」と声をかけていいのかも分かりません。

でも、やっぱり頑張ってください。

日本中から、そして世界中から、応援のエールを送り続けることが、きっと被災地の方々の心に届くものと思います。

そう信じています。


いつか必ず被災地が復興し、本当に春を楽しめる時が来ることを切に願っています。

その日まで一緒に頑張っていきましょう。

日本が元気になり、みんなが笑顔になれるために。



●【予防接種】ヒブ、肺炎球菌ワクチンが再開です


乳幼児の髄膜炎を予防する2つのワクチン(ヒブ、肺炎球菌)の公費無料化が始まり、さっそく多くの子どもたちに接種を受けてもらいはじましたが・・

3月4日、厚生労働省の指示で接種見合わせになっていました。

これらのワクチン接種後に死亡するお子さんが数例出たために、その原因を調べたりする時間が必要とのことでした。


その後専門家からなる審議会で検討した結果、直接ワクチンが原因になったわけではないであろうという結論になりました。

(因果関係を完全に否定することは難しいのですが、心臓病などの基礎疾患が悪化したり、窒息事故などの突然死によるものが考えられるということです)


それを受けて、厚労省は4月1日より接種の再開を指示しました。

当院でもさっそく対応したところです(ワクチンの納品が遅れ気味なので、4月中旬からの接種になります)。


両方のワクチンとも初年は1か月おきに接種するので間隔がそれ以上空いてしまう方も多いでしょう。

続きのワクチンを接種すればそれ以降の効果は十分に得られるとのこと。

最初からやり直す必要はありません。


いくつかのワクチンを同時に接種する方法が一般的になってきましたが、そうではなく、それぞれを単独で接種する方法でもかまいません。

親御さんの希望される方法で対応いたします。


ここ1か月ほどの間、ご心配された親御さんも多かったことでしょう。

私たちも審議会などの成り行きを注視してきました。

厚労省のホームページには審議会の内容だけではなく、そこに提出された事例の資料などもすべて公開されていました。

以前であればそれらを知ることは「部外者」にはできなかったことです。


また1か月弱での再開はスピーディーだったという印象です。

行政の仕事の進め方が良い方向に変わってきたのでしょう。

そして、これらのワクチンが乳幼児を髄膜炎から守るためにとても大切なものだという基本認識がしっかりしていたからだと思います。


少々脇道にそれ、道草を食っていたようですが、それなりの成果のあったことが見えてとれました。

今後も子どもたちの健康増進のために、そして命を守るために、予防接種事業がさらに充実していくことを望みます。


次はおたふくかぜ、水痘(みずぼうそう)などの任意接種を、一日も早く公費無料化が実現し、いずれは法律に定める定期接種になることを期待しています。



●【一言】「想定外」の原発事故


東北関東大震災によって福島第1原子力発電所は重大な事故をおこしてしまいました。

地震そのものでは安全に運転が終了したものの、その後の大津波によって電源施設などが使えなくなり、炉心などを冷却することができない事態に陥りました。

その後の懸命な放水や復旧作業などによっても、いまだ事態は収拾されず、放射能汚染が周辺地域だけではなく、首都圏などへも問題が拡大しています。


日本の原発は安全だと言われていました。

確かに今まではそうでした。

しかし、ひとたび「想定外」の被害が及ぶと、コントロール不可能な状態になってしまうことを、事実が教えてくれています。

それは原発そのものがもつ危険性なのだといえばそうでしょう。


でも同じ地震と津波にあっても安全に停止している原子力発電所もあります。

災害の「想定」をどのレベルまで高め、それに対する予防処置を講じていたのかの違いが原発事故につながったことは間違いないでしょう。


「想定外」という言葉はただの言い訳です。

事故を正当化することはできません。

想定していなかったこと自体が問題なのですから。

報道では以前から津波への対策が不十分であると、具体的に指摘されていたそうです。

それらの批判や意見に真摯に対応していたら、このような深刻な事態には至らなかったことでしょう。

東京電力も政府も、その責任は免れません。


今、過去のことをとやかく言っても事態の改善には役にたたないでしょう。

でも、まだ多くの原発が運転されています。

本当の意味で安全に運転できるよう、あらゆることを想定し、思い切った対策をすることが求められています。



●お知らせ


○節電と停電対応について

・震災により電力事情が逼迫しており、当院においても安全に支障のない範囲で節電をしています。ご協力をお願いします。

・東北電力でも計画停電を予定しています。当院では停電時でも自家発電により診療と病児保育を行えるようにしています。

エアコンが使えないなどのご不便がありますが、ご了承下さい。


○子宮頸がんの予防接種はワクチンが供給されず今は中断していますが、夏頃より順調になる予定です。しばらくお待ち下さい。



●感染症情報


インフルエンザの流行は3月には次第に下火になっていましたが、そのスピードはゆっくりで、まだ終息には至っていません。

A型だけではなく、B型インフルエンザの発生も少しずつ出ています。

完全に発生しなくなるまで、もうしばらく注意をしていて下さい。


感染性胃腸炎が3月にはまた大きな流行になりました。

秋にも一度流行があり、冬には下火になっていたものです。

秋の流行はノロウイルスが、春の流行はロタウイルスが多いと言われています。

これまでと同様に手洗い、うがいなどをこまめに行い、予防に努めてください。


溶連菌感染症の発生はやや少なくなってきました。

強い喉の痛みと熱の出る感染症で、抗生剤による治療が必要です。

治療しなかったり、不完全な治療をすると、まれに急性腎炎やリウマチ熱(心臓の弁膜に障害が残る病気)などの合併症を起こすことがあります。


おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)と水ぼうそう(水痘)の発生はいずれも減少傾向です。

しかし新学年が始まり、これまでかかったことのない乳幼児が集団生活をするとまた増加する可能性もあります。

いずれもワクチン接種である程度予防することができます(任意接種)。


マイコプラズマ感染症の発生も続いています。気管支炎や肺炎を起こし、咳がとても強くなります。


感染症ではありませんが、スギ花粉症の患者さんがとても多くなっています。今春の飛散量はとても多く、4月いっぱいは続くでしょう。

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