20116月号(246号)  

関東や西日本は例年より早く梅雨入りしました。

さて今年の夏はどうなるのだろう。


よけいに暑さが気になるのは電気事情のせい。

あまり電気を使わなくていいような天候だといいのですが。

自然がどう振る舞うのか、心配です。


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今月の話題

 ●開院から21年になります

 ●【感染症】夏はとびひにご注意

 ●わたぼうし病児保育室の10年をふりかえって

 ●お知らせ

 ●感染症情報


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●開院から21年になります


6月は当院開院記念の月。開設から21年が経ちました。

併設の病児保育も10年続いています。

思えば長い道のりだったのかもしれません。


開業医として特別なことをしようとは思っていませんでした。

自分がやりたいと思い、地域のためにしなくてはいけないと考えたことをカタチにし、それを日々積み重ねた結果が今にいたっています。


33歳での開業は当時は早いと言われました。

そんな私も今は54歳。

ふと、あと何年仕事ができるだろうと思う時もあります。


歳もとってきましたが、年月を重ねてきたからこそできることもあるはずです。

この先、さらにやりたいこともたくさんあります。

でも、何よりも「今」を継続していかなくては。


時々「過去」を振り返るのは大切です。

作ってきたものを実感し、できていなかったことを知る。

そしてまた前を向いて歩いて行こうと思います。


パワーの源は、やっぱり子どもたち。

小児科医であることが嬉しくなるような体験を毎日、いっぱいさせてもらっています。

そんな子どもたちのことを思うと、まだまだ元気にやっていけそうですよ。



●【感染症】夏はとびひにご注意


暑い季節になると必ずとびひ(伝染性膿痂疹=のうかしん=)が増えてきます。

小児科の外来がまるで皮膚科のようになるといっても、それほど過言ではありません。


とびひは皮膚表面の感染症。

主にブドウ球菌という細菌が繁殖し、汚い水疱を作ります。

そこには大量の細菌がいるので、自分のほかの皮膚に移ったり、ときにはほかの人に移してしまったりもします(だから「伝染性」といいます)。


もしとびひになってしまったら、その皮膚面を清潔にし、抗生物質を塗ったり飲んだりします。

症状が強い場合には点滴することもあります。

また程度によっては登園(登校)停止になる場合もあります。


子どもたちの皮膚はもともと抵抗力が弱く、細菌に感染しやすい性質があります。

夏場はあせもなどによって皮膚の状態は悪くなっていますし、汗やよごれは細菌が大好物。

どんどんと繁殖していきます。


やはり大切なのは予防です。

とびひにならないよう、皮膚の清潔にはたえず心がけましょう。

毎日の入浴は当然ですが、日中も汗をかいたら石けんを使って皮膚をきれいにして下さい。

ビニールプールに水道水を入れて水遊びするのもいいですね。


あせも、虫さされなどの皮膚のトラブルがあったら早く治して下さい。

また、そこをひっかかないように注意を。爪は短く切り、手洗いもこまめに。

鼻の穴は細菌の巣です。

鼻をいじらないようにして下さい。


こういった日ごろのスキンケアを丁寧に行うことが、とびひの予防につながります。

また、もしとびひになった時には早く治療を受けて下さい。

皮膚科か小児科へどうぞ。


間違いやすいのはとびひになってしまったあとのケアです。

皮膚は清潔にしていてほしいので、石けんを使って洗って下さい。

軽ければそのまま入浴できます。

ひどいようなら、シャワーだけにして下さい。


濡らしてはいけないと思って、ガーゼなどで覆いっぱなしにしていると、かえってとびひがひどくなることもあります。

またすり傷などをきれいにしないままガーゼやカットバンを貼ってとびひになってしまうお子さんをよくみかけます。

傷は水道水で中の汚れをよく洗い流すなど、適切にケアをして下さい。


夏もスベスベ皮膚に心がけて、とびひを予防しましょう。



●わたぼうし病児保育室の10年をふりかえって


当院併設の「わたぼうし病児保育室」が今月で10周年を迎えます。

当地における子育て支援の一つとして定着し、今ではなくてはならないものになっていると自負しています。


一昨年より上越市の病児保育事業の委託を受けています。

それまでは医院単独の取り組みでしたが、今では公的な事業となり、より多くの方に、より安定して病児保育のサービスを受けていただけるようになっています。


利用者数は年間で2千人以上(平均1日約10人)で、まだ増加傾向です。

この数字・・実は全国トップレベル。

大都会でも県都でもない小さな地域なのにどうしてと思われるでしょう。


それは「断らない」を運営の原則にしてしているからだと考えています。

実際にこの10年間で断ったお子さんは一人もいません。


子どもの病気は急におきるもの。

そして急には休めないのも、責任をもって仕事をしている社会人にとっては仕方のないこと。

であれば、その「急」に完全対応することが病児保育の基本でなければならない。

そう考えて実践してきました。


「子どもが病気の時くらい親は休め」という声も聞こえてきそうです。

そんなことは言われなくても、親であればみんな思っているのでは。

そうしたいけれど休めない、だから困っているのだと思います。


全国に少しずつ広がってきている病児保育ですが、当施設のような方針は少数派のようです。

これからは小児科医の意識も変わっていかなくてはいけないのかもしれません。


「親の心子知らず」という言葉があります。

もしかしたら「親の心、小児科医知らず」になっているのかも。

わたぼうしの次の10年の課題が見えてきました。


ともあれ、まだまだ発展途上の事業です。

これからも親御さんの子育て支援を通して、地域の子どもたちがより幸せになっていけるよう、日々努力を重ねてまいります。

これからもどうぞよろしくお願いします。



●お知らせ


○上越ケーブルテレビの番組「子育て応援団」の中で、当院からの感染症情報を毎週お届けします。

院長の顔出しです。どうぞよろしく。


○6月18日(土)病児保育室で「わたぼうし広場」を行います(午前10時~11時)。

10周年記念です。どうぞご参加下さい。



●感染症情報


インフルエンザが5月も大きな流行でした。

大半はB型です。春先に多く発生しやすいのですが、この時期にこれだけの規模でおきたことは私には経験がありせん。

6月には終息するとは思いますが、ひきつづきご注意をお願いします。


感染性胃腸炎の流行もまだ収まりません。

この季節はロタウイルスが多いようです。

主な症状は秋のノロウイルスと同様ですが、「胃腸炎関連けいれん」をおこしやすいと言われています。

脱水などが軽度でも急に全身性けいれんをおこしてしまうことがありますので、注意深くお子さんを見ていて下さい。


溶連菌感染症の発生は逆に多くなった印象です。

強い喉の痛みがあり、抗生物質による治療が必要です。

治療をきちんとしないと、リウマチ熱や急性腎炎などの合併症をおこす可能性もあります。


水ぼうそう(水痘)はやや減少。

おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)は少数の発生です。

いずれもワクチンによって予防できる感染症です。

まだかかっていない方はぜひ受けて下さい(任意接種)。


りんご病(伝染性紅斑)が全国で多くなり心配されていますが、当地域では少数の発生です。


風疹が若干ですが、当地域でも発生したという情報があります。

もし妊娠初期の女性が罹患すると、胎児に重い奇形を生じさせる可能性があります。

今後の情報に注意して下さい。