1997年2月号(74号)

今年も暖冬、少雪かと思っていたら、やはり雪国の冬。先月下旬には、まとまった雪が降りました。上越の市内でも、1メートルほどの積雪があります。

2月は、一番厳しい季節。でも、それを過ぎると、春はもうすぐです。

危機管理を考えよう

先月は、日本海でおきたタンカーからの重油流出事故で、当地も大揺れでした。砂浜や磯が、真っ黒い重油でべっとりと汚れた様は、すさまじいものがあります。魚介類、鳥への影響は大丈夫でしょうか。夏の海水浴は、どうなるでしょうか。

それにしても、今回もまた、「危機管理」のあり方が問われました。こういった重大事故も想定し、十分な器材や人員を用意しておくべきでした。阪神大震災で、いったい何を反省し、改善したのでしょう。

病原性大腸菌O-157についても、心配です。昨年、堺市の学校給食を舞台にした大規模な食中毒事件がありましたが、その後、どれほどの対策がとられたのでしょうか。今年はおきないという保障は、どこにもありません。日本の牛の数%は、この菌を保有し、汚染された食肉は、常時市場にでまわり、私たちの口にはいっています。おおもとの食肉と、調理方法の安全性は確保されたのでしょうか。

「喉元すぎれば・・」といった日本人の気質の問題もありますが、本当の意味で「危機管理」ができていないこの国の政治の貧しさを痛感します。

インフルエンザが流行

上越では、年末にインフルエンザの大流行がありましたが、老人の死亡が、少なからず報告されてきました。これらは、実は以前から言われていることであり、諸外国では、インフルエンザの予防は、老人に焦点をあてて行われています。たとえば、アメリカでは、インフルエンザにより年間数万人の老人が死亡すると推定されていて、65歳以上の方には無料でワクチン接種を受けられ、60%以上の接種率になっています。

しかし、日本では、無策というほかありません。きちんとした対策を望みます。

インフルエンザの流行について、NT21(新潟テレビ21) の「いきいきワイド」の中でお話をしました。その概要を、次に掲載しましたので、お読みください。


NT21「小野沢裕子のいきいきワイド」生出演

「インフルエンザ・パニック」

小野沢裕子(キャスター) 新潟県で、上越を中心に年末年始にインフルエンザの大流行がありました。今がピークなのか、これからどうなるのか、じっくりと伺ってみたいと思います。

塚田次郎 上越地方では12月中旬から、インフルエンザが非常にはやりまして、かつて経験したことのないような大流行になりました。年末年始の休日診療所でも、パニック寸前の状況で診療していました。

小野沢 インフルエンザというのは、風邪とは違うのですか。

塚田 広くいえば風邪の一つなんですけれども、「風邪の中の王様」とも呼ばれています。まず、実に高い熱が、いきなりでる。元気に朝、家をでていった子どもが、具合が悪いと呼ばれて学校に迎えにいったら、高熱になっていた。急激な熱のでかた。その時に、さむけ、体のだるさ、腰や筋肉の痛さもある。さらに、吐き気を伴うこともあります。そんな、全身がぐったりするような状態が、3日から1週間続く。

小野沢 何だか、病気のフルコースといった感じがしますね。

塚田 インフルエンザかどうかということは、なかなか分かりづらいんですけれども、私たちは、地域で診療していますと、保育園などで、どれくらい流行っているか、知ることができます。大きいお子さんがくると、「お友達、どれくらい休んだの?」と質問することがありますが、「クラスの半分も休んでいる」というような話が聞けると、これは、普通の風邪ではない。インフルエンザかもしれないな。そんな目で見ていくと、そういえば、ほとんど同じ症状で患者さんが次々に来られる。これはインフルエンザだな、と考えるわけです。

司会 感染力は強いんですか。

塚田 非常に強いです。1人でもインフルエンザの患者さんがいると、クラスでたちどころに流行する。これがインフルエンザの怖さです。

小野沢 インフルエンザには、どんな種類があるんですか。

塚田 世界中で警戒し、ワクチンの中に使用しているものに、3つのものがあります。A香港型、Aソ連型、そしてB型。ですから、1回インフルエンザにかかったから、もう大丈夫ということはない。また、ウイルスの表面の形が、毎年、少しずつ変化するので、同じA香港型でも毎年のようにかかることがあります。

小野沢 そうすると、また新しいインフルエンザが登場する?

塚田 毎年おきる小変化の他に、10年から20年に1度、大きな変化がおき、全く新しいウイルスが出現する可能性があります。A香港型は今から約30年前に、Aソ連型は約20年前にできたウイルスで、ここ二十年ほどは、新しいウイルスがでていない。新しいウイルスは中国大陸でできてきますが、インフルエンザA「X」と呼んで、 世界中で今、警戒しています。

小野沢 今回は、年末に流行がきましたが、・・

塚田 例年、新潟の流行は、関東ではやったあと、1月の中・下旬からおきます。ちょうど、年末年始の帰省の時にもちこまれるのかもしれません。しかし、今回は丸ひと月早い。では、これで終わったかというと、どうもそうではないように思います。上越でも、まだはやっていない保育園や学校がありますし、県内では、新潟市、魚沼、岩舟、佐渡などでは、まだまだ注意が必要です。そして、今回はA香港型だといわれていますが、別なタイプのインフルエンザの流行も、またおきるかもしれない。

多賀(コメンテーター) 同時に違う種類のインフルエンザにかかることもあるんですか。

塚田 重複感染もありうることです。また、新しいタイプのインフルエンザが登場したら、私たちは全く経験したことがありませんので、おそらく地球上の4分の1が、ほとんど同時にかかることになると言われています。

小野沢 小さいお子さんも気をつけなれけばいけないけれど、お年寄りも危険なんですね。

塚田 インフルエンザから気管支炎や肺炎をおこしたり、別な余病がでたりしやすい点では、お年寄りこそ、インフルエンザから守られなければいけない。シーズン前に、できるだけ予防接種を受けておいて、できるだけ軽くすむようにしておいてほしいです。

小野沢 予防接種の時期は過ぎてしまったのですが、私たちはどうやって予防したらいいですか。

塚田 流行の情報には敏感になっていて、はやっているというふうにきいたら、混雑しているところへの外出はできるだけ控えてほしい。学校や保育園も、風邪気味で体調が悪いようなら、無理には行かずに早めに休んでほしい。風邪をひいたなと思ったら、しっかり休養し、栄養のあるものや水分を十分にとってください。うがいや手洗いも忘れずに心がけていてほしいと思います。

小野沢 そういったことは、基本的なことなんですね。

塚田 インフルエンザに特効薬はありません。いかに予防するか、そして軽くすませるか。体力をしっかりとし、できるだけ感染を防ぐことが大切です。

(1月15日放送、NT21「いきいきワイド」より)