1997年11月号(83号)


 十一月に入り、すっかり寒くなりました。一雨ごとに、冬の訪れを感じさせます。もう冬支度を急がないといけない季節になりました。

新しい薬剤情報提供の工夫=「くすりのしおり」

当院では、薬の情報をきちんとお伝えするために、いろいろな工夫をしています。薬そのものが何であるか分かるように、薬剤名や主な効果などを袋に印字したり、シールを貼ったりしていますが、これだけでは情報量が少なく、不満足でした。そこで、もっと詳しい内容を分かりやすく提供するために、「くすりのしおり」(内服編)を作成しました。 当院で使用してい内服薬の全てについて、一般名、主な効果、気をつけてほしい副作用などをまとめて書きました。

最近は、医療機関や薬局で、処方ごとに「薬剤情報」を書いた紙を渡してくれるところが多くなりましたが、必ずしも分かりやすいとは言えず、その内容もコンピューターが自動的に作っているだけのものも少なくありません。当院では、簡単な内容は薬そのものを見れば分かり、さらに詳しい内容は「くすりのしおり」で知っていただこうという、二段がまえの方法で行うことになります。

現在は院内で作成したお試し版で、内容を再検討したのち、来月には本格的に使用できるようにします。(外用薬は次に作成します。)

薬局の窓口で差し上げていますので、ご希望の方はお申し出下さい。また、ご覧になった感想をお聞かせ下さい

インフルエンザの流行に備えてワクチンを

昨年は、当地でもインフルエンザが大流行し、ずいぶん多くの患者さんがでました。一時は「パニック」と呼ぶほどの状況だったことは、記憶に新しいかと思います。

とくに老人施設での流行から、少なからずなくなる方がでて、大きな社会問題になりました。

子どもでは、さほど重症になることはありませんが、でも、心筋炎や脳炎といった合併症も報告されています。インフルエンザを決して軽く考えてはいけません。

インフルエンザ・ワクチンは、その年の流行の予測から、毎年違うものが作られます。今年のワクチンでは、A香港型は昨年と同じですが、Aソ連型が新たなものに変わり、B型が昨年のもののほかにもう一つ加わり、合計4つがブレンドされています。全く新しいウイルスが出現しない限り、この冬はこのワクチンで対処できそうです。

インフルエンザの予防接種は、希望される方だけに任意で行っています。(1回2,500円で、2回の接種が必要です。)ご希望される方は、受付までお願いします。

院内処方でいろいろな工夫をしています

昨年9月から始まった院内処方では、多くの工夫をし、以前より良い医療を提供できるようになってきたのではないかと考えています。

私(塚田)が、現在の医薬分業には多くの問題があると指摘したものが、全国レベルでも注目されるようになりました。国が目指す医薬分業の姿と実際とは、あまりに違いすぎています。ここできちんと、良い医療を提供するために、どんな投薬の仕組みが必要なのか、広く議論すべき段階にきています。このまま、ずるずると医薬分業が進むことは、患者さんにとって本当に幸せだとは、とても言えません。

医薬分業が、全ての面で優れているわけではありません。

院内処方でのメリットの一つに、お薬の情報提供や調剤上の工夫が、医師の側の意図どおりに、しかもタイムリーに行えるということがあります。とくに小児科では、薬をきめ細かく工夫する必要があり、院内で薬剤師と協同で投薬業務が行えることが、実に役に立っています。

1ヶ月ほど前から新たに始めたことの一つに、水薬の小分け(分注)があります。水薬を渡しながら、誤って多く飲んでしまわないか、いつも心配しています。1回分を示してはいますが、大人の方も間違えやすかったり、子どもが瓶ごと口にして、一気に飲んでしまうこともあるかもしれません(当院では、投薬瓶そのものも一般とは違うものを使っていますが)。特に熱さましの薬は、1回量が少ない一方で、多く飲んでしまうと、体温が下がりすぎる副作用がおきてしまうかもしれません。

そこで、熱さましのシロップ剤を、1回分ずつ小分けしてみました。まだ試行段階ですが、事故を起こしたりすることを防げ、正確に服薬させられるということで、おおむねうまくいっています。

もう一つ、錠剤やカプセル剤も工夫してみました。こちらの方は、何種類かがでると、1回に飲むのが同じ錠数でないことがよくあります。抗生剤は1錠ずつだが、咳止めは2錠ずつ、というように。薬袋の表にはっきりと書いておき、お渡しするときにも説明するのですが、実際に飲むときには、分かりづらいことがあったと思います。そこで、1回に飲む薬をビニール袋に入れ、薬袋の裏に見本として貼ってみています。こちらもご利用になった方には、なかなか評判が良いようです。

こんな小さなことですが、院内で直接お薬をお渡しできることに、喜びのようなものも感じています。

今の日本では、残念ながら医薬分業を進めようという動きばかりが盛んで、当院のように院内処方をすると、いろいろと大変なのですが、しかし、良い医療を提供するという基本をきちんとふまえることが、最も大切だと考えています。

いろんなご意見やご要望があると思いますが、どうぞお気軽にお伝え下さい。