1999年12月号(108号)

先月から急に寒くなり、もう冬です。一雨ごとに冷たい感触が襲ってきます。西の山から低い雷もとどろいてきます。

暦が残り一枚になったというのに、新年に向けての準備が何も進んでいません。今年もまたあわただしく、過ぎ去っていきそうです。

インフルエンザワクチンの不足で混乱・・

先月から外来がにぎやかです。今年はあまり風邪などがはやっていないというのに。原因は、インフルエンザの予防接種です。昨年の2倍近くのワクチンを購入していたのですが、接種の開始から1か月足らずで、予約が一杯になってしまいました。

こんなに希望者が増えたのも、「子どもを脳炎・脳症から守るために」とお話ししてきたことに耳を傾けていただいたからだと思います。

でもワクチン不足が深刻です。生産量が昨年の130万人分から350万人分に増えたけれど、それ以上に希望者も増えているという実感があります。また公費でできないことも問題です。自分や家族を守るため、それぞれがお金を出しているだけ。国は直接的には全くお金を使っていません。こんな「危機管理」は、情けない限りです。

当院では、大人の接種を1回にさせていただき、その分を子どもたちへ回しています(大人は1回の接種でも、ある程度免疫ができます)。「子ども優先に」とお願いし、多くの方からのご協力をいただいていますが、そんなやりくりにも限界があります。

安心して接種を受けることのできる体制を早く作っていただきたい。(「危機管理の極意は先送り」というのがこの国の得意技ですので、来年も同じ事をしていそうなイヤな予感があるのですが・・)

ウイルス性胃腸炎への対処法

先月からウイルス性胃腸炎が流行してきました。吐いたり下痢したりするので、「吐きくだし」「嘔吐下痢症」などとも呼ばれています。

ついさっきまで何ともなかった子が、急にお腹を痛がって吐き始めます。1、2回吐いて終ることもあれば、何回も繰り返し嘔吐し、ぐったりしてくることもあります。

ここですぐに飲み物や食べ物を与えないことが大切です。この病気は胃の中がただれていて、物を受け付けないのですが、お腹をからっぽにして休ませてあげると、吐き気が治まってきます。

脱水が心配ですよね。でもご安心を。少しの時間は大丈夫です。例えば夜眠る前に何も水分をとらなくても、朝起きたときに点滴をしなくてはいけないような脱水状態にはなっていませんね。その間に汗をかいたり、おしっこを作ったりしていますが、半日程度の予備力は子どもにもあります。

吐いたあと、まだお腹をいたそうにしていたり、顔色が悪いようなら、何もとらせないで休ませてください。眠ってくれると、そのあいだは体もお腹も休まるので一番良いのです。

吐き気がおさまると顔色が良くなり、楽そうな様子になります。そうしたら、薄い番茶や麦茶のようなものを、ほんの一口ずつゆっくり飲ませてみて下さい。それで腹痛や嘔吐がないようなら、また次の一口、というように、症状を確かめながら、ゆっくり進めるのがこつです。

もし、半日ほど待っても嘔吐が止まらないときや、けいれんや意識障害などの重大な症状があれば、点滴治療などが必要ですので、すぐに受診して下さい。