塚田次郎著

「日報を読んで(3)」(1999.6.22)


「健全な銀行」へ追求を

ここ1、2週は毎日があまりに慌ただしく過ぎていった。県内では新潟中央銀行への早期是正処置の発動、全国的には日本長期信用銀行の元頭取らの逮捕、さらにコソボからのユーゴ軍の撤退とNATOの空爆停止などがあいついだ。

11日付本紙は、それらが全て一面に重なり合うという異例の紙面となった。どれも極めて重要であるが、新潟中銀がトップ記事に選ばれた。この時点ではまだ是正処置は出されておらず、フライングかとも思われたが、編集部では確度の高い記事を提供できる自信があったのであろう。このことは、その後の展開が立証している。

新潟中銀が是正処置を受けるに至った原因は、自己資本比率が基準より大きく割り込んだためであるが、問題はむしろ、決算内容を発表からわずか数週間で大幅に修正したことにあるのではないか。301億円の貸出が、健全債務から「破たん懸念企業への不良債権」に変更された。資産査定に関する大蔵省からの通達はすでに2年前にだされている。監督庁からの指摘があってからの変更とはどういうことであろうか。

長銀の粉飾決算事件では、この通達を「都合の良い部分だけを取り出して拡大解釈していた」ことが問われている(11日付夕刊)。また、長銀の系列ノンバンクが「バブル期に本業を忘れ、過剰な不動産融資にのめり込み、膨大な不良債権の山をつくった」(同)と指摘され、「18年間君臨した杉浦氏」が「経営ゆがめたワンマン体制」を作ったとも追及されている(12日付夕刊)。

新潟中銀に関するその後の報道では、増資による再建や頭取の交代が主で、不良債権については触れられていない。今回不良債権とされたものはどんなものか、なぜこれまで「健全債権」に分類されていたのか、査定の基準に通達違反はなかったのか、粉飾決算や不正な融資はなかったのか、本当に債務超過に陥っていないのかなど、ぜひ明らかにしていただきたい。

頭取の辞任が、決算修正から2日後に発表された。頭取は11日の記者会見で「進退は考えていない」と発言したが、13日には「辞任は9日に決めた」と語っている。この矛盾した発言が経営トップによるものであることに、この事件の問題の根深さをかいま見る思いがする。と同時に、なぜ記者は明確な説明を求めないのだろう。あるいは、紙面で言及しないのであろうか。

11日付社説(「粉飾への軌跡を解明してこそ」)は、長銀事件に関連して大蔵省などに「説明責任」を求めている。新潟中銀については、なによりも銀行自らが、これまでの経営について誠意をもって説明し、経営の透明性を保障すべきである。紙面でも、健全な銀行となるべく、追及すべきものはきちんと追及していただきたい。それらなくしては、経営再建のために「地域に必要不可欠な銀行としての理解と協力が得られる」(15日付社説)ことはありえない。