塚田次郎著

新潟日報夕刊「晴雨計」(3)


主人公は子どもたち

(2004年11月18日)


 小児科外来は子どもたちが主人公。だからいつもにぎやかです。時には待合室がおもちゃ箱をひっくり返したような騒ぎになっていることもあります。

 付き添いが多いのも小児科の特徴。子どもだけで来ることはなく、必ず大人が付き添っています。きょうだいがいっしょに受診したり、付いてきたりもしますし、時には子ども一人に両親、祖父母といった具合に、一家総出で来られることもあります。五十人の受診者がいれば、百人以上の人たちが待合室に来ることになるわけです。

 もちろん人数だけがにぎやかさの原因ではありません。たとえば、赤ちゃんや小さな子の泣き声! どこにそんなパワーがあるのかと不思議です。元気で大きな声を出す子どもたちもいて、まるで保育園のよう。時々はお母さん方のしかる声もしてきます。そうとうな「騒音レベル」ですが、でも苦にならないのは小児科ならではです。

 診察が終わったあと、「付き添いの子」から自分も診察をしてほしいとリクエストされることがあります。もちろんOK。無料診察の始まりです。診察用のイスにすわらせ、胸と背中に聴診器をあて、のどもアーンとしてのぞきます。本職を相手にした「究極のお医者さんゴッコ」に子どもは大喜びです。

 帰るときのあいさつは、親御さんには「お大事に」が定番ですが、子どもたちには「バイバイ」。初めて聞いた方は、何という医者だと思うかもしれませんね。でも、診察のとき大泣きをしていた子も、最後にはニッコリ笑って帰ってほしいと思っています。だから「バイバイ」。

 「またおいで!」とも言います。病院を受診することは好ましくはありませんが、子どもはたびたび風邪などで具合いが悪くなるもの。そんな時に小児科医を頼りにしておいでという意味合いです。商魂たくましいというわけではありませんので、お間違えなく。

 小児科医と子どもたちの付き合いは、普通の医者と患者の関係とはずいぶん違いますね。子どもたちが小児科医を「頼りになるお兄ちゃん」くらいに思ってくれると嬉しいです(ちょっと年齢的に無理?)。

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