塚田次郎著

「病気の子どもは、みんなでみよう」
(1999年7月)


AERA1999年7月26号への投稿

「保育園vs.母親 病気の子供をだれがみるか」(30号51ページ)について

子どもはしょっちゅう病気や怪我をします。とくに保育園に入ると、まず半年間はよく風邪をひいたりしして休みがち(よく冗談でお母さん方に「最初は保育料を半額にしてもらうといいね」と言っています)。そんな子どもたちにどう対処すればいいか。保育園と親との間で、それぞれが自分の立場や事情に固執していては、間に立つ子どもたちが不幸です。

保育園には、「保育に欠ける児童を入所させて保護する」(児童福祉法)という役割をどうすれば果たすことができるのか、真剣に取り組んでいただきたい。医療行為は行わないという原則は原則であって、ときには弾力的な運用も求められます。(命に関わる緊急時には、当然救急処置が必要ですし、一定の介助や医療行為を行うことでみんなと同じように集団生活のおくれる障害児もいます。)

親はそれなりの事情はあるにせよ、普段から何でも保育園任せにしていてはいないでしょうか。それに、親は母だけ? このレポートにも父親の姿は見えてきません。普段から家庭の中で、固めておかなければならないことは色々ありそうです。

大切なのは、子どもを中心におくこと。親と園の両者がすべきことをきちんと行い、日常的な話し合いを通して、良い信頼関係を築いておけば、多少のことで両者がいがみあい、子どもを悲しい思いにすることはないと思います。少子化が大きな社会問題になっていますが、少なくなった子どもたちを、もっと大切に育てましょう。

また、医療を行う保育施設がきちんと整備されることも、この問題の重要な解決策です。これがいわゆる病児保育で、厚生省の補助もあり、全国的にも少しずつ増えてきています。私のいる上越市には二カ所設置され、共働き家庭の子育てを力強く支援しています。

なお、熱を何度以上とするかは、小児科では古くて新しい問題です。一般に子どもは平熱が高く、周囲の温度や運動・食事などの影響を受けやすい。個人差も大きい。その子の平熱と比較しての体温でなければ、熱かどうかは決められません。ちなみに、予防接種の現場では、厚生省作成のガイドラインに基づき、37.5度までを平熱とする扱いが一般的です。

また、とびひは、範囲や程度が軽度であれば、プールや入浴を除いて登園そのものは差し支えないとする意見が、小児科医の常識だと思います。同様に、手足口病、りんご病、水いぼなどは、本人の様子に問題がなければ、一律に登園停止にする必要はありません。

(朝日新聞社刊 週刊「AERA」1999年30号(7月26日)掲載)

このページの
トップへ

目次の
ページへ

このホームページ
のトップへ