塚田次郎著

「流感の予防に国は積極策を」

(1999年12月)


朝日新聞「声」欄1999年12月4日掲載

流感の予防に国は積極策を

(原題「インフルエンザは重要な危機管理」)

小児科医 塚田次郎(新潟県上越市 42歳)

先日、論壇で毛利子来氏の「インフルエンザ予防接種慎重に」という意見を読んだ。氏は「予防接種には、いくつも大きな疑問がある」「副作用の害の方が心配」という。

しかし、氏も認めるように「昨冬に千人を超す死者が出て」いるし、厚生省は98年には100−200人の子どもが脳炎・脳症で死亡と推定している。インフルエンザは、ただの風邪ではない。子どもや高齢者、持病を持った人などに襲いかかる恐ろしい感染症である。

ワクチン接種の有効性については、様々な議論があろうが、現実には、ワクチン接種以外の有効な方策は示されていない。そして、地域住民に接する医師は、ワクチンに頼るしかないのが実情なのである。

また、接種の希望も急増している。当院では、昨年の2倍近くのワクチンを用意したが、あまりに多い希望者で、すでにいっぱいになっている。現在は大人への接種を1回にし、子どもたちへ回している状況だ。

現在の法律によらない任意接種は、すでに限界である。ワクチン不足だけではなく、接種を行う医院の負担も大きい。受ける方の経済的負担も無視できない。一日も早く、公費負担など、国による何らかの接種システムづくりを求めたい。

インフルエンザのような多くの犠牲を予想されるものへの素早い対応は、国にとって欠かせぬ「危機管理」である。

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