塚田次郎著

「赤ちゃん 新世紀」連載を読んで
−単行本化のためのあとがき−

(2001年12月)


新潟日報学芸部編「赤ちゃん 新世紀」掲載

 「赤ちゃん新世紀」を読み直し、実に多くのドラマのあることをあらためて知りました。その一つひとつを丁寧に取材された記者たちの努力にまず敬意を表します。
 さて、20世紀はどんな時代だったでしょうか。物質的な文明が飛躍的に発展し、一見「豊かな世界」が実現されたかに思われました。しかし、2つの世界大戦や多くの戦争の中で人々は憎しみあうなど、心の荒廃が進みました。日本の子育て事情をみても、いじめ、虐待など、様々な問題を抱えています。私たちが直面している問題は、心のあり方が問われているのです。
 人が人らしく生きていくのは、「本能」ではありません。人を愛することができるのは、自分がしっかり愛されていたから。人が育つ中で与えられたものは、いずれ他の人へ与えることができますが、そうでなければとても難しいことです。
 それぞれのドラマの中で求められているのは、人同士の支え合い。それがケースによって夫婦であったり、家庭や地域であったりと変化します。そこに確かな心の響き合いがあれば、どんな困難があっても乗り越えていくことができます。
 赤ちゃんをめぐる様々な愛の形を描き出したこのシリーズが、「心の時代」と呼ばれる21世紀の初頭から始まったことは象徴的です。ここで提起された問題に一つずつ答えを探していくことが、今世紀の課題とも言えるでしょう。

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