塚田次郎著

日本の子どもにもワクチンを!
--予防接種はお互いのエチケット--

(2004年1月)


「世界の子どもにワクチンを」日本委員会ニュースレター2004年1月号掲載

日本は今や世界一の長寿国です。日本人の平均寿命が延びた要因の一つに、衛生状態や食糧事情の改善、そして予防接種の普及による乳幼児死亡率の低下があります。一方で、世界では発展途上国を中心に、さまざまな感染症によって命を奪われる子どもたちが少なくないのが現状です。「世界の子どもにワクチンを」の運動の必要性はそこにあります。

しかし、日本は「世界のリーダー」として、子どもたちの感染症を本当に克服できているのでしょうか? 残念ながら、そうではありません。

かつて「子どもの命だめし」とも呼ばれたはしか(麻疹)は、ワクチンによって確実になくすことができます。日本でも1歳からの接種が行われていますが、それでも年間数万人の患者が発生し、子どもを中心に数十人の命が失われています。

実はこのような状況は先進国ではまれなのです。欧米諸国は「撲滅」に近い状況で、アメリカでは年間の患者数が100人程度になっています(このうちの半分ほどは日本人が持ちこんでいて、「日本ははしかの輸出国」という非難を浴びています)。

欧米では2回の接種が普通です。日本のように1回だけでは次第の効果が薄れていき、接種をしてあってもはしかにかかることもあります。さらに、その1回の接種すら受けていない子どもたちが、都市部を中心にそうとういます。

はしかの患者はウイルス感染の「被害者」ですが、他の子どもへ感染させるという意味で「加害者」でもあります。ワクチン接種によって、はしかにかからないような免疫を持っていることは、社会の一員としての当然のエチケットなのです。

日本の予防接種行政が不十分なのは、訳があります。以前は、予防接種を受けるのは「強制的な義務」であり、粗雑なワクチンによる重篤な副作用事故が頻発したことから、社会的な批判がおきました。最近はワクチンの改良によりそのようなことはほとんど起きていませんが、しかし、予防接種そのものに対する不信感は、まだ残っています。行政も、いわば及び腰のままです。

私たちは世界にワクチンの恩恵を広めようと運動しています。しかし、日本の子どもたちが必ずしも感染症から守られていない事実を、もう一度見つめ直してみる必要があります。

あえて言わせていただきますが・・「日本の子どもにもワクチンを」!

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