塚田次郎著

子どもの発熱とその対処

(2006年12月)


2006年12月8日付「小学保健ニュース」(少年写真新聞社)掲載

 子どもは風の子・・いや「風邪の子」です。乳幼児期より少なくなったとはいえ、学童期も風邪をはじめとして、いろいろな感染症にかかるものです。

 子どもの感染症は、その多くが熱を伴います。とくに冬場に必ず流行するインフルエンザはその代表です。ここでは発熱時の対処について、今一度確認をしてみましょう。

寒気があれば温かく

 感染症における熱は炎症反応がおきた結果、脳の体温中枢が刺激され、体温設定が高くなることによっておきるものです。体温のセッティングが高くなると、次に熱を産生するために筋肉がふるえ、熱を逃がさないように体の表面の血行は少なくなります(「悪寒」)。この時は顔色が悪く、手足が冷たく、時にはガタガタと細かく筋肉をふるわせ、本人は「寒い」と訴えます。寒気のある時には温かくしてあげて下さい(飲み物は温かく)。

 体温が上がりきると楽になります。その後、炎症反応がおさまると体温中枢は平熱に戻そうとします。体内の余分な熱を放散する必要があるので、血管が広がって血行が良くなります(顔色が赤くなり、手足が熱くなる)。本人は「暑い」と訴えます。汗をたっぷりかきますので、水分も十分にとらせて下さい。

 クーリングは昔は氷嚢、今は保冷剤などを使うことが多いようですが、余分な熱を逃がすには全然足りません。一番良い方法は手足など、広い範囲の皮膚をひんやりした状態にすること。もちろん「寒い」と言っている時はまだ温めておく必要があります。

 高熱がでてもそれだけで重症とは限りません。本人の様子が楽そうで、水分などがある程度とれているようなら、ゆっくりの対処で大丈夫でしょう。

 その反対に、ぐったりしている、顔色がすごく悪い、うわごとを言っているなど、全身状態が悪い時には病状が重いかもしれません。もちろん、けいれん、意識障害、繰り返す嘔吐、強い頭痛などの症状があれば、緊急事態と考えて下さい。

心も温かく

 これからの季節は、学校にいる途中で具合が悪くなり、保健室を利用する児童が多くなります。子どもは親と離れていることもあり、とても不安な気持ちでいることでしょう。養護教諭は不安な子どもの心を思いやってほしいと思います。温かく言葉かけをし、手も握ってあげて下さい。そうすると寒気があるかどうかも分かりますが、何よりも子どもの不安感を優しく包み込み、和らげてあげられるはずです。

 つらいようなら背中をさすってあげましょう。それが「手当て」の本来の意味であることを思いおこしていただければ幸いです。

  (「小学保健ニュース」2006年12月8日号、少年写真新聞社)