塚田次郎著

麻疹の症状と対策

(2007年5月)


【病院検索サイトMEDWEB】2007/05/26掲載

 首都圏の大学を中心に、現在も感染拡大の傾向をたどる麻疹(はしか)。麻疹にかかるとどんな症状が出るのか、感染を拡げないために気をつけたいことなどについて、麻疹の症状に詳しい塚田こども医院の塚田次郎院長にお話を伺いました。

 麻疹(はしか)とはノ麻疹ウイルスによる感染症。とても重い症状があり、時に死にいたることもあります。昔は「麻疹は子どもの命試し」などと呼ばれていた時代もあったほどです。

【潜伏期】ノ約10日間
【初期症状】ノ最初の3日間ほどは通常の風邪に似た症状(発熱、咳、鼻水、だるさなど)があります。風邪よりも症状が強く、重症感があります。
【主な症状】ノ全身に発疹(ほっしん)を伴ってさらに高熱になり、ほかの症状もより強くなります。この時、全身状態が悪くなって、死の転帰をとることもあります。肺炎、中耳炎などの合併症も少なくありません。
【回復期】ノ4、5日で解熱し、発疹も褐色の色素沈着を残しながら消えていきます。全身の消耗が激しく、倦怠感、食欲不振なども強く出現します。解熱してから3日ほどは学校へ登校しないこととなっています。

初期症状では風邪と見分けがつきにくい麻疹(はしか)

--麻疹ウイルスにはどのように感染してしまうのでしょうか?
塚田院長:感染力はとても強く、飛沫感染(唾液などとともにウイルスが飛び散る)のほか、空気感染(ウイルスだけが浮遊している)もおこします。そのため、教室などの同じ部屋にいるだけで、そうとう離れていても感染を受けたり、数時間たっても空気中に残っているウイルスが感染することもあります。

--麻疹(はしか)の初期症状について教えてください。
塚田院長:当初の症状が風邪に似ているため、診断に手間取ることが少なくありません。発疹が出て初めて気づくこともあるわけですが、すでに麻疹ウイルスをほかに感染させてしまっています。一般には風邪の時よりもだるさなどの症状が強いのが特徴です。

 しかし、ワクチン接種によって弱い免疫ができている場合には、症状も軽くなるため、さらに診断が難しくなります(「修飾麻疹」)。この場合は、本人は普通に風邪をひいただけと考えたために、多くの人と接触し、流行を広げてしまうことも起きています。所属する学校、団体、会社、家庭、地域などで麻疹患者が発生している場合には、風邪のような症状でも麻疹である可能性が考えられますので注意してください。

--麻疹にかかってしまったかもしれない場合、何科に受診したらよいのでしょうか?
塚田院長:受診するのは、子どもであれば小児科(中学生くらいまで)、大人は内科です。大病院でなくても、近くの開業医でも対応できます。大切なことは、「麻疹かもしれません」と受診の前に告げることです。直接病医院を訪れることをせず、先に電話をかけて、受診の方法や時間などについて指示をもらってください。周囲の方への新たな感染を防ぐために大切なことです。

不足気味のワクチンだが、混合ワクチンでも予防は可能

--麻疹に感染しないための予防法があれば教えてください。
塚田院長:麻疹は一度罹患すればとても強い免疫ができ、2度と麻疹にかかること はありません(終生免疫)。

 麻疹ワクチンは麻疹ウイルスを弱毒化した生ワクチン。接種によって麻疹に対する免疫ができますが、本物の感染症よりも免疫のできかたは弱く、複数回の接種が必要です。

 欧米など、ほとんどの先進国が2回以上のワクチン接種を行っていますが、日本はようやく昨年度から「1歳と、小学入学前1年間」の2回になりました。それ以前は1回の接種機会しかなかったため、現在小学2年生以上の子どもたちや、青年を中心とした成人には麻疹に対する免疫を十分にもっていない方が多数います。ぜひ、早急にワクチン接種を受けて下さい。

--ワクチンが全国的に不足していると聞きます。
塚田院長:麻疹ワクチンは不足気味ですが、麻疹・風疹混合ワクチンは十分に用意されています。風疹に対する免疫をさらに増強させることにもなりますので、この混合ワクチンの接種を受けて下さい。

 現在、麻疹に対する抗体検査は、依頼が増加したために全国の検査機関が対応できなくなっています。免疫のある状態でワクチン接種を受けても、何ら問題はありませんので、今は検査を省略して予防接種を行っています。

 成人などへの予防接種は国の制度からはずれるため、希望する人だけが、ご自身の費用負担で受ける「任意接種」になります。一部の自治体や大学などでは直接ワクチン接種をしたり、費用を負担するところもあるので、調べてみるとよいでしょう。

  (【病院検索MEDWEB】http://medweb.jp/)

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