塚田次郎著

夏の皮膚トラブル対策

(2008年7月)


「健康教室」2008年8月号掲載


 夏場は子どもたちの皮膚トラブルが多発する季節。小児科外来は、さながら皮膚科のようになります。

 最も多いのが「あせも(汗疹)」。子どもの皮膚は汗を外に出す働きがまだ弱いので、皮膚の中に汗がたまってしまいやすい。そこに暑いために大量の汗をかくのですからあせもがすぐにできてしまいます。

 「とびひ(伝染性膿痂疹)」は皮膚の細菌感染症で、夏の?恒例行事?です。もともと抵抗力の弱いのが子どもの皮膚の特徴ですが、夏場は細菌が繁殖しやすい条件がそろいます。汗をかき、皮膚が汚れている皮膚は、まるで「細菌の培養液」状態。けが、虫さされなど、皮膚が傷ついているところは細菌感染の標的になります。ひとたびとびひが始まると、体中に飛んでいきます(これが「とびひ」の言われ)。

 「アトピー性皮膚炎」のお子さんにとって、夏はトラブルが多くなります。皮膚の状態がいっそう悪化したり、とびひなどになりやすかったり。

 いずれのトラブルも、皮膚が汗ばんで不潔になることが悪化の原因です。対策は皮膚の清潔に限ります。皮膚にとっては汗をかかない環境がベストですが、エアコンのかかった室内で運動せずにいることは現実的ではありません(皮膚の状態がとても悪い時には考慮してほしいのですが)。

 汗をかくのは仕方がないとなれば、汗や汚れをそのままにしておかないことが大切。運動後はシャワーを浴び、帰宅後は早めに入浴させて下さい。いつも「スベスベ肌」が理想!

 一部の学校では、アトピー性皮膚炎の学童にシャワーを浴びさせるという取り組みがあります。その効果は抜群。石けんを使わなくても症状の悪化が見られず、むしろ改善することが分かっています。やはり「皮膚の清潔」がスキンケアの基本です。学校などでどうしてもシャワーを使えないときには、下着の交換だけでも効果があります。

 清潔という意味では手洗いやうがいも重要です。他の感染症の予防にもつながりますので、夏場も励行を。

 「日焼け」は紫外線による皮膚障害だと考えると、あまり好ましいことではありません。しかし日本人はそれほど神経質になることはないでしょう。野外での活動は日射量の多い午前10時〜午後2時くらいは避け、帽子をかぶり、水分を十分とるなどの注意を。これは「熱中症」の予防と同じです。

 「虫さされ」も多発します。汗ばんだ皮膚は蚊のターゲットですので、外出する前には手足や顔を洗って下さい。虫さされの程度が強いと発熱を伴ったり、ひどく腫れたりすることも(蚊アレルギー)。そんな子は夏の間、抗アレルギー薬を使用していると症状が軽減します。

 日本の夏はとても暑く、湿度も高くて熱帯のような気候。その中で子どもたちの皮膚をきれいな良い状態に保つにはいろんな工夫が必要です。それらはきっと体全体の健康作りにもつながることでしょう。

  (「健康教室」2008年8月号、東山書房発行)

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