院長ブログ
電話1本で救えた命
また起きてしまいました。2歳の子どもを保育園に送って行くはずの父親が、すっかり忘れていてクルマに置き去り。夕方迎えに行ったところ、保育士から来ていないと言われ、クルマの中を探したら、女子がすでに亡くなっていたというというのです。
同じようなこと(事故?事件?)を何度耳にしたことでしょう。何人の子どもたちの命が、大人たちの愚かな行いで失われれば済むというのだろう。
基本的には父親の過失です。意図的に行なっている訳ではありませんが、結果は重大です。刑事責任も問われるかもしれません。
そして、保育園の対応もやはり問題です。来園すべき園児が来ていないのですから、家庭に連絡するべきです。ニュースによればこの園は市営であり、そのような業務手順があったけれど、実行していなかったということでした。
もし保育園が規定通りの対応をしていれば、この子は救われていたはずです。仮にマニュアルがなくても、担任の保育士がそのことに気づき、保護者に確認の電話を入れていれば、笑い事で済んでいたことでしょう。
私自身のことを考えると、この父親のことを強くは責められません。仕事のモードに入ると、頼まれたことを忘れてしまうことがあります。重大な事態には至っていないのが幸いですが、でも少なくありません。
その人の性格もあるでしょう。発達障害がなおさら。人間は良く間違えるものです。
一方で、保育園はプロフェッショナルの職業人が仕事として勤務している場所です。確固たる組織として運営されています(そのはずです)。起こりうるリスクに対応する術がなければなりません。
そんな意味合いで、保育士や保育園の対応もまた問題だと思います。刑事的責任はないかもしれませんが、一定の責任(プロとしての道義的責任かな)はあるものと思います。
そして、今回のようなリスクは「想定内」でなければいけません。実際に同様な事故が起き、それがニュースにもなり、広く世間に知られているからです。
そんなことは起きない、などという先入観がまちがいのもと。仕事をする上で、このような不幸な事故から学ぶ姿勢は必須です。「他山の石」というべきかな。
テレビなどで語られた「保育園が悪い」という発言に対して、ネットでは「悪いのは父親だ」「保育園は悪くない」という意見も出ているとか。
どうなんでしょうか。私の意見も、父親の行為を免罪するものではありません。この点が誤解されているようです。
でも、私は父親に対しては、許してあげてほしいと思います。まして、自分の過失で子どもを失って失意にある父親に、世間が石をぶつけるような行為をすることはしてはなりません。
みんなで子どもたちを守り、健やかに育てる・・そのためにどうすればいいか、問い続けていくべきです。私もその一員としての責務があると思っています。皆さんも、それぞれの場面で、役割に応じて子どもたちのために力を尽くしていただければ、子どもたちはもっと幸せになっていくことでしょう。
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