院長ブログ
当院が予約制ではない理由
インフルエンザ流行の勢いが止まりません。春休み後に少し落ち着くかと思いましたが、4月半ばからまた患者数が多くなっています。
今週、当院では199名のインフルエンザ患者を確認しました(この数字は保健所を通じて県→厚労省へ報告、来週公表されます)。ほぼ200名。これは実はものすごい数なんです。
国の基準では、一医療機関あたり週に10名以上であれば「注意報」に、30名以上あれば「警報」が出されます。新潟県では注意報が出されていますが、県内では上越地域が最も多く、この地域にもう警報を出すべきレベルが続いています。
複数の医療機関から報告が提出され、その集計の中で「平均値」が求めらます。平均にすると「さざ波」かもしれませんが、当院にとっては「大波」が押し寄せている状況です。
先週の土曜日も多かったのですが、今週に入って月曜は過去10年から20年で最多の患者数に。元々休み明けは小児科外来は混み合うのですが、度を超えていました。そして今日は、1週間前よりさらに多くの患者さんが来られました。
流行がそれだけ大きく、受診が必要な子どもたちが多数発生している、という事情があります。そこに、それを受け入れる医療機関側の問題もあるかもしれません。
市内にはいくつかの小児科医院がありますが、先週土曜はその一つが休診でした。でも今週は休診にしているところはなかったはずなのですが・・
他の医院の多くが「予約制」をとっていて、一定の予約数に達するとそれ以上は診察をしていないようです(当院に受診された保護者の方の情報から判断しています)。
では当院はどうしているか? 「予約制」ではありません。来院された方から順に診察をしています。そして、受付をされた方は全てお断りすることなく、診察をしています。
今どき予約制ではない、などというと、時代遅れの開業医のような印象を持たれるかもしれませんね。実は当院は、以前は予約制をとっていました。でも予約していない方も見ていたので、完全な予約制ではなく、言ってみれば「不完全予約制」でしょうか。
一応うまく機能していたと思っていたのですが、コロナ禍でそれが一変しました。感冒症状があり、コロナも疑われる方は先に迅速検査を積極的に行う必要ができたあとからです。予約されている方も、検査のために一定の時間、待っていただく必要があります。一方で予約なしで来院されても、感冒症状がなければそのまま院内に入ることができます。
このことで職員がクレームを受けるようになりました。保護者の方にとっては分かりづらいのは確かですが、受付や検査で多忙な中、クレームの処理をすることが難しく、その一つひとつに対応しているとさらに待ち時間を長くさせてしまいます。職員の精神的負担も大きなものがありました。
精一杯頑張っているところにクレームが寄せられることは、辛いですね。悪意を持って行っていることではないと分かっていても、気持ちが落ち込みます。
そういった事情が生じていることを聞き、予約制をしばらく休止することを決めました。コロナ禍では受付窓口を1つにして対応することにしました。診療全体がスムーズに流れるようにするためですし、職員の心のケア(燃え尽き症候群の予防)のためでもありました。
その一方で、患者さんには不便をお掛けしていることも分かっています。待ち時間が長くなることです。予約制をとっていれば少ない待ち時間で診療できるのに、それをしていないわけですから。
いつまでもこれを続けようとは考えていません。コロナ禍が落ち着けば、以前のように予約制を復活させたいと思っています。
ただ、今はまだその時ではないようです。新型コロナの第8波がほぼ終息したものの、全国的にはまた少しずつ増加傾向。新しい変異株への置き換わりが進むと、第9波の流行が起きるのではないかと言われています。さらにその規模はこれまで以上になる可能性があるとも。まだまだ油断できません。
さらに、今はインフルエンザの大流行中(少なくとも当地域では)。「発熱外来」として十分な機能を果たすためには、受診を希望する方は全て診察できるような体制を作っておく必要があるものと思っています。
いろんな考え方があり、医院の運営方針が違うのは仕方ありません。予約制を遵守することも、また一つの考えです。慢性疾患の方を中心に診療し、その方が発熱などのコロナも疑われる症状を呈した場合は診療しないのもありかと思います。
でも、地域全体を考えれば、診療の制限をする医療機関だけでは医療が成り立たなくなります。多少の無理をしても、発熱外来の機能を高度に保っておく必要があります。
こういったことで、当院では今は予約制はとっていません。そのために診察までの待ち時間が長くなり、ご不便をおかけしているのは承知していますが、事情をご理解いただきたいと存じます。
一日も早く、以前のように予約制を復活させたいと願っています。スムーズな受付、診療といった流れが、やっぱり良いですね。それは、コロナ禍が終息した時に訪れると思います。そうなるよう、強く願っています。
でも、でも、今はまず発熱外来をやり抜きます!!
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