中耳炎の治療

3歳の息子が、鼻がつまりやすく、鼻水として、でてこずに、奥のほうで詰まっている感じになることがよくあります。先日も、熱もないし鼻かぜのようだからと、そのまま様子をみておいたら、夜中に耳が痛いと言って泣き、翌日耳鼻科へ行くと急性中耳炎と診断され、かなり赤くなっているので鼓膜を切ったほうが早く治ると言われ、切ってもらいました。その後、通っていたら、滲出性中耳炎かもしれないので、最低週2回は通って、鼻のつまりをとったほうがよいと言われました。が、近所の方によると、その方のかかりつけの小児科では、そのくらいで鼓膜を切る必要はない、鼻の吸引(?)も、大人と同じものを使ってしてもあまり意味ない、とおっしゃっていたそうです。でも、小さいうちにしっかり治しておいたほうがいいといわれると、このまま今のところへ通った方がいいのか、判断しかねます。それで、先生のご意見を伺いたくメールいたしました。 (大阪・AY)

小児科医も急性中耳炎はよく見かけますし、治療しています。風邪に伴うことが多いのですが、「耳の中の痛み」を訴えると、急性中耳炎をおこしていることがよくあります。耳の中をのぞきこむと、鼓膜が赤くなっています(耳鏡--じきょう--という道具を使います)。

子どもはこの急性中耳炎をおこしやすのですが、耳とのどをつなぐ「耳管(じかん)」がわりと太くて、短いため、のどのばい菌が入り込みやすいからです。急性中耳炎になってしまうと、治療としてはまず抗生剤を使います。私が診ているような軽い急性中耳炎では、内服の抗生剤だけで治ってしまうのが、大変です。しかし、程度によっては、耳鼻科の先生に専門的な処置を受ける必要があります。抗生剤だけでは治らない場合がそうです。また、しょっちゅう繰り返している場合も、お願いすることがあります。

耳鼻科では、鼓膜の切開をすることがあります。これは中の膿を外に出すためと、そこから空気の出入りができるようにしてやるためです(通気といいます)。耳管の働きは、中耳の中の空気を入れ換える通気の役割をしなければいけないのですが、子どもではその働きが弱いことがあるのと、急性中耳炎をおこしているときは、中が膿でベトベトになっているので、耳管の役割は期待できなくなっています。そこで、鼓膜の切開になるわけですが、これをすることで、早く、確実に良くなります。切る場所や方法は決まっていて、耳鼻科の先生方はきちんとされているはずです(これは小児科医はできません)。急性中耳炎が治ると、切った鼓膜はきれいに元に戻りますので、そのままになったり、あとで耳の聞こえが悪くなることはありません。むしろ、いい加減なことをしていると、鼓膜が固くなって、難聴の原因にもなりかねないと言われています。

鼓膜切開をどの段階で行うかは、お子さんの症状によってみんな変わってきますし、やはり耳鼻科医によっても違うのだと思います。どのような治療を選択するかは、ある程度、親御さんの判断や希望も加味されますので、耳鼻科の先生に「切った方がいいのか、切らないで治す方法を選んでいいのか」お聞きになるといいと思います。

最近は、「セカンド・オピニオン(2番目の意見)」を他の医師に求めることも増えてきていますね。もし分からないようなら(あるいは納得できないようなら)、他の先生の診察を受けられても良いのではないかと思います。

滲出(しんしゅつ)性中耳炎というのは、中耳(鼓膜の内側)に絶えず水がたまっている状態をいいます。急性中耳炎とはちがい、なかにばい菌はいませんので、熱を出すことはなく、痛みもありません。ただ、聞こえが落ちていることがあります。この滲出性中耳炎も、その程度によって治療法が違うようですし、耳鼻科医によっても考え方や治療方針が変わってくるようです。やはり、程度の軽いものは何もせずにいて、自然に治っていくものもありますし、程度が強いと、耳小骨の動きが悪くなって元に戻らない難聴をおこすこともあります。

滲出性中耳炎の治療をするとなると、長いおつき合いになるはずですので、こちらこそ、セカンド・オピニオンを求めたらいかがでしょうか。良く説明してくれて、子どもたちや親御さんの立場になってくれる先生に出会うことができれば、いいですね。

2000.2.23

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塚田こども医院Q&A2000年2月