おたふくかぜワクチンと副作用

長男は男の子ということでおたふくの予防接種をしたのですが娘はしておりません。集団で流行ったときも 風邪なら必ずもらってくるくせにかかりませんでした。かなりまえにおたふくのワクチンで髄膜炎をおこしたというケ−スがあったと記憶していますが、今のワクチンは心配ないのでしょうか? また大人になってかかると重症になるといった話もきくのですがどうなのでしょう。注射を受けさせたいとおもいながらも副作用の話を聞いてから気がかりで9歳まできてしまいました。受けるべきか自然にかかったほうがいいのか是非先生のご意見聞かせてください。よろしくお願いします。 (新潟市・Hさん)

結論的には、やはり女の子でもワクチン接種をお勧めしています。

まず、おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)という病気についてです。子どもがかかると約1週間で自然に治癒していく病気ですが、大人がかかるとけっこう症状が大変です。その1週間、熱と痛みが強く、時に入院を要する方がおられます。また、本人の症状がとれ、周囲への伝染力がなくなるまでの1週間ほど、仕事等はお休みしていただき、安静が必要です。なかなか大人にとっては、きびしい病気だといえます。

また、男性では睾丸炎・副睾丸炎が良く知られていますが、女性でも卵巣炎をおこすことがまれではないといわれています。

さらに、おたふくかぜの合併症として、髄膜炎が少なからず見られます。頻度は2-3%程度といわれていますが、1-2週間の入院が必要になります。おたふくかぜウイルスは脳などの中枢神経の中に入り込みやすい特性をもっています。その髄膜炎を防ぐため、というのが、おたふくかぜワクチンの目的になっています。しかし、残念ながら、ワクチン・ウイルスは弱毒化されているとはいえ、完全な無毒化ができていないため、ご指摘のように「副作用としての髄膜炎」が発生することがあります。これがこのワクチンの欠点であり、皆さんにご心配をかけているわけです。

しかし、副作用としての髄膜炎の発症は、自然のおたふくかぜに伴う合併症としての髄膜炎よりも、頻度は少なく(2,000-10,000人に1人程度)、程度も軽くてすんでいます(ほとんどが数日で、後遺症なく回復し、重篤な問題はおこしていません)。従って、副作用の問題はゼロではありませんが、少なくとも自然に感染するよりも十分に安全なワクチンであると考えています。

ということで、安心して、そして早めに受けられることをお勧めします。お近くの小児科の先生と、またご相談してみて下さい。

2000.5.9

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塚田こども医院Q&A2000年5月