心室中隔欠損症 |
今日は心臓の病気についてお聞きしたいのですが、雑音がするということで心エコーで調べたところ小さい穴があいていることがわかりました。穴がなくなることもありますからとのことで「そんなに心配しなくていいですよ」と言われました。6ヶ月後にまた調べます。 心臓に穴があいていると言われショックで質問もできないまま帰ってきてしまいましたが心配で心配で仕方ありません。穴がどんどん大きくなったりすることはないのでしょうか。本人は元気で、スクスク大きく育っています。3ヶ月健診でお世話になります。 (Yさん) 年齢からして、一番考えられるのは「心室中隔欠損症」です。 心臓には4つの部屋がありますが、そのうちの左右の心室を隔てている壁に、小さな穴が空いているというものです。右心室は、全身から帰ってきた「静脈血」を肺に送りこむところ。左心室は、肺から戻ってきた「動脈血」を、全身に送り出すところです。左心室のほうが圧力が高いので、「心室中隔欠損症」があると、左心室から右心室に向かって血液が流れていきます(「シャント」といっています)。この余分な血液は、もう一度肺の中を回ることになるので、もし「シャント量」がおおいと、心臓に負担をかけると同時に、肺の中に多量の血液が流れているので、「水浸し状態」となり、呼吸にも悪い影響を与えます(「肺水腫」)。 というようなことを書くと、すごく心配されると思いますが、これは「シャント量が多いと」おきることで、量が少ないときには、まったく問題になりません。また雑音は、小さな穴を通るときにおきる「血流の乱れ=渦」が原因ですが、これは穴が小さいほど大きくなります。つまり、心臓に負担をかけないような小さな欠損症ほど、雑音がはっきりしています。逆に、穴が大きく、シャント量が多いときには、楽に血液が流れているので、雑音はかえって軽くなります(もちろん、その時は、全身状態や呼吸状態が悪いわけですが)。 また、先天性心室中隔欠損症は、穴の小さいものは、自然閉鎖がおきやすいので、症状がない限り、積極的に治療することはありません。1、2か月に1回ほど、定期的に受診し、心臓超音波検査などで、経過を診てもらうだけで十分です。 この他にも、心雑音をおこす先天性の心臓病はいくつもありますが、頻度は低いですし、ほかに何か症状をおこすことが多いので、考えにくいと思います。 そんなことで、特段心配されないでいていいはずです。今度受診されるときに、「心室中隔欠損症」でいいか、尋ねてみて下さい。 キーワード:心室中隔欠損症、心雑音 2000.8.21 |
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