インフルエンザ予防接種を受けた方がいいか・・

1歳3ヶ月の男の子の母親です。子供は1人です。最近インフルエンザの予防接種のことが話題になっていますが、予防接種は受けた方が良いのでしょうか!? 三種混合の接種があり、11月16日と12月8日に接種予定です。受けるとしたらいつ予約を取ればいいのでしょうか!? 実家の母親は「あなたがあかちゃんのころはインフルエンザの接種はなかったから、受けなくてもいいわよ。」と言っていますが・・・。どうしたものかと、迷っています。 (新発田市・Oさん)

ご質問のことですが、結論としては、どうぞ小さいお子さんも安心して、インフルエンザワクチンの接種を受けて下さい、ということになります。

まず、インフルエンザという病気はただの風邪ではありません。大変に伝染力が強く、そのスピードは非常に速い。そして、症状が大変に強く、高熱や全身倦怠感などで、普通の大人でも数日動けなくなってしまいます。

とくにお年寄りの方は、もともと体力も弱いですし、すでに持病をお持ちの方もおられますので、急に容態が悪化することも、けっしてまれではありません。

さらに、最近問題にされているのが、乳幼児のインフルエンザによる脳炎・脳症の問題です。インフルエンザ・ウイルスが脳の中に入り込んで、そのために重篤に状態に陥ってしまうのものです。厚生省の正式な調査でも、日本で年間に数百人の子どもたちがインフルエンザ脳炎・脳症にかかり、その半数ほど(100〜200人程度)がなくなっていることが分かっています。

このようなことを考えると、インフルエンザという病気を決して侮れないのです。

では、それに対する予防策は、というと、現在はワクチン接種がほぼ唯一の方法であり、しかも相当有効な方法です。特にお年寄りに対しては、明らかに死亡率が下がるので、すでに欧米の各国では、公費によって無料で予防接種を行っています。例えば、アメリカではこれまでも65歳以上に対してワクチン接種を勧めていましたが、今年からは50歳以上の方へと拡大されています。フランスでは、70歳以上の方は無料で接種をしていますが、70歳以上の60数%の方が予防接種を受けています。つまり、インフルエンザ・ワクチンはお年寄りの命を守る予防接種なのです。

日本では、近年になってやっとその必要性が認識され、現在の国会で法案が通れば、来年度からお年寄りへの接種について、半額程度の公費負担が実現することになっています。ご実家のお母様には、ぜひご自身が接種を受けられることを、強くお勧めになって下さい。

さて、子どもへのワクチン接種ですが、これもここ数年、きちんとその必要性が認識されてきました。とくに、先にお話しした脳炎・脳症の予防のためにも、ぜひ受けていただきたいと考えています。ただし、子どもへの接種の有効率は、大人や老人よりもやや少なく、6〜7割程度と言われています。つまり、せっかくワクチン接種をしても、やはりかかる子どもさんが出てきてしまいます。(このため、今年から13歳以上は1回の接種でも良いことになりましたが、12歳以下の方には、引き続き2回接種で行っています。)また、ワクチン接種を受けたお子さんの中から、数は少ないのですが、インフルエンザにかかったときに脳炎・脳症になってしまった方もおられます。その意味で、ワクチンさえしてあれば完璧だとはいえません。今後、ワクチンがさらに改良されたり、他の予防法ができてくることに期待しています。

ということで、どうぞお子さんにも、大人の方にも、そしておじいちゃん・おばあちゃんにも、ぜひインフルエンザ予防接種を受けていただきたいと願っています。

接種の時期ですが、毎年1〜2月に流行する病気ですので、年内に受けておかれるといいと思います。すでに接種の始まっているところもありますので、早めにお問い合わせ下さい。

お子さんのインフルエンザ・ワクチンは1〜4週間隔で2回おこないますが、4週間近くあけたほうが効果があると言われています。(4週間以上あいても十分効果はあります。)違うワクチンを続けて打つ場合には、一定の間隔をあけることになっています。三種混合、インフルエンザとも、1週間あいていれば、次にどのワクチンを受けてもかまいません。三種混合の間にインフルエンザが入っても、その逆になってもかまいません。また、インフルエンザはどうしてもこの季節だけですし、予約が集中している医療機関では、ご希望の日にちにとれないかもしれません。そのようなときには、三種混合の予定をずらして受けるといいのではないかと思います。

予防接種もそうですが、医療に関することは、「日進月歩」でして、つい数年前の「常識」が今はがらっと変わっていることが少なくありません。(逆に今「常識」でも、数年後には間違っている・・ということもあるかもしれませんが)その時々で、どうすればいいのか、こういったインターネット上の情報なども参考にされながら、考えていってみて下さい。(もっとも、インターンネットの情報が本当に「最新」で正しい物とはいえないこともままありますが・・)

インフルエンザについては、マスコミなどでもこれから大いに取り上げられるとおもいますが、またご質問などありましたら、お寄せ下さい。

キーワード:インフルエンザ予防接種、老人・乳幼児への接種

2000.10.15

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塚田こども医院Q&A2000年10月