首のリンパ節の腫れ

一昨日頸部のしこりに気づき、昨日外科を受診しました。リンパ節が腫れているとのことで、触診のあと、耳・歯・熱を調べ、異常が無いので心配ないといわれました。晴れの原因は分からないらしく、まれに体質的にそういう子もいるといわれました。リンパ腫などの心配は無いのでしょうか?様子をみるときはどこに気をつければいいのでしょうか?(しこりは小豆くらいの大きさです) (神奈川県・Sさん)

お尋ねの件ですが、問題なしとしていいのではないかと思います。

リンパ節というところは、細菌・ウイルスなどを処理する場所です。ヒトの体にはたえず細菌などが侵入してきていますが、それらが体の中で繁殖したり、害を及ぼさないようにするために、リンパ節などでそれを殺しています。特に子どもたちはその働きが強いです。首のリンパ節は、扁桃腺や喉につく細菌などを殺しているので、いつも働いています。(とくに風邪や扁桃炎のときに大きくなって、よりはっきり分かるようになります。)小豆の大きさぐらいのリンパ節は、よく触るとみんなにあるのが分かります。これらは正常の働きをしているリンパ節ですので、「悪者」ではありません。

みんなにリンパ節があるといっても、はっきりと分かる子とそうではない子がいます。これはたまたま見つかりやすいかどうかの違いにもよります。やせている子は首を触るとすぐ分かります。太っていて、皮下脂肪の多い子は、その中にリンパ節が埋もれているので、見つかりにくいです。

場所によっても違います。耳の後ろの後ろ頭は、よく見つかる場所です。ここは下が固い骨(頭蓋骨)ですので、小さなリンパ節でもとてもよく目立ちます。特に夏場は、汗疹やとびひがあるとそこから体の中に向かって大量の細菌が侵入してきますので、リンパ節が「大活躍」して、大きくなり見た目だけでぐりぐりと目立つようになります。よくそれを心配して、受診されますが、「良いことをしているんだよ」とお話ししています。

一方で、「悪さをしているリンパ節」もあります。「化膿性リンパ節炎」は、中に細菌が入り込み、化膿している状態です。急激に大きくなり(一晩でニワトリの卵ぐらいになることもあります)、熱をもって、痛みが強く、高熱の出ることがよくあります。こんなときは、強力に抗生物質を使ったり、切開することも必要になります。

もう一つは、ご心配な「悪性腫瘍」です。血液の癌などで、リンパ節が大きくなることがあります。この場合は、多くは痛みがなく、気づいたときには体の節々のいくつかの場所に同じようなリンパ節が「るいるいと」大きくなっていることがあります。そのほかに、微熱、倦怠感、貧血、出血しやすい(止血しにくい)というようなこともあるかと思います。また、リンパ節は次第に大きくなります。治療を受けない限り小さくなったり、なくなることはないので、いつのまにか目立たなくなっているようでしたら、それだけで悪性腫瘍を考える必要はないはずです。こういった症状で心配なときは、早めに受診し、必要な検査を受けて下さい。

小児科外来では、リンパ節の腫れを心配されて受診される方が多くおられます(特に、皮膚の細菌感染が多くなる夏場に)。私を含めて小児科医は、以上お話ししたようなことに基づいて、診療していますので、ご心配なことがありましたら、また受診してみて下さい。

キーワード:リンパ節腫脹

2001.4.17

目次のページへ

ホームページのトップへ

塚田こども医院Q&A2001年4月