妊婦がりんご病にかかると・・

私は小学校に養護教諭として勤務していて日々子どもたちと接しています。この頃学校でりんご病が流行っていて、妊娠の可能性があるかもしれない今日もりんご病と診断されて遅刻してきた子どもと会っております。りんご病は妊娠初期に感染すると危険ということは知っていますが具体的にどの程度の時期に感染すると、どうまずいのか教えていただきたいのです。感染しても不顕性感染で発病しないことがあるとも聞きます。私は今までりんご病にはかかったことはありません。りんご病を発病した子どもと接するのも初めてです。赤みが出てしまうともう移る力もないといいますが、感染している子もまだいるかもしれません。りんご病を予防するワクチンなどきいたことはありませんがあるのでしょうか。もしかして妊娠していて感染していたら・・・とすごく心配です。(秋田県・Tさん)

りんご病(伝染性紅斑)が流行中とのことで、いろいろとご心配ですね。
これはご存じのように、ヒトパルボウイルスB19というウイルスによっておきる感染症で、とくに子どもで特有の発疹をおこすので、そのような名前がついています。

感染してから症状が出るまでの潜伏期は2〜3週間ですが、感染させるおそれのある期間は感染を受けてから1週間〜10日といわれています。
つまり、症状がでたときにはもう感染力がなく、感染予防のために登校停止などの処置をとることは意味がありません。

通常、小児では発疹のみで終わり、軽微な感染症と考えて良いのですが、大きな合併症をおこす可能性があるときもあります。
その一つが、もともとある種の血液の病気を持っている方がかかったときです。
このウイルスは骨髄の中の「赤芽球」という赤血球のもとになる細胞を壊し、新しい赤血球ができなくなります。
もともと、溶血性貧血をおこしやすい病気をもっていると、急激に貧血が増強してしまうことがあるのです。

もう一つが妊婦さんが感染を受けたときで、胎児の赤血球を作らなくしてしまうために、胎児水腫や流産・死産の原因にもなります。
この点が、今回ご心配な点ですね。

日本人の成人の調査で、60〜70%はすでに抗体をもっています。
これらの人は、症状はなかったかもしれませんが、以前に感染を受け、免疫ができている状態です。
つまり、まわりに患者さんがいても、かかる心配は全くありません。
残りの方は、残念ながら免疫がありませんので、感染を受けてしまうおそれがあり、たまたま妊娠中であれば、先のようなケースもおこりうることになってしまいます。

最初にお話したように、りんご病と診断されたお子さんはもうすでに伝染力はないので、普通に接していてかまいません。
そして、伝染力のある子を認識することは不可能であることもご理解いただけると思います。

お仕事柄、お子さんたちと離れていることは無理ですね。
「幸運を祈る」などというと無責任のそしりを免れないですが・・
免疫がすでにあればりんご病になることはないので、医療機関を受診して相談されてはいかだでしょうか。
このウイルスに対する抗体は一般的に行うことができますので、していただけるのではないかと思います。
(抗体の有無については、やや専門的な解釈が必要ですので、どこでもいいというわけではないのですが・・)

そんなことでご理解いただけますでしょうか。

キーワード:りんご病と妊娠

2001.7.18

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塚田こども医院Q&A2001年7月