乳児の食事アレルギー

10ヶ月になる男の子なのですが3ヶ月の頃からアトピーです。先日血液検査で卵白と牛乳に対するアレルギーがあり(卵白48.1でクラス4、ミルク0.83でクラス2)ハウスダスト等には反応しなかったことから、今後はミルクは止めて、すべて離乳食にするようにとの指導を小児科で受けました。(後略)(神奈川県・Oさん)

お子さんのアトピー性皮膚炎について、いろいろとご心配ですね。
ご質問の内容からだけでは分からないことや的はずれなことがあるかもしれませんので、あらかじめご了承下さい。

アレルギーの検査の結果では、鶏卵に対する強い反応と、牛乳に対する中等度の反応があるようです。
こういった場合、とくに離乳食の開始から数ヶ月は、しっかりと食事制限をしておいたほうがいいと思います。
現在は10か月ということですので、(症状がどの程度かは分かりませんが)そろそろ少しずつ制限を解いていってもいいのかもしれません。
その点は、主治医の先生と良くご相談になって下さい。

ミルクはある程度摂取してもよいとのことですの、やや少な目に、できれば牛乳アレルギー用のミルクを使われるといいと思います。
でも、実際に使ってみて下痢が続いたとのことですので、実際の症状がさほどでないのなら、普通の粉ミルクでもいいのかもしれません。
(アレルギー用のミルクもいくつかのものがありますので、どのミルクがいいのか、ご相談されて下さい。)

ミルクなしで離乳食だけというのでは、やはり栄養的な問題を生じかねません。

ジルテックは、抗アレルギー薬の一つですが、日本では錠剤のみ発売されていて、乳児の適応はありませんので、私もこういった食事アレルギーの赤ちゃんに対しての使用経験はありません。

インタール内服薬は食事アレルギーの際に使用されることがあります。
これは腸管の表面を「保護」し、アレルギーの問題になる食事抗原を吸収させないようにする薬です。
それ自体も吸収されません。
そのため、ザジテンなどの抗アレルギー薬と併用することもあります。
(ただし、インタール内服の効果については私は個人的には疑問を持っています。)

食事アレルギーのある赤ちゃんの離乳食の進め方は、やはりゆっくり行くのが原則だと思います。
今回検査でひっかかった食事以外にも、すでに問題のある食事があるかもしれませんし、今後新たなアレルギーがでてくるかもしれません。
離乳食はおおむね生後5か月ころから始めますが、なかでも最初の約3か月間は慎重にしていただいています(とくに鶏卵などの動物性タンパク質はできるだけ避ける)。
生後8か月ころになると、消化能力がしっかりしてきますので、症状なども見ながら、少しずつ離乳食の種類も増やしていきます。
このとき、十分に加熱した物を少量から始めるのが大切です。
(加熱することで、タンパク質は消化し易くなります。鶏卵であれば15分ほど熱を加えた「固ゆで卵」にし、その黄身を小さじ1杯程度の少量から始め、症状の悪化がないことを確認しながら増やしていきます。)

1歳を過ぎてくると、あまり食事制限の意味合いがなくなってきますので、もう少しの間、慎重に対処されるといいと思います。

2001.8.23

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塚田こども医院Q&A2001年8月