チック症の子との接し方

子供のチック症の事でご質問したくメール致しました。1ヶ月くらいチックが続き、症状も重くなって来ているので 先日インターネットで『チック』のページを探し読んだところ 『精神的なものではなく遺伝性の脳の病気』『社会生活に支障をきたす』、『完治しない』、『合併症を併発する事がある』など、恐ろしい文面ばかりでどうすればいいのかわからず悩んでいます。ついこの間まで 普通の生活をしていたのに・・・ 私がしっかりしなくてはと頭ではわかっているのですが、食欲もなく仕事中もずっとその事ばかり気になって何も手につかない状態です。子供の前では明るく接していますが、いくらごまかしても感受性の強い子なので きっと感じとってしまうでしょう。(中略)もうすぐ学校も始まるので、学校で嫌な思いをしないよう、出来るだけ早く治してやりたいです。アドバイスよろしくお願いします。(大阪府・Tさん)

お子さんのチック症のことでは、お困りのようですね。
メールを読ませていただきましたが、今親御さんがされていることが一番いいことだと思います。

チックの症状はまだ軽度ですし、経過からは一過性のものでしょう。
もちろんトゥレット症候群ではありません。
今のまま、ゆったりと経過を見たあげれば、いずれ落ち着くはずです。
万一症状が強くなるようでしたら、その時に受診されればいいですね。
急ぐことはありません。

HPでいろんな情報があるようですが、あまり気にしないで下さい。
私自身はこの専門ではありませんが、逆に専門だから「正しい知識」があるとは限りません。
その子にとって何が重要かは、通り一遍の情報には書いてありません。
それを取捨選択し、解釈する必要があるわけで、情報に振り回される必要はありません。

チック症については、多くの書物(育児書など)に記載がありますが、私の知っている範囲では、みな「常識的」(「良識的」?)です。
どうぞ、お読みになって下さい。

私のHPにも、簡単な記載がありますので、参考にされて下さい。

今の状態は、まだほんの始まったばかりです。
可能性としては悪化することもありえますが、ほとんどは周囲が本人を追いつめていくために悪化しています。
そうっとしていてあげること、普通に、常識的に接していることが一番いいことですよね。
(腫れ物に触るような扱いもまた困ります。)

「できるだけ早く治してあげたい」とありましたが、そのお気持ちはとてもよく分かるのですが、逆にそれがプレッシャーとなることもあります(本人にとっても、周囲にとっても)。
多少は時間がかかるものですから、学校や友人のことは気にしないで下さい。
むしろ、周囲によくお話をして、理解してもらうことが必要です。
学校の先生やお友達に、その旨のお話をされるといいと思います。

思いつくままに書きましたが、簡単には不安な気持ちが解消されることはないでしょう。
また何かありましたら、ご連絡下さい。

2001.8.24

(その後もう一度ご質問をいただきました)

チック症については、すでにいろんなことをご存じですね。
まだきちんと解明されていないことが多いですし、そのための対処法などもまだ確立されていません。
お子さんによって程度はまちまちですし、もしかしたら、違う原因でおきているものもあるかもしれません。

「脳の病気」ということですが、ある種の脳内物質の問題がチック症では関係しているようです。
ですが、それだけをとってことさらに心配することはありません。

チック症をおこしやすい「素地」があり、そこにいろんなことが「誘因」となって、チック症の症状がでてきます。
「素地」は遺伝することもよくありますし、性格も関係しているかもしれません。
ですが、「素地」を変えることは、誰にもできないことです。
私たちにできることは、「誘因」となっていると思われることを取り除き、「悪化」させないように環境を整えてあげることです。

お子さんの場合は、まだ症状が始まったばかりですし、程度も軽いもののように思います。
今後の様子を見て、必要であれば、小児科医などにご相談になって下さい。

2001.8.27

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塚田こども医院Q&A2001年8月