おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)予防接種による髄膜炎(副反応)

おたふく(流行性耳下腺炎)の予防接種を11月24日に受けたのですが、3週間後に嘔吐の症状があれば副反応と言われました。12月18日の朝に下痢をして夜に1度嘔吐があったのですが、副反応でしょうか?また、副反応と判断する時の他の見分け方がありますでしょうか?(愛知県・Nさん)

まずおたふくかぜ(流行性耳下腺炎)という病気そのものの理解をしておいて下さい。
おたふくの主な症状は、発熱と耳下腺の腫脹です。
それ以外に、髄膜炎が数%におきてきます。
さらに、髄液検査をすると、おたふくにかかるとその50〜80%に異常がみられます。
つまり、おたふくかぜウイルスは脳や脊髄といった「中枢神経」に極めて入り込みやすい性質を持っているのです。
髄膜炎は「合併症」と言われていますが、そういった意味では「主症状」であるとも言うことができるでしょう。

この髄膜炎がおきてきやすい時期は、耳下腺の腫脹の治りかけ、つまりおたふくを発症してから約1週間後です。
(ちなみにおたふくの潜伏期は2週間ほどですので、感染を受け、ウイルスが体内に入ってから3週間ほどしてから髄膜炎をおこしやすいことになります。)

髄膜炎の症状は、高熱、強い頭痛、繰り返す嘔吐です(発熱は感染症であるため、あとの二つは脳圧の亢進のためです)。
症状が軽いときは経過をみるだけでいいですが、重いときには入院し、治療をうけることが必要になってきます。

子どもはいろんな原因による髄膜炎をおこしやすいものですが、分かっている原因で一番多いのがこのおたふくです。
私たち小児科医がおたふくの予防接種をおすすめしているのは、「髄膜炎を予防する」ためという意味合いがあります。

一方、おたふくワクチンにもこの髄膜炎の問題が避けて通れません。
もとのウイルスの性格を穏やかにした「弱毒・生ワクチン」を作るのですが、中枢神経に入り込みやすい性質を完全にゼロにすることはまだできていません。
そのため、接種した中から数千人に一人の割合で髄膜炎を発症しています。おきる時期は、接種して3週間前後。
症状は同じで、「発熱・頭痛・嘔吐」です。
程度はおたふくによる髄膜炎よりもずっと軽く、特に検査や処置をせず、数日の安静で治ることが知られていますし、後遺障害などをおこすことはありません。

お尋ねの内容からは、下痢を伴っている点や、他の症状がないことから、おたふくワクチンによる副反応とは考えにくいです。
現在流行している嘔吐下痢症(ウイルス性胃腸炎)によるものではないかと推測します。

2001.12.19

目次のページへ

ホームページのトップへ


塚田こども医院Q&A2001年12月