昨日、娘の三才児検診に行って参りました。尿検査の結果、尿潜血と言われ心配だったので翌日、近くの病院に検査に行きました。朝一番の尿をとり、病院でもとりました。朝の尿は±0で病院の尿は+2と有りました。蛋白や糖は出てません。赤血球、白血球も異常は無いとの事でした。超音波で腎臓を見ても異常は有りませんでした。先生は、多分、軽い腎炎でしょうと診断され一年後にまた検査してくださいとおっしゃいました。家に帰り腎炎について調べていたら、とても不安になり今日思いきってメールしました。検診の日、少し風邪をひいてました。一年と言わず二週間程したら別の病院に再検査しに行こうかと思うのですが、必要ありますか?(新潟県・Iさん)
お子さんの尿検査で潜血が陽性に出たとのことですね。
尿の潜血反応は、陰性ないし弱陽性が一応正常としています。
陽性は、基準としては「異常」として扱われますが、しかし「異常(正常ではない)=病気」とは限りません。
尿の潜血反応は、基本的には赤血球の混入によって陽性になるよう、作られています。
つまり血尿があると、尿潜血は陽性になるのですが、これも必ずしもイコールではありません。
簡便で、その場で判断できるために汎用されていますが、正確さに欠けています。
もっとも正確なのは「尿沈さ」という検査です。
これは、尿を遠心分子器にかけ、その沈殿した成分を顕微鏡でみる検査です。
顕微鏡の一つの視野あたり、赤血球が4個以下は正常、5個以上を異常=血尿とみなしています(この基準は施設によって多少違います)。
尿潜血で陽性でも、尿沈さで血尿が見られないこともよくあります。
(お子さんの検査では、いかがだったでしょうか?)
早朝尿は安静時の尿で、これで血尿がある場合には、腎臓などに病気を持っている可能性が高くなります。
来院時尿は、すでに体をそうとう動かしているあとの尿ですので、腎臓が圧迫されるなどして、腎臓に病気がなくても血尿になることもあります。
早朝尿が正常で、来院時尿だけに血尿があるときは、腎臓などの病気の可能性はあまり高くないと推測することができます。
この他、腎臓に病気があるとすれば、尿蛋白が陽性になったり、超音波などの検査で何かひっかかったりすることもあります。
腎炎というのは、腎臓の中にある種の病気がありわけですが、なかなか診断がつかないことがよくあります。
諸種の検査(尿、血液、超音波など)はいずれも腎臓そのものを診ているわけではないからです。
一番正確なのは、腎臓に針を刺し、組織をとってきて、直接顕微鏡で見るという「腎生検という検査です。
しかし、これはとても大変な検査なので、診断や治療方針をたてるためにどうしても必要な時だけ行います。
「腎炎」という診断を受けたということですが、ご質問の内容だけからは実際に腎臓の病気があると断定されていないようにも思えます。
確かに血尿はあるが、その程度は軽く、さらに、急いで詳しい検査等をする必要がないときは、「無症候性(微少)血尿」という病名を使うことがよくあります。
「症候」とは症状と同じ意味で、何も症状がなく、大きな検査の異常がないものをいいます。
生活や運動などは制限せず、普通にしていてもらっています。
その上で、定期的に尿検査を行い、尿所見に悪化などの問題がないか、経過を見ていきます。
私も外来で「無症候性(微少)血尿」のお子さんを数多く診ていますが、次第に血尿がなくなる子、そのまま続く子、そして血尿の程度が強くなったり、蛋白尿を伴うようになって腎炎がはっきりしてくる子がいます。
お子さんの場合、これからの経過をみないと分からないですが、今すぐに詳しい検査を受けたり、生活などの制限が必要になったりということはないようですので、安心していただいていいのではないかと思います。
2002.1.14
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