妊娠中の感染症の心配

ただ今、妊娠16週に入りました。血液検査で、水疱瘡と麻疹の抗体がないことが分かり不安な毎日を送っています。(風疹も微妙で、かろうじてあるようです。)周りで、ウイルスが流行り出してると聞いてるので、人との接触をなるべく避けてはいますが、いつまでも家の中にいる訳にもいかず、どうしたら良いものか、困っています。とりあえずは、マスクをしていますが、それで、防ぐことは出来るのでしょうか? 4月からは、上の子が、保育園に通うので、防ごうとしてもほとんど無理だと思います。(上の子も水疱瘡の予防接種はしてません。日本脳炎の2回目があるので、まだ1ヶ月は打てません。麻疹はしました。)今かかると、おなかの子に影響がでるかも、ということを聞きましたが、上の子の事もあるので、どうしたらいいか、どう防げばいいか、どのくらいの期間気をつければいいのか、ほんとによく分かりません。もう、上の子が保育園に通い出すまで、日がなく、とても悩んでいますので、どうか、良いアドバイスをよろしくお願い致します。あと、このまま何も無く過ごせて、出産できたとしても、出産直後に、上の子がウイルス感染したら、私とおなかの子はどうなるのでしょうか?(愛知県・Tさん)

妊娠中の方が風疹にかかると「先天性風疹症候群」という胎児の奇形を生じやすいので注意が必要です。
風疹については免疫があるということですので、安心していていいと思います。

水ぼうそう(水痘)とはしか(麻疹)については、もし大人がかかるととても重い感染症ですが、通常は胎児への奇形性はないとされていますので、その点ではご心配いらないでしょう。
ただし、分娩直前の妊婦が水ぼうそうにかかると新生児が水ぼうそうにかかり、重症化しやすいので注意が必要です。

上のお子さんが保育園に通いだすと、いろんな感染症ももらってくることが多くなります。
全ての感染症を防ぐことは不可能ですが、ワクチン接種により予防できるものもあり、ぜひ受けていただきたいと思います。
親御さんでも免疫がないという場合にはいっしょに予防接種を受けていただくのがいいですね。
現在妊娠中とのことですので、出産後少し落ち着いたら順に受けていって下さい。

マスクの予防効果はあまりありません。
あまり子どもたちの集団の中に入り込まないということぐらいでしょうか。

お母さんが免疫を持っていない病気であれば、赤ちゃんと一緒にかかってしまうこともあります。
でも、ある程度は仕方ないことですね。
現在は医療レベルが向上していますので、きちんとして手当を受ければそれほど重症になることはないでしょう。
水ぼうそうのように内服の「特効薬」ができているものもあります。
はしか(麻疹)以外には、命にかかわる重大な感染症は、日常診療の中ではまずありません。

喩えは悪いかもしれませんが、交通事故に似ているかもしれません。
どんなに注意していても、自分が起こすこともありますし、他人から危害を受けることもあります。
自動車の欠陥、道路の整備の問題で発生するかもしれません。
それらに注意を払いながら必要な策を講じておくのは必要でしょうが、しかし、怖がってばかりいては生活できませんね。
日本でははしか(麻疹)で年間数十人の死者がでていますが、交通事故では1万人ほどの死者がでています。
そんな数字を見ても、感染症に対してそれほど恐怖心を持たなくてもいいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

2002.3.19

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塚田こども医院Q&A2002年 3月