麻疹、水痘、おたふくかぜの抗体検査方法

麻疹、水痘、おたふくかぜの抗体検査方法についてお尋ねします。先生のQ&A中にも検査方法によっては役に立たないものもあるということが書かれていますが、私が以前検査した方法は、麻疹がHI法(測定値:8倍未満)水痘がCF法(測定値:4倍)おたふくかぜがHI法(測定値:8倍)です。私の母によると、麻疹は赤ちゃんの頃予防接種をし、水痘は幼稚園のころかかったということです。おたふくかぜは小学校4年生ころにかかった記憶があります。(耳下が痛かったことは覚えていますが、それ以外あまり症状はひどくなかったと思います。)麻疹、水痘は記憶もあいまいだし随分以前のことなので免疫がないのもわかりますが、おたふくかぜは少し納得がいきません。(Iさん)

抗体検査について、私の書いた物をご覧いただきありがとうございました。
少し補足します。

抗体検査にはいくつも種類があり、意味合いはいろいろです。
感染にかかったり、ワクチン接種を受けたあと早期に高くなり、その場の診断に役立つ物もあります(血清検査のCFなど)。
立ち上がりはゆっくりですが、長く残るため、過去の罹患の有無や、今後感染を受ける可能性があるかどうかを調べることの出来る物もあります(血清検査のHIなど)。
またそれぞれの検査の標準値は異なっていますので、一つひとつ吟味していく必要があります。

・はしか(麻疹)
検査法がHIですので、いいですね。
8倍以上を「免疫あり」と見なしています(倍数で表現しますので、8倍の次は16倍、32倍・・数字が大きい方が免疫が強いです)。
ただし、8倍は「弱陽性」で、できれば予防接種を受けることをお勧めしています。
今回の検査値は8倍未満(つまり4倍以下)ですので、「免疫なし」です。

・おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)
これはHI法で4倍以上が陽性です。
測定値は8倍ですから、「免疫あり」になります。

・水ぼうそう(水痘)
これにはHI法の検査がありません。
そこで仕方なくCF法で行うことが多いのですが、高い数字がでれば「免疫あり」になりますが、数字が小さくても「免疫なし」とは言えません。
他の検査を併用することになります。
また、血液の検査では不充分で、できれば比内反応(ツベルクリン反応のような)をすることがベストです。
これは、水ぼうそう(水痘)の免疫が血液の中にあまり残らず、細胞の中に主に残っているためです。

以上のことから、これまでの経過と今後の方針を考えてみます。

・はしか(麻疹)
予防接種を受けてありますが、その時に十分な免疫ができなかったか(一時的なワクチンの無効)、年数を減るごとに次第に免疫が小さくなってきたか(二次的な枠輪の無効)・・
いずれにせよ、現在は免疫がありませんので、これからワクチン接種を受けて下さい。

・水ぼうそう(水痘)
今回の検査では判断できません。
既往歴として罹患していることがはっきりしていますので、免疫ありと判断していいようです。
予防接種を受ける必要はないでしょう。
(受けることによる不利益はありませんが)

・おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)
おそらく小学校でのエピソードはおたふくかぜの罹患だったのでしょう。
免疫ありですから、予防接種の必要はありません。

2002.3.28

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塚田こども医院Q&A2002年 3月