4月18日付の記事で「厚生労働省、ポリオ生ワクチンから不活化ワクチンへ全面移行。早ければ来年度から実施。安全面を重視。」というのを見つけました。米国では二次感染防止や生ワクチンの予防接種での薬害を防ぐため早くから不活化ワクチンを取り入れていたそうで…。今年接種すると当然生ワクチンですが、来年受けると不活化ワクチンかもしれないということですか?今年はポリオの接種をしないで来年、安全性の高い不活化ワクチンを受けたほうが良いというようなことはないのでしょうか?それとも保育園に通う以上、ポリオの予防接種は受けていないと危険というようなことでもあるのでしょうか?(秋田県・Iさん)
ポリオ予防接種については、近々接種方法の見直しが行われるようです。
現在は「生ワクチン」を使用しています(経口投与)ですが、「不活化ワクチン」(皮下注射)に変更されるでしょう。
理由は、ポリオが日本では絶滅に近い状態になっています(これまでのポリオ・ワクチンによるものです)が、そうなったために副作用等の有害な事象が目立つようになってきたためです。
より安全なワクチンに切り替えようという動きです。
すでにアメリカなどでは不活化ワクチンが使用されているのは、お話の通りです。
しかし、それがいつから実施されることになるか、まだはっきりとは分かりません。
というのは、今は国内で製造できる製薬会社がないためで、これから生産出来る体制を作るのは、そう短期間ではできないのではないかと思っています。
今後、政策的な決定とともにそういった準備が進んでくると、しっかりと案内があるものと思います。
では当面どうするかということですが・・
現行の生ワクチンでおきている問題の一つは、「ワクチン・ウイルスの野生化」です。
投与を受けたあと、ワクチン・ウイルスが腸管内で繁殖し、しばらくの間は肛門から排出されますが、その過程で病原性を極めて弱くしてあったにもかかわらず、また病原性を獲得してしまい、「周囲にいる方へ」感染させることが可能性としてはあります(大変に少ない確率ですが)。
そのため、周囲のお子さんがポリオ・ワクチンの経口投与を受けるときは、同じ時期に受けておくといいと言われています。
つまり、ポリオ・ワクチンを受けることによって、「ポリオを予防する」という役割とともに、「野生化したポリオ・ワクチン・ウイルスの感染を予防する」という意味合いもあります。
予防接種の変更が具体化していませんので、今のところは現行の生ワクチン投与を受けておかれるのがベターな選択なのではないかと思っています。
ただし、副作用の問題から受けたくないといお気持ちが強いようでしたら、不活化ワクチンが使用されるまで待っているのも一つの方法かと思います。
2002.4.19
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