妊娠中のトキソプラズマ感染症

今妊娠9週になります。同居している義父が、レース鳩を100羽以上飼っています。鳩小屋から帰ってくると、服や手には鳩の糞がついたまま、食事をしたりの生活をしています。上の子のときは、別に住んでいたため、気にもしていませんでしたが、今回はお腹の子と4歳の娘に影響があるのでは・・・と心配しています。妊娠中にはじめて感染した、トキソプラズマは胎児にも影響するとなにかでしりました。どうすればいいのか気になってしかたがありません。お腹の子と娘には影響があるのでしょうか。(静岡県・Sさん)

トキソプラズマについてはさほど知識がないので、手元にある本から引用します。

Cook AJCらは、ヨーロッパでトキソプラズマ急性感染の妊婦とトキソプラズマ抗体陰性妊婦とを比較検討した。
妊婦の急性感染を最も強力に推定する危険因子は、
1)不充分な加熱処理の子羊肉、牛肉、狩猟による鳥獣肉の摂取、
2)土との接触、
3)ヨーロッパ外部の国、アメリカ、カナダへの旅行であった。
ネコとの接触は危険因子ではなかった。
各都市で妊婦の感染の30〜60%は加熱処理の不充分な食肉や保存用食肉の消費に原因し、6〜17%は土との接触に原因した。
本邦でも我々の調査ではトキソプラズマIgM抗体陽性のリスクとして、生肉摂取歴と馬刺摂取歴が有意に相関したので、妊婦では、加熱処理の不充分な肉の摂取を控え、土いじり後には十分手を洗う必要があろう。
(「周産期医学必修知識」より)

つまり、トキソプラズマについては鳩との接触は危険因子ではないということになります。
といっても、鳥獣は他にも多くの病原体を持っていますので、きちんとした衛生管理がされていない状態で子どもたちや妊婦が接触することは好ましいこととはいえないと思います。

2002.6.19

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塚田こども医院Q&A2002年 6月