アトピー性皮膚炎の対処法

6歳で生後まもなくからずっとアトピー性湿疹に悩まされている長男(=まだひとりっ子)のことで、良いアドバイスをいただけたら・・・と思い、(半ば藁にもすがる想いで)メールを打っています。赤ちゃんの頃から湿疹があり、1歳の頃から小児科医を定期的に(2週間に1度の頻度で)受診するようになりましたが、2年ほど経っも状態が良くなる兆しが見られず、(引越しを機に)思い切って漢方薬療法に切り替えました。ところが、薬局が遠方で電話のみでの問診のためか、期待したようには回復しませんでした。その矢先、引越し先でのかかりつけの小児科医(アタラックスPのみ、継続して処方を依頼している)に紹介された漢方医の先生は私も子供自身もとても信頼できていて、状態も徐々によくなってきました。しかし、かなり年配の先生には、重度(?)のアトピーの子供の治療はかなり負担だったらしく、「1度、皮膚科で(ステロイド使用しても仕方ない)皮膚をきれいにしてあげたほうがいい」と判断され、以後(平成14年1月〜7ヶ月間)、皮膚科で外用ステロイド剤とセルテクト(ザジテン)及びポララミンの内服による治療を受けてきましたが、現在の状態ははっきり言って最悪です。一番ひどいのは顔。目の周りやほおが特にひどく、全体に真っ赤。ほとんどすべてが、自分で掻いたりシーツ等に顔ごとこすりつけたりしている結果。とにかくかゆがるんです。処方された外用ステロイド剤はロコイド軟膏、キンダベート、それを何ヶ月ぬり続けても好転せず、最後にはリンデロンVG。さすがにこれは効きましたが・・・やめるとすぐに悪化。友達にも助言され、やはりステロイドは続けるべきじゃないと判断し、漢方療法に戻そうと決心しました。(過去の漢方医による処方を参考に)かかりつけの小児科医に相談し、とりあえずツムラ治頭ソウ一方を内服しています。塗り薬はツムラ紫雲膏とレスタミンで(両方とも顔にも塗っている)の処方を依頼しました。しかしステロイド外用から急に切り替えようとしたせいか、悪化の兆しが見えたため、かなり以前(3年ほど前)に通っていた小児科から処方されたリンデロンVGと保湿剤を混ぜ合わせたものを、現在10日間ほど使用してしまっています。リンデロンVGそのものを使っているよりはマシなはず・・・と自分を納得させて使ってきましたが、やはり気になってインターネットで様々なサイトを渡り歩き、先生のところへたどりついた次第です。いますぐにでもステロイド剤の使用はやめるべきでしょうか?誰も教えてくれないので、私自身の出来人で判断するしかありません。実は今日も(祝日のことを失念していて)小児科医へ「リンデロンVGと保湿剤を混ぜ合わせたものをください」と依頼しに行くところでした。顔は男の子でもやっぱり大事。早くもとのきれいな顔に戻してあげたいんです。どうか、良いアドバイスをお願いいたします。(神奈川県・Nさん)

なかなか症状が重いようで、お困りですね。
実は質問の内容が重くて、なかなかお返事をかけずに遅くなってしまいました。

症状を診察の上で確かめていませんので、責任をもったお答えができないことをまず先にお断りしておきます。

現在の治療は「治頭瘡一方(ぢづそういっぽう)」を内服されているとのことですね。
これは私も最近使いだし、乳幼児のとくに顔や頭の湿疹にはよく効く印象をもっています。
ただし、それだけではなく、抗アレルギー剤やかゆみ止めとして抗ヒスタミン剤を併用することがよくあります。

外用薬では、非ステロイド薬でコントロールできればいいのでしょうが、やはりステロイド薬も使わざるをえないことがよくあります。
もし使うんであれば、きちんと症状が改善されるまで使い、その後、症状をみながら弱い物に変更したり、使用量・使用回数を減らしていきます。
ステロイドの種類はいろいろとありますので、症状等をきちんと診てもらい、処方を受けて下さい。

保湿剤と混合するとありますが、私はしていません。
製剤として供給されている外用薬は、それだけで使うことを意図しています。
多剤と混合することは、経験のある皮膚科医が行うことはありますが、私のような小児科医はしない方がいいと思っています。
「薄めて使えば副作用がでにくい」ということかもしれませんが、必要な量が使われないことによって、効果が減弱することはあっても、副作用が出にくいというデータはないように思います。

保湿剤はなにをお使いになっているのでしょうか。
一般にはワセリンなどが使われていますが、あまり保湿作用はないようです。
保湿剤として医薬品としての認可を受けた物が最近出てきていますので、それらをお使いになっているのであればいいですが。

アトピー性皮膚炎は様々な要因によっておきるものです。
年齢の小さいときは食事の要素、1、2歳頃からは環境の要素(とくにダニ、ハウスダストなど)なども関係が深いものです。
また、皮膚表面の細菌感染が関係していることもあります
それらについても調べていただいたり、指導を受けていただく必要があると思います。
ストレスなどの心理的な要因も、子どもが大きくなると関係してくることがあります。

アトピー性皮膚炎で困るのは痒みでしょう。
しかし、痒いからと言って引っ掻いていると、ますます皮膚の症状が悪くなります。
かゆみ止めなどの薬を使ったりする他、皮膚が痒くなるようなきっかけを排除することも生活の上で大切になります。

なお、具体的なステロイド外用薬の適否、その種類の選び方は、小児科医または皮膚科医に診察を受けた上でアドバイスを受けて下さい。

一日も早く皮膚の症状が改善することを祈っております。

2002.7.25

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塚田こども医院Q&A2002年 7月