予防接種後の感染症の罹患

1歳の息子が、先月23日に風疹の予防接種を受けました。(麻疹は先々月接種済み)接種して、6日目の夕方37.8℃とやや体が温かかったのですが、特にその夜は熱はあがりませんでした。(中略)主治医の先生には、接種後1W以内に3日程の高熱がで場合には、再度風疹の予防接種をといわれましたが、この場合該当するのでしょうか? 血液検査で抗体がついているかを確認せずに風疹を再度接種した場合、子供の体にどのような影響を与えるのでしょうか? 上の子(4歳)の時には、特に予防接種1W前は発熱程度の症状が認められない日を選定していましたが、特に接種後は意識していませんでした。 (後略)(埼玉県・Sさん)

風疹予防接種を受けたあとに別の感染症により発熱したが、ワクチンの効果があるかどうか、ということですね。
よく子どもたちがかかる日常的な感染症では、それによってワクチンの効果がなくなったり、弱くなったりすることはないように思います。
「予防接種後1週間以内に発熱したら再度予防接種を行う」ということは、一般的な指導ではありません。
(厚生労働省の出しているマニュアル等にもそういった記載はありませんし、私は各種の講習会にでていますが、初めて聞くことです)
子どもはしょっちゅういろんな風邪などにかかっていますので、「完璧に健康な状態」はなかなか維持できません。
接種の前後にいろんな感染症にかかることはよく起きるわけですが、そのために予防接種の効果がなくなると考える必要はありません。

ただし、はしか(麻疹)だけは抵抗力を相当に落としますので、その前後に受けたワクチンの効果が現れないことは十分予想されます。
この他には特殊な感染症や病気がありますが、日常的なものではありませんので、はしかのみと考えていただいていいと思います。

予防接種を複数回(2回以上)接種することは、免疫がついていても全く問題にはなりません。
もし免疫がついていなければそこでできますし、弱ければ強くしてくれます(
ブースター効果)。
十分な免疫があれば、ワクチンの効果がないというだけで、副反応も含めて何の問題も起きません。
(欧米では、はしか・風疹・おたふくを2回接種するのが一般的になってきています)

「病気して1ヶ月はあいているか」という問診票の項目についてですが、これは比較的大きな感染症をさしています。
はしか(麻疹)は1か月というより2、3か月あけた方が、免疫力の回復という点でいいと思います。
その他、おたふく、水ぼうそう(水痘)、風疹などでは1か月ほどたっていれば、十分にその感染症から回復しているし、その感染症に起因する合併症も出きっているはずなので、安心して予防接種を受けていいという目安にしています。
通常の風邪、扁桃炎、気管支炎などは、十分に回復していればいつでも予防接種を受けていいです。

「生ワクチン⇔生ワクチン、不活化ワクチンは4W(28日)以上、不活化ワクチン⇔生、不活化ワクチン1W(7日)以上あける」ということは、一応の目安として使用されています。
これぐらい開いていれば、お互いの予防接種に影響を与えることはないということです。
4週間ないし1週間という期間が、すでに「安全を見越した期間」になっています。
どうぞ、安心して接種を受けて下さい。

なお、予防接種のこと全般についてご心配がおありのようですね。
HPの中に詳しく書いてありますので、参考にして下さい。
(HP>ブックレット>予防接種)

2002.8.20

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塚田こども医院Q&A2002年 8月