よく頭痛を訴える子

今回は小1の息子についての質問なのですが、夏休み前より度々頭痛を訴えるようになりました。最初は2,3日に1回くらいだったのが、夏休みになるとほぼ毎日のようになったので夏休み最後に病院を受診し、CT検査を受けました。結果は異常なし。ストレス性のものか片頭痛か・・・ということでした。今後、痛みが激しくなったり、回数が著しく増えてきたらまた受診するように言われました。二学期が始まり、残暑も厳しいからか様子は変わりませんでした。けれど、頭痛がするから、何も出来ないわけではなく、友達から誘われれば「遊びに行ってくるっ!」と飛び出して行ったり、「頭痛い」と言うので、聞いてみると「朝から痛かった」とか「痛いのを忘れてた」とか言うことはバラバラで、痛い箇所も一定のところではないようです。祖父母も同居しているので、いろいろと話していると、下のもうじき2歳になる妹の存在へのストレスなんじゃない・・・と言われました。確かに、今はおしゃべりも出来るようになって、みんなからチヤホヤされ、悪いことをしても本気で叱られることはありません。一方、自分はすぐアレコレ口うるさく注意され、面白くないのかもしれません。実際、そういう言動や行動をとらないまでも、感じさせるところはあります。学校では、先生曰く、何も問題なさそうですし、本人に尋ねても勉強は面倒くさいけど、イヤじゃないそうです。けれど、週休2日制になり、ハードなのは確かです。今は一昨日より「溶連菌感染症」にかかって薬を飲んでいて、「もう頭痛くない」と言っていました。が、先ほど寝る前に、「ちょっと痛い」と。以前からオーバーなところがあり、ちょっとすりむいただけでもすぐバンドエイドを貼るような子供なので、どこからどこまでが心配しなくてもいい・しなくてはいけないのか分からないのです。みんなの気を引こうとしてるのでしょうか?甘えたいのでしょうか?息子から訴えてこない限り、こちらからは「頭痛い?」とは尋ねていません。子供の頭痛というものについて教えていただけませんか?(兵庫・Yさん)

メール読ませていただきました。
子育てって、大変ですよね。
子どもはみんな違います。
言い方は悪いですが「育てにくい」子がいるのも確かです。
私にも経験があります。
たえず不定愁訴があり、いろんなことを言ってきますし、いろんなトラブル(精神的にも肉体的にも)を起こしてくれます。
いい加減「親」しているのがイヤになって、何でこんな苦労しなくっちゃいけないんだ!などと投げだしたくなることもありました。
(一応小児科医なので、あんまりみっともないことはしませんでしたが・・)

でも、そんな子はどこかでしっかりと甘えたいし、親に寄りかかっていたい気持ちが強いんだと思います。
どの子にもその気持ちがありますし、大切にしなければいけないんですが、でも、極端に言えば「放って置いても」何も言わないし、自分でどんどん何でもやって、勝手に進んでいく子もいますね。
でもその反対に、親が自分では必要以上に手をかけているつもりなのに、もっと求めてくる(求めている)子もいるんだと思います。
その違いはもって生まれた性格(個性)、育ちの中でのいろんな環境や出来事など、様々な要因があるでしょう。

そして大事なことは、その子に「安心」と「信頼」と「安定」の気持ちを作って上げることだと思います。
親御さんがいつでも一緒に付いていてくれる(小さいときには肉体的に、次第に大きくなってくると精神的に)という「安心」の気持ち。
何かあればどんと受け止めてくれるという「信頼」の気持ち。
そして、それらからくる「安定」した気持ち。
そうしたものが次第にできてくると、不定愁訴は次第になくなっていくのではないかと思います。

頭痛を訴えているが、それが実際の脳の病気によるものではないということは確かめられているわけですので、あとは親御さんや周囲の大人たちが「ドンと構えて」話を聞いてあげて下さい。
訴えて来ていることは事実ですし、本人にとっては頭痛はあるのでしょう。
それを否定してはいけませんし、逆に振り回されてもいけません。
「そうか、頭が痛いのか・・でも、それほどでなければ学校に行って大丈夫だよ」
「何かあれば先生に言いなさい。迎えに言って上げるから・・」
などと、その場の状況で「安心」できるような言葉かけや働きかけをして下さい。

「また始まった・・」などという気持ちで接すると、それが顔に出て、よけいに本人を不安がらせます。
話はしっかりと聞き、受け入れる。
その上で本人が安心できるように持っていって下さい。

そんなことを繰り返していくうちに、子どもはちゃんと成長していくものだと思います。
一番必要なのは、そういった子どもの気持ちをきちんと受け入れる「大人の大きな心」かな、と思います。
最初からそんな心をもった大人はいませんが、でも子育てを丁寧にしていくと、親にも「大きな心」が育っていきます。
子育てって、子ども以上に大人が成長してものなんだと思うときがよくあります。

以上、まだ親を卒業できないでいる小児科医からのお話でした。
参考にしていただければ幸いです。

2002.10.7

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塚田こども医院Q&A2002年10月