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2005年05月19日
列車往来危険罪
JR西日本の列車転覆事故があって以降、線路上に置き石や自転車などを放置する悪質ないたずらが相次いでいます。
昨日は、繰り返し自転車を置いていた犯人が逮捕されました。
これまで大事には至っていなかったということが、幸いでしたが、一つ間違えれば大惨事につながるとても危険な行為です。
愉快犯なのかもしれませんが、他人が困っているのを見るのが楽しいのでしょうね。
本当に困ったものです。
でも、これがとてつもなく重大な犯罪だとは知っていないのでしょうね。
刑法では「列車往来危険罪」は次のような刑罰だとされています:
・「鉄道若しくはその標識を損壊し、又はその他の方法により、汽車又は電車の往来の危険を生じさせた者は、二年以上の有期懲役に処する」・・乗客の有無には関係なく懲役です。
・「現に人がいる汽車又は電車を転覆させ、又は破壊した者は、無期又は三年以上の懲役に処する」・・乗車の人がいれば、より厳しい刑になります。
・加えて「前二項の罪を犯し、よって人を死亡させた者は、死刑又は無期懲役に処する」・・結果として人が死亡すれば、少なくとも無期懲役、重ければ死刑。
つまり、通常の殺人よりも重い刑が科されることになっています。
ただの石をレールに置いただけでも、もしそれによって死者がでるような事故になった場合は、死刑もありうるのです。
たかが「置き石」だと思われるかもしれませんが、重大な犯罪行為だということを、きっと知らないのでしょうね。
置き石などの事件が多発したきっかけは、JR西日本の間違った発表でした。
先に107人もの犠牲者のでた列車転覆事件が、あたかも置き石が原因であったかのように伝えたことです。
運転手のスピードの出し過ぎやブレーキ操作の誤りが直接の原因であろうことが推測され始めていたにもかかわらず、それを認めたくないがための戦術だったのでしょうか。
自らの責任を他に転嫁し、できることなら会社の責任は問われたくないという意図が、見え見えでした。
すぐに「置き石説」は否定されていきましたが、その後、JR自身が「置き石」に苦しめられることのなるとは、ある意味で皮肉なことです。
あの時に「置き石説」を主張していなければ、その後の置き石事件は起きなかったでしょう。
もちろん置き石などの列車妨害をしている犯人たちを擁護するつもりは全くありません。
全く関係のない乗客の命を奪いかねない重大な犯罪です。
自分はそれをただ面白がって見ているという、卑劣極まりない行為です。
しかし、現実には類似犯が続きます。
テレビや新聞で置き石事件が報道されればされるほど、そのまねをする輩(やから)が続きます。
困ったことです。
マスコミの方にお願いがあります。
置き石がいかに重大な犯罪であるかをぜひ伝えて下さい。
そのためには、事件の報道の中で、列車往来危険罪の量刑も話するのも、効果的でしょう。
もし死者が一人でも出れば無期懲役または死刑なのだ、と。
報道の自由は保障されなければいけませんが、それによってさらに犯罪が誘発されることは避けてほしいものです。
そうするために何をどう伝えるか、ぜひ考えてみて下さい。
投稿者 tsukada : 2005年05月19日 23:47