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2005年08月19日

刺客

最近“刺客”(しかく、しきゃく)という単語がよくできています。
時代劇の中だけに出てくるのかと思ったら、現在にも通用するのですね。
ご存じ、平成の鬼将軍=小泉純一郎が、反乱ののろしをあげた地方武将に送りつけた「抵抗勢力一掃の先兵」です。
自分に刃向かう者は末代まで許さないとばかりに、怒りにまかせて強引にその地位を奪い取ってしまおうというのでしょうか。
話せば分かる!・・そんな悲鳴が聞こえてきそうなまでの騒動。
さあ、どんな結末を迎えることになるでしょう。
この国の将来を案じてしまいます。

今回のトラブルは、内閣が国会に提出した「郵政民営化法案」が、衆議院では通ったものの、参議院では否決され、最終的に廃案になったことによります。
これは“内閣不信任”だということで、逆に国会を解散してしまいました。
家の中でやりこめられた雷親父が、ちゃぶ台をひっくり返してしまったようにも見えます。

でも、参議院は解散させられないので、その法案を可決した衆議院を“身代わり”にしてしまいました。
そして、反対した議員を自民党の公認を与えず、事実上自分の党から閉め出してしまいました。
さらに、彼らの当選を阻もうと中央から送りこんでいるのが、自民党公認の狙撃手=刺客ということになります。
いろんな有名人がそこに名を連ねています。
今日はとうとうホリエモンことライブドアの堀江貴文社長までが、反対勢力の中心=亀井静香の選挙区に出ることにしたとか。
ここまで来ると、政策も何もあったものじゃないようです。
有名で、郵政民営化法案に賛成なら誰でもかまわない・・
なりふり構わない首相の意固地な態度に絶句してしまいます。

それにしても分からないことがいくつかあります。
まずはこの法案の中身。
郵政事業で最も大きく、そして最初に問題になったのは、郵便貯金がもっている数百兆円の使い道でした。
普通の金融機関と違って、郵便局にはその資金を貸し出すことができるノーハウがありませんし、それができる人材はいません。
今は国の国債を大量に買い、無駄使いが指摘されている各種公団に湯水のごとく貸し出しをしています。
赤字を垂れ流して平気でいる公団への融資は、いずれ回収不能になることも十分に考えられること。
あるいは、国債を買い続けることで、結局は国の借金が無秩序に、そして加速度的に増え続けることも目に見えています。
そういった構造をただしていこうというのが、そもそもの議論の始まりだったはずです。
全国津々浦々にある郵便局を、誰がどのように経営するかは本筋の議論ではないはずです。

内閣から提出された“郵政民営化法案”の中身が、よく分かりません。
それがこれからも郵政事業を良くしていくのか、日本の財政事情を改善させていくのかといったことが見えないにもかかわらず、看板だけで「郵政民営化に賛成か反対か」を問われても、正しい判断ができません。
中身の議論をきちんとせずして、スローガンだけで物事を進めていこうとする体質は、実は日本の伝統的で、救いがたい政治スタイルそのものなのではないでしょうか。
大きな声で、繰り返し叫べば、それが真実らしく聞こえ、賛成せざるをえなくなっていく----
そんなことがまかり通ったことが、歴史の汚点としてきざまれていたのではないかと、思っているのですが・・

もう一つ分からないのが、この法案の行方です。
新しく招集される国会で、もう一度同じ法案を提出しようというのが、首相の考えのようです。
衆議院は、自分の思い通り賛成派が多数を占めることになるかもしれません。
でも、参議院はそのまま。
解散も総選挙も関係がありません。
そうすると、同じ法案であれば、再度否決ということも十分に考えられます。
参議院に対しても、それなりの手を打ってはいくでしょう。
でも、あの方のことですから、本当に“刺客”をたててしまうかも。

それにしても今の世の中に“刺客”とは。
現代風に「暗殺者」と言ってしまったほうが、本質をついているように思いますが、いかがでしょう。

投稿者 tsukada : 2005年08月19日 22:16

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