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2005年09月20日

中学での事故

先週のことですが、近くの中学で事故がありました。グラウンドで体育祭を開催中、応援用のパネルを取り付けた仮設の鉄パイプが強風で倒れ、生徒が下敷きになっていまいました。一人は背骨の骨を折る重症なのだそうです。手術も受けたとのことで、後遺症が残らないかどうか、心配になります。

生徒たちが受けた心の傷もまた大きいようです。目の前で事故がおき、同じ学校の生徒が大けがをするところを目の当たりにしました。スクールカウンセラーなどが入って、心のケアにあたっているとのことですが、そういった面でも早く元の学校生活に戻ってくれることを願っています。

この構造物は毎年業者に依頼して設置しているとのことですが、事故の写真でみる限り、地中にはほとんど固定されていません。木の杭がついていますが、2か所のみで、それも20センチ前後と短いように見られます。地中に斜めにさされていますが、それを固定するような仕組み(さらに垂直に杭を打って固定するなど)はありません。強い力でひっぱればそのままスッポリと抜けそうです。どの程度の風に耐えれるよう強度をもたせるかを決めるのは難しいかもしれません。でも、素人が見た目でも簡単すぎるなと感じるような方法は、やはり問題です。

鉄パイプを組み合わせる構造物としては、建築現場での足場があります。建築上の基準があるのかと思って専門家に伺いましたが、法的な基準はないそうです。通常の使用法では、建物が建つとそれに固定するので、強風でも強度としては問題にはならないのだとか。このような独立した構造物としての使用法は「想定の範囲外」だということになりそうです。

当日は低気圧の低下にともなって強風が吹きました。昼頃から風が出始め、次第に強くなっていき、最大風速は秒速20メートルほどになっていたようです。時速では72キロメートルですので、そうとうな強風だということが分かります。この風も「想定の範囲外」だったということなのでしょうか。

業者はプロです。当然一定の強さの物を作るべきです。強風だけではなく、子どもたちが寄りかかったり、登ったりすることも考えられます(設置してから運動会までは数日ありました)。地上に固定せずにそのまま置いただけでは、風がこれ以上吹けば転倒するだろうという“臨界点”は、パソコンでシュミレーションすれば容易に出てきます。それを例えば風速何メートルの強風に耐えられるようにするためには、どの程度の固定が必要かも、当然積算されます。こういった技術が日本には当然あるはずです。問題は、それを使うかどうかだけ。

学校側にも、業者任せでは子どもたちの安全は守れないことを、ぜひ知っていてほしい。「もう長い間、同じ方法で作っていたから」とか、「教師が触って問題なしと考えた」などという言葉を聞くと、事故の防止をどこまで真剣に考えていたのか、疑問になります。

そして、これからもこともまた心配です。今回の事故(事件?)が、業者のミスなどで起きたという偶発的なもので終わりにならないかという点です。このような事故は、おそらく全国で、どこの学校でも起こりうることでしょう。それを防ぐような根本的な対策をとらない限り、いずれまた同様の事故は起こりうることです。

不幸にして大きな事故がおきてしまったという事実は、残念ながら変えられません。しかし、今後おきないようにすることは可能です。この中学校だけではなく、上越市だけではなく、全県の、そして全国の学校現場で、どうやって事故を防止していくか、真摯に取り組んでほしいものです。そのためには、今回の事故について、詳細に検討が必要です。そして、それを解決するために科学的で有効な方法をしっかりと見いだす必要があります。それができたとき、今回に事故の教訓が生かされることになります。

大けがをされた生徒の方の一日も早い回復を願うばかりです。

投稿者 tsukada : 2005年09月20日 20:01

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