2005年09月21日
鳥インフルエンザ
鳥インフルエンザのことが、心配です。今日のニュースでは、シンガポールで女児2人が鳥インフルエンザにかかって亡くなったとか。東南アジアを中心に発生数がしだいに増えていきそうです。
国内でも鶏の間でインフルエンザが発生しています。各地で飼育されている鶏を処分し、それ以上感染が地域に広がらないよう対策がとられています。
鳥のインフルエンザは、ただちに人に感染するわけではありません。しかし、インフルエンザ・ウイルスは容易に形を変えやすく、ある時に急に、人への感染性を獲得するかもしれません。そして、さらに人から人への感染もおこりやすくなってしまうと、たちまち人の間での流行になってしまうでしょう。それは人類がかつて経験したことがない新型ウイルスです。ということは、世界中の人たちが、一人の例外もなく、そのウイルスに対する免疫をもっていません。つまり、全世界的な爆発的流行がおきてしまうことが十分に予想されます。
世界中で鳥インフルエンザの発生に対して神経をとがらせ、そして必要な対策がとられているのは、人類の生存の危機にもつながりかねないという懸念からのことです。
とっても、いたずらに怖がる必要はありません。現在でも私たちはある程度の“武器”をもっています。新型インフルエンザはA型の一種ですが、数年前から治療に使われている薬に効果があります。内服の「タミフル」は小児用の製剤(ドライシロップ)もあります。吸入の「リレンザ」は大人用ですが、やはり優れた効果があります。タミフルの在庫を多くし、通常のインフルエンザの大流行に備えるだけではなく、新型インフルエンザが流行した際にも対応できるようにしようという動きもでています(都道府県に備蓄するように厚生労働省は指導していますが、地方の予算不足からあまり実行されていないようですが)。
ワクチンは、現在使用しているものでは、新型には効きません。こちらの方は、流行が始まったら、それに合う新しいワクチンを作ることになりますが、急いで大量のワクチンを作ることができないので、残念ながら間に合わないかもしれません。
もう一つの武器は“情報”です。いつ、どの地域で、どんなインフルエンザが流行しているか、きめ細かく分かるシステムができつつあります。それによって、備えをどうすればいいかなど、ある程度の対応を事前に行うことができます。少なくとも心づもりはできそうです。
もしも新型インフルエンザが流行し始めたら・・医療機関は大量の患者さんで診療がパニック状態になってしまうかもしれません。私たち医療関係者もいっしょにインフルエンザになってしまうことも考えられます。そんな最悪の事態も想定しながら、今からしっかりと対策をたてていきたいと思っています。
とりあえずは、現在のインフルエンザ・ワクチンはしっかりと受けておくことをおすすめします。新型には効かないとはいえ、毎年流行している現行のインフルエンザにはある程度の効果があります。新型インフルエンザがそれだけではやるのではなく、“旧型”と同時に発生し、流行していくことは大いに考えられます。そんな時に、せめて“旧型”インフルエンザに対して免疫をもっていれば、ダメージはより少なくすることができるでしょう。
当院でも先週からインフルエンザ予防接種の予約を受け付けています。10月後半からの接種にむけて、院内の体制作りもしているところです。どうぞ、できるだけ多くの方がワクチン接種を受けていただきますよう、お願いします。
投稿者 tsukada : 2005年09月21日 23:15
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