« 新規事業(2):FAXサービス | メイン | ガス漏れ? »

2006年01月28日

どうしてICプレーヤーなの?

 センター試験から1週間ほどがたちますが、英語のリスニングに使われたICプレーヤーのことで一言。先日も、そもそもリスニングを試験に取り入れる必要があるのかどうか疑問だと書きました。実際に東大をはじめとしてこのリスニングを評価の対象にしない大学もあるようです。

 英語教育の中で、英会話を耳で聞いて理解する能力は重要な要素でしょう。それは間違いありません。でも、だからといって入試の中に取り入れるかどうかは別です。国公立大学の受験生は、センター試験でとても多くの科目を受けなくてはいけないことになっています。それに加えて、各大学の二次試験も控えています。そこにさらに英語のリスニングを加えることが、どれほど受験生の負担になるか、考えてみていただきたいです。

 数年前、文部科学省は「ゆとり教育」を推進するとして、学校で教えるべき教科やその範囲をそうとう少なくしぼりました。土曜も完全休校にし、授業時間もずいぶんと少なくしてしまいました。それが良かったかどうかは、議論のあるとことですが、一方で大学受験にハードルだけはさらに高くしていこうということでは、子どもたちの教育にどう取り組んでいるのか、理解できません。(「ゆとり教育」でちゃんと教えられなかったから、その分を受験でよけいに勉強させようということ?)

 来年度以降も続けるということですが、もう一度その必要性までさかのぼって、議論をしてほしいものです。

 さらに、もし来年度も実施するとしたら、その方法をきちんと見直すことがぜったいに必要です。ICプレーヤーを採用したのは、いったいどうしてなんでしょう。理由がよく分かりません。

 使用したICプレーヤーは受験生が持ち帰ります。でも、音楽が聴けるわけでもなく、ただの“おみやげ”。全国で50万台ほどのICプレーヤーを毎年使い捨てることになります。それって、結局メーカーのために採用したということではないですか?

 教室で一斉の放送では聞こえ方が違うなど、ばらつきが出てくるおそれがあるというのが、一番の理由のようです。でも、ICプレーヤーでも今回のように器械の不具合があれば、同じことがおきます。またICプレーヤーでは、実際に正常に作動しているかどうかを試験官が確認することができません。受験生は、聞こえ方がヘンだと感じても、それを伝えるのはなかなかできないものです。それこそ、個人差が生じる問題です。他の受験生の音が大きくて、それが気になって集中できなかったという指摘もありました。一人ひとりが操作を別々にするわけですので、イヤホンから漏れ出る音が同じではないわけです。

 別な装置を考えてみました。教室で1つ、主装置を置き、そこから音源を配信します。その先に個々の受験生のイヤホン(ヘッドホン)をつないでおくというシステムです。つなぎ方は2つ考えられ、1つはワイヤレス。FMの電波などを利用して流し、それを受ける端末を受験生に渡します。もう一つは有線方式。教室内を配線しておき、机の前か横にジャックをつけておきます。受験生にはイヤホン(ヘッドホン)だけを渡し、そのジャックにつけて聞くという方式です。

 この方法の優れているのは、教室内は受験生はみな同じ音を同時に聞いていること。他の受験生の音が聞こえても、それは同じ音だから、さほど気にはならないでしょう。試験官も、音源がきちんとしているかどうかのチェックは容易で確実です。さらに、どう考えても費用が安くすむはずです。使用後に受験生に機器を渡すとしてもイヤホンだけですし、それを自分のもっている音楽プレーヤーに使うこともできます。あるいは、回収して、点検やクリーニングをすれば、翌年も使うことができそうです。(リサイクルする費用を考えると、そのまま渡してしまったほうが安いかも。)主装置や配線などは翌年以降も、そうとう長期で使えるわけですので、全体としてもずいぶん予算が少なくなること、うけあいです。

 大学入試センターがお金の有り余っているところかどうかはしりませんが、こういった「費用対効果」も含めて検討をしてほしいものです。それにしてても、やっぱりどうしてICプレーヤーを採用したのか、疑問・・やっぱりIT企業からの強力な誘いがあったのでしょうか。どうもIT関係というと、今は印象が悪くなってしまっていますね(T_T)

投稿者 tsukada : 2006年01月28日 18:27

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
https://www.kodomo-iin.com/mt/mt-tb.cgi/182

コメント