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2006年01月17日
“雪崩”事故
昨日のこと、雪の被害でとうとう幼い子どもの命が奪われてしました。それも保育園という、子どもたちにとって安心して過ごせて、安全であるべきところで・・。
福島県での事件です。2階建ての園舎の屋根に積もっていた雪が落下し、園庭で雪遊びをしていた子どもたちを生き埋めに。そしてその一人の子どもが亡くなってしまったというものです。 屋根には50センチほどの雪が積もっていたとか。急勾配の屋根で雪下ろしが危険なため、業者に作業を依頼していた矢先だったそうです。
雪がとても重いものだということは、このブログの中でもお話をしたとおりです。報道ではおよそ10トンもの重さの雪が一挙に滑り落ちてきたとか。普通自動車10台分の重さにそうとうします。その下にいた子どもは一瞬にして重い氷のような雪に埋まってしまったわけですし、この子どもたちを掘り出すのがいかに大変であったかは、想像に難くありません。
ニュースの映像で見ると、屋根には雪止め(なぜどめ)が設置してないようです。そして急勾配・・これは「落下式屋根」の構造です。「雪下ろしができないほど危険」という意味は、雪と一緒に落下する危険性があったということ。つまり、屋根の上の雪がいつ落ちてきても不思議ではないという状況だったということです。
つまり、園舎の近くは雪が落下してくる可能性が大きく、とても危険。当然、子どもたちはその周囲に立ち入れない方策が必要でした。園庭で遊ぶときに、危ないから屋根の下には近寄らないように注意をしたとの話もありますが、声かけだけでは危険回避は十分ではないと考えるべきでした。
そういった意味合いでは、当日の保育体制が子どもたちの危険防止の点で大きな問題をもっていたといわざるをえません。その場で園庭で子どもたちと一緒にいて監視(あまりいい言葉ではありませんが)していた保育士の責任もあります。あるいは、雪が落下しても大丈夫なような安全策をとらないまま、園庭での活動をさせていた管理者としても責任もあるでしょう。雪下ろしができないほど危険だというのに、そのまま対策をとらずにいた設置者の管理責任も、問題になるに違いありません。
そもそも、この園舎の設計は安全なものだったのでしょうか。雪国の建物では、こういった落雪型の屋根を採用するときには、その周囲に十分な空いている土地が必要です。この保育園は鉄筋コンクリートの建物で、新しいものに見えましたが、屋根の上にそのまま雪を乗せておく構造にしておくべきではなかったのでしょうか。構造計算をしっかりし、そうとうの積雪があっても雪下ろしをしなくてもいいくらいの強度を持たせておけば、事故はおきませんでした。
先週末から気温があがり、各地で雪崩がおきる心配があると警告がありました。雪崩というと山や崖といったところでのことと思ってしまい、まさか保育園でおきるとは予想していなかったことでしょう。でも、実際に事故は起き、幼い子どもの命が奪われました。誰かが、どこかの段階で、事故につながる可能性を認識し、もっときちんと対策をとっていれば、このような事故は起きなかったはずです。
こんな話を書くと“後出しジャンケン”のようにも思われてしまうでしょうが、でも、「事故防止」「危機管理」といったとても大切な課題に、どの職種につく人も、絶えず取り組んでいないといけないのだと思います。自分の与えられた仕事はこれだけ、その他のことは知らない・・そんな気持ちでいてはいけないのだと思います。子どもたちを守るために、私たち大人がしなければいけないことは、まだまだたくさんあります。
※「院長ブログ」検索順位:昨日までの33位から今日は32位に少しアップしました(ヤフーでの検索結果)。
投稿者 tsukada : 2006年01月17日 23:31
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