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2006年02月16日

診療報酬改訂の「偽装」

 診療報酬(保険を使った医療の価格を決めたもの)の改訂が行われます。2年に一度、大きな改訂をすることになっていて、この4月がそれにあたります。

 今回の改訂は、全体の「引き下げ」が決まっていました。国の財政が厳しいのがその理由。病気になることが多く、医療費の多くかかるお年寄りがより多くなるのですから、医療費総額が増加するのは当たり前なのですが、そんな中で全体を圧縮させようとすれば、ひずみが大きくなるのは目に見えています。

 本来の医療のあり方がどうあるべきか、そのために医療費はどのようにしなければいけないか・・ そんな一番大切なことはちっとも議論されません。ただただ減らせとの号令が、首相から出され、それを実行しているだけです。情けない状況です。

 医療費全体は減らすけれど、国民にとって大切な分野は手厚い改訂をするのだとか。小児科医療もその1つ。新聞の見出しには、あたかも小児科は優遇されるかのような書き方をしています。でも、それは間違っています。

 小児科の外来診療で“値上げ”されるのは「深夜加算」ただ1つ。深夜に外来診療をすると、今までよりも1回につき1,000円増えます。これだけです。日々の外来診療を熱心に行っていても、関係はありません。小児救急の体制が問題になっていますが、その前に、普通の小児科医療が危機に瀕しているという状況をどう捉えているのでしょう。

 1つ「目玉商品」を用意しただけで、あたかも小児科医療全体が“バラ色”かのように見せるのは「偽装」です。国民に実態のない期待を持たせるだけの、「詐欺」です。役人が、自分はちゃんと仕事をしているという言い訳はちゃんと作っています。アタマはいいですね、。

 ちなみにこの「深夜加算」は、夜10時〜翌朝6時までが対象です。小児科医は昼間だけではなく、夜中も寝ずに仕事をしろとでもいうのでしょうか。この時間帯の診療を小児科医に求めるのであれば、翌日にゆっくり休めるような環境を用意して下さい。それこそが、厚生労働省のすべきことです。

投稿者 tsukada : 2006年02月16日 23:00

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